米倉くんの憂鬱
梅雨が嫌いだ。
湿った空気がじめじめしていて気持ち悪い。身体中にカビやキノコが生えてきそうで怖くなる。
ああ、考えただけで憂鬱になってくる。
「うわぁ……。米倉がまた何かボソボソと独り言を言ってるよ。
ああいう陰気キャラって居るだけで周りの雰囲気まで暗くなるんだよなぁ」
誰かの陰口が聞こえる。
全く、何を考えようと人の自由だろ。勝手なことを言うなってんだ。
まあ、文句を言っても水掛け論になるだけだから敢えて反論はしないけど。
「放っとけよ。あいつはあいつで好きにやってんだから俺たちが関わる必要なんてないだろ。
それよりもさあ──」
ああ、その通りだよ。
でも、こうして無視を決め込まれるのもなんか腹が立つんだよな。なんか仲間外れにされているみたいで。
ああ、なんだか楽しそう。
僕も誘ってくれないかな……。
素直じゃないのは解ってる。
でも、こうして距離のできた今じゃ話し掛けるのは難しい。
はあ……。
いったいどこで間違ったんだろ。
雨の降る昼休みの教室。
今日もやっぱり憂鬱だ。
学校にこういう子っていませんでした?