09S.リトリン物語 後編
祖父は、そのとき自分の父親が、いつも言って居た「答えは、既に出て居る。」と言う、言葉を何故か、思い出しました。確かに「答えは、既に出て居ました。」祖父は、準備が整うと「リトリンのスレイパー」が居た、あの場所へと出掛けました。あの場所に着くと、あの「奴隷商人の店」が、まだそこに有りました。
大きな檻が3個、店の前に出されました。その檻の中には、まるで特売品のような、若いリトリンの娘達が、売られました。商品内容が、少し変わりました。個体数が、前回よりも、減りました。前回、奴隷商人の男から勧められた、あのリトリンの娘は、いくら探しても、そこには居ませんでした。
祖父は、慌てて店の中に入ると、あの男を捜しました。すると、あの奴隷商人の男も、気付いてくれました。そして嬉しそうな顔をして、中から出て来ました。その男も、祖父の顔を、良く覚えて居ました。「〝しめしめ、やっと来てくれたな″的なことを、内心秘めたような顔で、出て来た。」と、祖父は思いました。
祖父が、奴隷商人の男に「あの子はどうした。」と聞くと、その男は「ダンナ様は、絶対買いに来てくれると、思ったので、あの子をキープして、綺麗に洗ってから、化粧までして、ダンナ様が引き取りに来てくれるのを、待って居たのです。」と、言いました。そして奴隷商人が、奥の方に入ると、そのリトリンの娘を、連れて来ました。
その娘は「前回よりも見違える程、美しく成り、出て来ました。風呂に入れて、身体を綺麗に、洗ったようで、薄汚れて居ませんでした。ケダモノのような、匂いも無くなり、香水が吹き付けられたので、とても良い香りがしました。」
また「首から下は、長いポンチョのようなベージュ色をした、簡易型の魔人服を、着せられました。足には、サンダルを履かされて居ました。」祖父は、そのときの「リトリンの奴隷娘」を、見ると「自分は、とてもラッキーだ」と、思いました。それから奴隷商人の男は、この娘と祖父を別室に案内すると、奴隷娘を裸にして、祖父に身体の隅々まで見せて、傷が無いか、変な病気を持っていないか、検査をして見せてくれました。
祖父は、今回初めて、この奴隷娘の裸体を、見ましたが「リトリン」と言う、身体のハンデが、有りましたが、顔は美しくて、胸も大きくて、上玉の娘でした。一般的に、リトリンは、奇形の一種として、嫌われましたが、成人女性を、そのまま0.9倍から0.8倍位に、縮めた姿をしており、ただ小さいだけで、教育を受ければ、知能も高く、美しく、グラマーでした。
「リトリン」は、産まれてから成長して、それで有ると判明すると、親に捨てられる不幸な娘が、多かったのでした。この時代には、リトリンを「スレイパー(性奴隷)」として使う、需要が生れたので、リトリンの娘が産まれても、殺されたり捨てられたりは、しなくなり「スレイパー」として生きる道が、残されました。
祖父は「迷ったけれども買って正解だ。」と、思いました。この娘は、健気に裸にされて、見ず知らずの歳の離れた男に、身体の隅々まで見られましたが、取り乱すことも無く、自分の立場を、良く理解して居ました。とても利口な娘でした。奴隷商人が、言うには「この娘は、全く会話が出来ない。」と、言いました。「言葉を教えるのは、飼い主の自由で有り、教えたくなければ、そのままケダモノとして、飼えば良い。」と、言いました。まだこの時代の「リトリン」は、そうゆう待遇でした。
奴隷商人の男は、この娘は「下着に対応して居る。」と、言いました。祖父が、買いに来る前に、下着を穿かせて「排尿の仕方を教えたら、ちゃんと下着を脱いでから、排尿して、その後は紙で拭くことを、覚えた。」と、言いました。普通は教えても、直ぐに忘れてしまい、下着を穿いたまま、してしまう娘が、多かったのですが「この娘は、ちゃんと理解をして居る。」と、言いました。
祖父は、奴隷商人の男に大金を払うと、その男は娘を、椅子に座らせました。最後に、娘の足に簡易型のサンダルを、履かせました。それは直ぐに脱げて、無くならないように、長い紐が付いていて、脛に結ぶと、ブーツを履いて居るように、見えました。娘の亜麻色の髪は、綺麗で長かったので、太めの3つ編みにされました。その顔を、良く見ると「第52部隊のイザベル」と、そっくりでした。彼女がイザベルの祖母でした。
奴隷商人の男は、祖父に「お買い上げ有難う御座いました。」と言うと、この店独自に、編纂された「マニュアル本」を、授けてくれました。ここの娘の扱い方が、記された本でした。奴隷商人の男は、言いました。「奴隷商人は、悪い奴ばかりでは有りません。私は、ここの娘達全員が、幸せになって貰いたいと、いつも思って居ます。どうかその子を、幸せにして上げて下さい。」と言ったので、祖父は「分かりました。」と言うと、祖母を連れて店を出ました。
祖母には、奴隷商人の男の言葉が、理解出来ませんが祖母は、新しい飼い主に自分が、買い取られたことは、理解しました。新しい飼い主に成った祖父に、自分を大事にして貰おうと、祖父の片腕に、しっかりとしがみ付いて、自分の大きな乳房を、祖父の腕に密着させて、顔色を伺いながら、祖父に付いて行きました。
祖父が、店を出ると外には、立派な祖父の家の馬車が、待ちました。祖父は、戸惑う祖母を、馬車に乗せると、そのまま自宅の屋敷に、帰りました。祖父は屋敷に着くと、祖母を離れの奴隷棟に、住まわせました。そこで魔人類の言葉と、生活の作法を教えました。
祖父の名前は「テオドル」と、言いました。そして祖母には「イザリア」と言う名前を付けて、彼女を大事にしました。やがてイザリアは、祖父の子供を産みました。娘と息子でした。2人共、祖父にそっくりな子供でした。
彼女の産んだ2人の子供は、通常態でした。祖父の両親は、イザリアの生んだ子供を嫌いましたが、2人とも祖父に、そっくりでしたので、最後には愛してくれました。祖父は、イザリア以外の妻を娶らなかったので、彼女の産んだ2人の子供が、最終的に「祖父の後継者」に、成りました。
祖父は娘に「シフォン」と名付け、息子は「マイキー」と、名付けました。イザリアは、早死にしましたが、祖父は長生きしました。彼女の産んだ娘は、やがて成人して祖父の一族に当たる、遠縁の貴族の元へと、嫁いで行きました。祖父の娘の嫁ぎ先は、近い場所でした。そこで祖父の娘は、女子を出産しました。
祖父は、娘の産んだ子供の顔を、初めて見たときには、驚きました。まだ生まれたばかりの赤子でしたが、イザリアにそっくりな、顔をした初孫でした。祖父は大変喜び、産まれたばかりの、孫娘の名前を「イザベル」にしてくれと、娘夫婦に頼みました。するとそれが認められて、初孫娘の名前は「イザベル」に、決まりました。
祖父は大層、孫娘のイザベルのことを、可愛がりました。こうして「パルパンティア第52部隊」のNO.4こと「念動力のイザベル」が、誕生しました。しかし彼女の父親は、この世界では「忌子」と、呼ばれる存在でした。
それは、この世界の若い娘が、夜な夜な、正体不明の「インキュレス(男型淫魔)」に「テザリング(夢入り)」されて、生まれた子供を、そう呼びました。この地には淫魔が、居ませんが、運が悪いと遭遇しました。そして「イザベルの父親」は「鹿島瑠璃」の、もう1人の弟「ルーヒン」でした。