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1周目・第6話:制御がめんどくさいので、フレンドリーファイアします。どうせエリクサーがあるし。

ノクス村を見捨てたパーティ(仮)は、最短ルートの街道を淡々と進んでいた。 その道中、魔物の群れが再び行く手を阻む。


「……チッ。雑魚です」


咲良恵さくら めぐみは、《叡智の書》を一瞥いちべつしただけで顔を上げた。


「最適解を提示します。舞さんの《不壊の盾》が最前線で防御。観月さんが《魔力無限の宝玉》で殲滅。結衣さんは、いつも通り立っていてください」


「りょーかい!」


「……合理的だ」


恵のマニュアル通りの完璧な作戦。そのはずだった。


「うわ、敵が舞の周りに集まってる。いちいち避けて狙うのダルいな……。あ、そっか」


観月は《魔力無限の宝玉》を掲げると、最前線の舞に向かって叫んだ。


「まいー! 今から舞ごと吹き飛ばすから、ちゃんと盾構えといてー!」


ズガガガガガガガーン!!!


舞の返事を待たず、観月は魔力砲を「故意」に放った。


その威力は、彼女の制御やるきの無さも相まって、チートの限界値を超えていた。


魔物の群れは消し飛んだ。


むろん、舞は《不壊の盾》で無傷。


後方の結衣たちも、【自動防御】と恵の咄嗟の判断で爆風の影響はほぼゼロだった。


だが、彼女たちが立っていた「最短ルートの街道」そのものが、観月の魔力砲によって、物理的に崩落した。


幅20メートルの街道は、巨大なクレーターへと変貌し、眼下には深い谷底が広がっていた。


「……」


「……」


「……」


「おい、脳天気!」


舞が、爆風で汚れた盾を拭きながら低い声で警告する。


「なぜ私ごと攻撃した! 私の完璧な美学が乱れる!」


「あ、ごめーん」


観月みづきは、反省の色は一切ない。


「だって制御がめんどくさいし、どうせ舞の盾、《不壊》なんでしょ? 結衣のフライパンも【自動防御】だから、どうせ誰も傷つかないし。それに万が一、怪我をしてもエリクサーがあるから平気っしょ!」


(ピキッ)


舞のこめかみに青筋が浮かんだ。


「……貴様」


「二人とも、黙りなさい!!」


その時、恵が中2とは思えぬ、地獄の底から響くような声で叫んだ。


観月と舞が、ビクッと肩を震わせる。


恵は、ガタガタと震える手で《叡智の書》を指差していた。


「……非合理的です! 非合理的の極みです!」


「な、なにキレてんの、恵」


「《叡智の書》によれば! あなたの『無差別爆撃(フレンドリーファイア)』のせいで、最短ルートが物理的に消滅しました!」


恵は、崩落した崖を指差す。


「これにより、私たちは最短ルート(RTA)を逸脱! 5時間以上のロスとなる『獣道』への迂回を余儀なくされます!」


「えー、たった5時間?」


「私の完璧な人生設計プランにおいて! 5時間のロスは『死』に等しいのです!」


チートが全ての成長を奪った1周目では、仲裁する仲間など存在しない。


チートの弊害によって引き起こされたトラブルが、パーティのギスギスした空気をさらに加速させていくのだった。


(第6話 完)


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