06S.放電撃のライガン救出作戦
これでウィンドルが、復帰したので、欠員は残り2人と、成りました。次の救出者の名前を「ライガン」と、言いました。この「第52部隊」では、NO.2とか単に2番と、呼ばれました。彼は、放電を使った攻撃が得意な、特殊能力者でした。
銃火器系の武器を、装備した現代戦に於いて、放電攻撃は、非常に有効でした。その為にも是非、取り返したい戦力でした。次の救出ターゲットは、ライガンに決まりました。彼の死亡時のビジョンは、NO.3で有るウィンドルに、送付されたので、死亡時までの詳細なデーターは、PCに保存されました。それに、同行者で有るヘイリンが、生存したので、作戦の対処に関しての問題は、何も有りませんでした。
ライガンとヘイリンのペアは、当時「ゲインズ・ヘルの戦い」と、呼ばれたシナールとの大規模戦闘に、駆り出されました。彼と彼女の2人は、シナールお得意の「偽情報」に、騙されて出撃したので、待ち伏せに会い「対ライガン用防具」で、武装された敵軍に、取り囲まれ致命傷を受け、死亡しました。
彼女は、多勢の攻撃を受けましたが、彼の必死の援助攻撃のお陰で、からしも逃げ延びることが、出来ました。彼を襲った敵兵の数は5人で、耐電装備をした戦士でした。彼の攻撃が、全て無効化されると、敵の援護射撃が彼女に集中したので、彼女の援護射撃を得られぬまま、厳しい戦闘での死亡でした。敵軍の射撃兵も5人でした。
「タクティス(T作戦)」実行中は、ライガンとウィンドルが入れ替わり、ヘルパーとしてスピロンを、メインの戦闘に、参加させました。自軍の長距離攻撃部隊は、敵兵が出撃したのを合図として、敵軍の遠距離攻撃部隊を「砲撃前に、叩き潰す。」と言う、戦略を立てました。
「タクティス」の実行開始は、ライガンの自宅地下室と、しました。「第52部隊」の隊員達は、各屋敷を自宅として、パルパンティア本部より与えられました。その屋敷には、共通で「秘密の地下室」が有り、地下室からは、外部へと続く抜け道が、有りました。彼らが戦う場所は、ここから暫く行った「廃墟の市街地」に、成りました。
そこには身体を隠す場所が、たくさん有り、こちらの都合も良い場所でした。戦闘時の敵の配置も、人数も、全て分かって居ました。人数的には、こちらが不利でしたが、各自の戦闘スキルは、敵軍を大幅に、上回りました。長距離砲を各自、装備させて、敵軍の遠距離攻撃部隊の死角に入り、当日は望む作戦でした。
長距離砲の担当者は、副長のバリアン、救出者のライガン、念動力のイザベル、リトリルのナタリアと、治癒のグラシアの5人でした。そして防御のジョスリンと、副長のバリアンが、自軍に防御バリアを、二重に張り巡らして、戦闘に臨む考えでした。遠射撃のヘイリンは、様子を見ながら本体とは、少し離れた位置で、敵軍の遠距離攻撃部隊員のトドメを、確実に刺す役割を、与えられました。
イザベル達は、準備を終えると、パルパンティア軍が、管理した彼の自宅に、集まりました。そして自宅に有る「秘密の地下室」に移動すると、そこに入り、ナタリアの手を握り、皆で輪に成り「タイム・リトア(時間遡行)」を、実行しました。
それを実行中は、周りが白く成り、飲み込まれる感覚を、各自が体験しました。やがて、いつもの感覚に戻ると、副長のバリアンが、時間を確認しました。すると予定通りに、時間が戻りました。早速バリアンから、ライガンに連絡すると、彼が慌てて、出ました。
バリアンが自分の居場所を、彼に告げると彼は驚き、驚いた彼が急いで、自分の家の地下室へと、降りて来ました。そしてドアを開くと、中に入りました。彼が中に入ると、副長のバリアンが、彼を待って居ました。バリアンが口を開くと「〝タクティス″で、ここに来た。」と、告げました。
ライガンが、地下室の中を見渡すと、隊長のファイアス以外、全員が揃って居ました。皆、重装備でした。そして「リトリンのナタリア」が、その中に居ました。彼は納得しました。彼は神妙な顔で、その言葉を聞きました。そして「明日の出陣で、俺は死ぬのか。」と聞いたので、副長のバリアンが「そうだ。」と、答えました。
続けて「お前達は、偽情報に踊らされたのだ。お前が死んだ後、我々は、十分に作戦を練り、ここに来たのだ。明日は協力して貰うぞ。」と、彼に伝えました。すると彼は「バリアン副長、了解しました。」と、答えました。
ライガンは、その日の内に、今回の作戦内容を、知らされました。そして自分の最後も、詳細に聞きました。今回の「タクティス」は、2回目で有ることも、聞きました。自分の他にも、ウィンドルも戦死して、彼を先に助けたので今回は、自分の番が、来たことを知りました。
