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第五話:新メニュー爆誕!『転生亭』、町の話題に

ダンジョンで見つけた

新たな食材を手に、

やちるの料理人の魂が燃える!


奇妙な魔物たちが、

果たしてどんな絶品に変わるのか?

『転生亭』の新メニューが、

町の舌を唸らせる!


ダンジョンから持ち帰った

「菌核」「苔きのこ」「モグトカゲの肉」を前に、

やちるは興奮を隠しきれない。

それぞれの特性を「食材鑑定」で再確認し、

どう調理すれば最高の「美味い!」を引き出せるか思案する。


まずは、見た目にも奇妙な「菌核」だ。砕いて粉末にすると、

確かに土のような香りがする。

これをどう生かすか……。

「うーん……」

苔きのこは、緑色だが確かに肉厚で、焼けばジューシーになるという。

モグトカゲの肉は、鶏肉に似た食感らしいが、鱗が硬いのがネックだ。


厨房で腕を組み、悩むやちるに、リリアーナがふと声をかけた。

「ダンジョン深層で捕れた魔物の肉は、普通は硬いから、

 まず叩き潰して柔らかくするか、時間をかけて煮込むのが常道だな。

 でも、あんたの料理なら、もっと別の方法があるんじゃないのか?」


その言葉に、やちるの頭に電撃が走った。


「そうだ! 火加減と、切り方、それに……」


やちるの料理人としての腕と、「食材鑑定」の知識、そしてリリアーナのヒントが融合する。

菌核は細かく粉末にし、秘伝の隠し味として出汁に加えることにした。

苔きのこは、その肉厚さを活かし、シンプルに醤油ベースのタレで香ばしく焼き上げる。

モグトカゲの肉は、薄切りにして衣をまとい、高温でサッと揚げる。


数時間の試行錯誤の末、新しいメニューが完成した。


開店すると、早速、冒険者たちが店の暖簾をくぐった。

彼らは『転生亭』の「妙な美味さ」にすでにハマりつつある。

「マスター、今日のオススメは?」

やちるは自信満々に新メニューを差し出した。


「苔きのこの朴葉味噌焼きです! 焼くと肉厚でジューシー、噛むほどに旨味が溢れますよ」

「それから、モグトカゲのサクサク揚げ! 高タンパクで癖がなく、冒険者にはぴったりの一品です」


一口食べた冒険者たちの顔に、驚きと感動が広がる。

「なんだこれ!? キノコなのに肉汁がすげぇ!」

「モグトカゲ、こんなに美味かったのか!?」

彼らは瞬く間に料理を平らげ、「おかわり!」と口々に叫んだ。


『転生亭』の新メニューの評判は、瞬く間に冒険者ギルドへと広がった。

「『転生亭』にとんでもない新メニューが出た!」という噂は、ギルド内を駆け巡り、

さらに多くの冒険者たちが好奇心と食欲に駆られて来店するようになった。


その日も、やちるの「言語の理」のおかげで、

スムーズなコミュニケーションが取れるため、様々な異種族の客が『転生亭』を訪れていた。


「マスター! この『モグトカゲのサクサク揚げ』、

 最高に美味いニャ! もう一個食べたいニャ!」


しっぽをぶんぶん振りながら目を輝かせているのは、元気いっぱいの獣人の少年、キッドだ。

口の周りには揚げ物の衣がついていて、いかにも食いしん坊といった様子。


「キッド、落ち着きなさい。でも、確かにこのモグトカゲは絶品ね。

 この衣のサクサクとした食感と、中の柔らかな肉の対比が素晴らしいわ」


スラリとした肢体で優雅に微笑むのは、繊細な味覚を持つエルフの女性、リーファだ。

彼女は「苔きのこの朴葉味噌焼き」をゆっくりと味わいながら、うっとりとした表情で呟いた。


「苔きのこの香ばしさ、まるで森の恵みのようね。

 味噌の風味とこんなにも合うなんて、驚きだわ」


そして、ひときわ大きな声で豪快に笑うのは、

ひげを編み込んだベテラン冒険者のドワーフ、ガルムだ。

「ハッハッハ! この『モグトカゲのサクサク揚げ』は、わしらドワーフの肉料理にも負けん!

 こんなに美味い飯、初めて食ったぞ!」


ガルムは大きなジョッキを片手に、満足げに唸った。


彼らもまた、『転生亭』の「和」の味と、ダンジョン食材の新たな可能性に感動し、

新たな常連客として定着していく様子だった。

『転生亭』はもはや、町の外れの怪しい店ではない。

「あそこに行けば、見たことのない美味いものがある」と、町の住民たちの間でも囁かれ始め、

一種の「名所」や「話題の店」として認識され始めていた。


その頃、町の中心部にある老舗酒場「黄金の麦穂亭」。

重厚な木造りのカウンターの奥で、女主人セシリアが、一枚の依頼書を冷めた目で見つめていた。

その依頼書には、客から寄せられた

「最近、町の外れの妙な店が美味い」という情報が記されている。


「……あの、新参者が」


セシリアはグラスをゆっくりと拭きながら、視線を店の外へと向けた。

夜の帳が降りた町の、外壁の向こう側。

光の届かない闇の中に、ぽつりと灯る小さな明かりがあった。

それは、ひときわ活気を帯びてきた**『転生亭』**の、暖簾の明かり。


その明かりの前に、すらりとした影が佇んでいた。

そこに立っていたのは、不敵な笑みを浮かべたセシリアだった。

彼女の眼差しには、警戒と、困惑、そして微かな探究心が入り混じっていた。

新メニュー、爆誕!

やちるの料理人としての本領が、

ついに発揮されました!


『転生亭』の評判は高まり、

多様な客層が店に訪れるように。

いよいよ物語が動き出す予感……!


そして、満を持して登場したセシリア。

彼女とやちるの因縁は、

一体どのように展開していくのでしょうか?

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