表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/74

1周目・第19話:過去イチ「クズい」パーティなんだが!

玉座の間で、マリオニスはついに膝から崩れ落ちていた。


(ダメだ……こいつら、心が無さすぎて壊せない……!)


4人連続の幻術不発。そして、唯一壊せそうだった結衣も、仲間たちのリアルなギスギスによって、マリオニスの芸術・・が介入する隙間すらない。


このままでは、らちが明かない。いや、それ以上に、この不快な空間に、マリオニス自身が耐えられなかった。


(もういい! もういいです!)


マリオニスは、脚本シナリオ芸術トラウマも全て投げ捨て、力ずくでこの不快な人形劇を終わらせることに決めた。


「もういい! 全員まとめて消し去ってやる!」


マリオニスは偽の魔王としての威厳を取り戻し、玉座の間に立ち上がった。


「私の幻術が効かぬというのなら、この城ごと、あなたたちをちりにして差し上げましょう!」


マリオニスが両手を掲げると、玉座の間全体が凄まじい魔力で振動し始めた。


天井が崩れ落ち、空間そのものが裂けるかのような、圧倒的な破壊の予兆。


彼が詠唱し始めたのは、この偽りの魔王城を丸ごと自爆させる、最大最後の魔法だった。


「なっ!?」


その瞬間、恵の《叡智の書》が、初めて激しい警告アラートを発した。


「《叡智の書》より緊急警告! 魔力量、測定不能」


恵が、マニュアルから顔を上げた。その顔は、初めて「想定外」の事態に直面し、恐怖に引きつっていた。


「舞! あなたの《不壊の盾》でも防げません! 観月の《魔力無限》も、花音の《絶対魅了》も、この規模の術式の前では無意味です!」


「はあ!? なによそれ!」


「つまり……私たちは、詰んだと?」


仲間たちが、初めて「死」を実感し、青ざめる。


(詰んだ……? いや、待て)


恵の脳が、極限状態で最適解・・・を探す。


(防げない。逃げ場もない。だが、たった一つだけ……『無敵』の存在・・がこの場にある)


恵の視線が、フライパンを抱えてガタガタ震えている結衣に突き刺さった。


(……【自動防御オートガード】)


恵は、即座に仲間たちに指示を飛ばした。


「最適解を提示します。舞さん、観月さん、花音さん。……結衣さんを盾にします」


「「「!?」」」 三人が、一瞬だけ恵の非道な提案に目を見開く。


「合理的です」


恵は、非情な論理を続けた。


「彼女のフライパンの【自動防御】だけが、この攻撃を無効化できる唯一の可能性です。私たちが生き残るには、彼女に全ての攻撃を受けさせ、時間を稼ぐしかありません」


その結論に、観月がニヤリと笑い、舞が頷き、花音がそっと目を伏せた。


絆ゼロの彼女たちに、仲間・・を見捨てることへのためらいなどあるはずもなかった。


「結衣!」


舞が、逃げ惑う結衣の腕を掴んだ。


「え?」


「お前の自動防御で時間を稼げ!」


「えええええ!?」


結衣は、舞と観月によって両腕を拘束され、詠唱を続けるマリオニスの目の前に、文字通り「盾」として突き出された。


「い、いや! いやああ! 死にたくない!」


「我慢しろ、付属品!」


「あんたが役に立つ、唯一のチャンスじゃん!」


(適材適所です、安らかにお眠りください…)


押し出されるようにして、じりじりと自分に近づいてくる結衣。


(……は?)


最大魔法を詠唱していたマリオニスは、目の前で繰り広げられた光景に、詠唱を中断しそうになった。


「……仲間を、盾にした?」


(このガキども、私の想像シナリオを遥かに超えたクズだ!)


マリオニスの芸術的な悪意が、彼女たちの本物リアル悪意ギスギスに完敗した瞬間だった。


「もう知らん! お前ら全員消えろぉぉぉ!」


マリオニスが叫び、最大魔法が、結衣めがけて放たれた。


(第19話 終)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