ライガンは、嬉しかったようです。彼は、ウィンドルを見ました。すると彼が片目を瞑って、お道化て見せました。その日は、久し振りにライガンとウィンドルを囲んで、話し合いをしました。その晩は、皆で大いに、盛り上がりました。
一晩明けると、次の日が決行日でした。前日に「第52部隊」が、関わった他の作戦には、別動隊が変わりました。上官には、暗号コードと「タクティス」を伝えると、優先してくれました。決戦現場に到着すると一足先に、敵の狙撃部隊を一望出来る場所に、バリアン達の陣営を、築きました。ライガンは、ウィンドルと入れ替わり、スピロンと共に、偽情報でした、指定された時間が来るのを、待ちました。
時間が近づくと、奴らが現れ、ライガン襲撃の準備に入りました。総勢10名でした。ライガン襲撃部隊は、耐電防御服を着ました。他5名は、遠距離砲を準備しました。この砲撃で、ヘイリンを狙い撃ちにして、彼の援護を、出来なくさせる作戦でした。ウィンドルとスピロンは、フード付きの防御マントを羽織、顔が認識出来ないようにしました。この状況を見た副長のバリアンは「作戦通りで、とても上手く行って居る」と、思いました。
「タクティス」遂行時の敵の動きは、全て予測通りの動きでした。自分達は、未来から来たので、敵の動きを初めから知りました。とても有利な戦いでした。時間が来ると、ウィンドル達が現れました。敵側も該当者が、2人連れだったので、ライガンとヘイリンだと思い、余裕を持ち5人共、陣地から出ました。
それが合図でした。副長のバリアンと防御のジョスリンが、自軍に二重の防御バリアを張り巡らすと、放電撃のライガンと念動力のイザベル、それにリトリンのナタリア達の長距離砲が、火を噴きました。3発のミサイル弾が、敵陣に居た5人の射撃兵に、直撃しました。5人の射撃兵は、即死でした。
「ライガン襲撃部隊」は、自分らが罠を仕掛けたのに「自分らが罠に落ちた」のを、知りました。そして残った襲撃部隊は、ライガンとヘイリンだけでも殺そうと、必死に成りました。ウィンドルとスピロンは、フード付きの防御マントを脱ぐと、ウィンドルが、自分の前に両手で、横一文字に空を切ると、ギロチンの刃のような白い真空刃が、現れました。
そしてそれが、勢い良く発射されると、敵兵2名の胴体が、真っ二つに切れて上半身が、地に落ちました。次に彼が両手を縦に、引き伸ばすように空を切ると、白い真空刃が縦型に現れて、発射されました。敵兵の身体が、頭から真っ二つに割れて、地に落ちました。
ウィンドルの必殺技「烈風撃」でした。彼は真空刃を横一文字や、縦一文字に発射して、敵の身体を一瞬で、切り裂くことが出来ました。金属は、一瞬では切り裂くことが、出来ませんが、時間を掛けて集中すれば、薄い金属で有れば、断裂することも、可能でした。彼の技は、素早く強力でした。比較的高い消費能力を使わずとも、発射出来たので、攻撃の用途が広がりました。
スピロンが、フード付きの防御マントを脱ぐと、片手には愛用のジャックナイフが、握られました。敵兵の1人に狙いを定めると、その敵兵の前から、姿が消えました。すると敵兵の知らない、背後から突然現れると、敵兵の首を切り裂きました。敵兵は、鋭い悲鳴を上げると、そのまま倒れ込み絶命しました。スピロンは、高速移動が出来たので、一気に間合いを詰めて、相手を殺戮出来る能力を、持ちました。
最後の1人は、白い槍のようなものを、頭と首と心臓に、受けました。敵兵は、ヨロヨロしながら、前屈みに成りました。すると首に刺さった白い槍が、爆発しました。首がゴロンと、地に転がりました。それを少し離れた場所で、ヘイリンが見ました。こうして「ライガン襲撃部隊」は、全滅しました。
NO.3の「烈風撃のウィンドル」とNO.7の「離脱のスピロン」は、接近戦に於いては「第52部隊・最強」と、言われました。ウィンドルの真空刃は、強力ですが、金属や岩石等の固い物は、直ぐには、切れませんでした。切る為には、集中に時間を掛けたり、何度も発射したりしないと、切り裂くことが、出来ませんでした。
これで放電撃の「ライガン救出作戦」は、無事に終わりました。後は、現在に戻り、最後の1人と成る「隊長のファイアス」を、救出すれば「第52部隊」は、完全復活でした。「タクティス(T作戦)」は、余程のことが無い限り、失敗することが、有りませんでした。
イザベル達「第52部隊」は、無事ライガンを助けて、彼の自宅地下室に、戻りました。「タクティス」は、終了したら直ぐに戻ることが、鉄則でした。早速、リトリンのナタリアと、手を繋ぐと皆で輪に成り、現在に戻りました。彼が現在に戻ると、いつものように救出者は、一時的に意識を失いました。この現象は、亡く成る日から今日まで、ブランクが有る為に、起きる現象でした。その為、目が覚めるとブランクが、自然と解消されました。