05S.烈風撃のウィンドル救出作戦
手筈が整うと準備をして、決行日を決めてから、実行に移すことにしました。「タイム・リトア(時間遡行)」をして、過去に戻る日は、ウィンドルが死亡する前日の朝としました。それを行う場所は、彼が死亡する彼の自宅でした。
ウィンドルの自宅は、殺害現場で遭ったので「パルパンティア軍の本部」が、厳重に管理をしました。「タクティス(T作戦)」実行の許可は、既に取って居たので、イザベル達7人は現場に入り「タイム・リトア」の準備に入りました。それをして、過去に現れる場所は、彼の秘密の地下室としました。ここには抜け道も有り、屋敷の正面玄関を通らなくても、外に出ることが、出来ました。
「パルパンティア第52部隊」のNO.10こと、リトリンのナタリアは「タイム・リトア」をするべき、精神の集中に入りました。それは、いつでも何処でも、直ぐに出来るものでは、有りませんでした。通常は、彼女の自由意志でも出来るのですが、詳細な対象のデーターが無いと、成功率が下がりました。
今回は、詳細なデーターが、残って居たことと、有力な協力者が、多数残って居たので、その成功率が、かなり上がりました。「タイム・リトア」のやり方は、難しいものではなく、能力者と過去に戻る者達全員が、手を繋いで輪に成ると、発動しました。身に着けた物で有れば、それも一緒に過去へと、持参することが、出来ました。
ナタリアは、7人全員と手を結ぶと、静かに目を閉じました。そして精神集中をすると、周りが白く成りました。それから飲み込まれるような感覚を、各自が体験すると、それで終わりました。気が付くとイザベル達全員は、過去に戻って居ました。日付を確認するとウィンドルの殺害日、前日でした。副長のバリアンは、ウィンドルに連絡をして、自宅の地下室に降りて来るように、命じました。彼は、連絡を聞くと驚いたように、地下室まで降りて来ました。
副長のバリアンは、ウィンドルの顔を見ると「やぁ、久しぶりだね。」と、言いました。するとウィンドルは「副長、昨日会ったばかりです。」と、答えました。彼は、地下室の中に、仲間の隊員が7人、全員居るのを見て驚きました。特にナタリアが、居たので尚更、驚きました。
副長のバリアンは、彼に「今日は〝タクティス″で、ここまで来た。」と、言いました。すると彼は驚いて「だから、皆ここに居るのか。では僕が殺されるのは、今日か。」と、聞いたので、副長が「明日の晩だ。」と、答えました。すると彼は「まだ時間が有るな。」と、言いました。
副長のバリアンは、ウィンドルに作戦を聞かせると、彼は理解しました。当日は彼の寝室で、暗殺者を向かい撃つ作戦でした。彼の殺害現場は、イザベルが詳細に、ビジョンを通して、見て居たので、暗殺者の侵入経路は、良く分かりました。「タクティス」で、過去に戻ると、敵の動きが全て正確に、同じ動きで襲って来ました。それは全く、面白い程でした。
殺害日、当日の晩が来ました。ウィンドルは当日通りに、ベッドに入り寝た振りを、しました。ドアの前には、イザベルが控えて、暗殺者が入って来たら、得意の「テレキネス(念動力)」で、動きを止めてから、副長のバリアンと疾風のスピロンの2人が、止めを刺すことに、成りました。
暗殺者の侵入経路は、正面玄関より侵入して、彼が眠る寝室へと入り、室内で戦闘に成り、隣室に移動後に、殺害されました。その玄関には、1人の補助要員が待機して、周りを監視しました。この補助要員を殺害する役は、遠距離攻撃が得意なNO.5ことヘイリンと「リガード(後衛)」部隊員達が、担当しました。
ヘイリン達、リガード部隊員達は、ウィンドルの屋敷から、少し離れた場所の、正面玄関が良く見える場所で、待機しました。やがて時間が来ると、暗殺者の3人が、来ました。1人を正面玄関に待機させると、玄関を壊して暗殺者の2人が、侵入を開始しました。今回の作戦は、暗殺者2人が中に入り、5分後にヘイリン達が、攻撃を開始する、手筈でした。
5分経つと早速、ヘイリンの必殺技「爆裂の槍」が3本、彼女の頭部付近に現れて、待機中の暗殺者に目掛けて、発射されました。その光る槍は、待機者の頭部と首、そして心臓に突き刺さると、貫通して待機者は即死でした。その槍は、破裂させることも、出来ました。しかし音が出るので今回は、破裂させませんでした。
ヘイリンとは「パルパンティア第52部隊」の「遠距離攻撃コマンデス」で有り、部隊名はNO.5とか、そのまま5番と、呼ばれました。得意技が、遠距離攻撃で、自分の頭部の周りから、最高で3本までの光る槍を、出現させて、それを遠くまで飛ばして、命中させることが、出来ました。また、それを任意で、破裂させることも可能でした。
ヘイリンの容姿は、肌色が少し黒くて、髪も黒く長髪でした。目が吊り目気味で、瞳の色も黒く、輝いて居るように、見えました。眉が細くて切れ長で、眉尻が上がって居ました。鼻翼が狭くて唇が、ふっくらしました。彼女の顔付きは、悪人面でしたが、性格は正反対で、優しくて親切な、良く気が利く娘でした。体格は小柄でしたが、胸が大きくて、独特な顔付きでした。その顔は、見慣れると美人顔でした。
この第52部隊の男性隊員達は、彼女の隠れファンが多いようでした。いつもNO.4のイザベルとは、対に成っており、彼女を援護しながら、敵を攻撃するスタイルを、取りました。また、このイザベルとの組み合わせは「第52部隊・最強ペア」と、呼ばれました。その為かなり強力な、組み合わせでした。彼女は、年上のイザベルのことを、かなり慕って居ました。
「リガード(後衛)」部隊員達は、敵の待機者を始末すると、計画通りに、ウィンドルの屋敷の地下室へと、移動を始めました。帰る途中、念の為ナタリアの拳銃で、敵の待機者の頭に、銃弾を一発撃ち込んでから、戻りました。リガード部隊のメンバーは、遠射撃のヘイリンと、防御のジョスリン、それと治癒のグラシア、リトリンのナタリアの4名でした。
ウィンドルの屋敷の中に、入って行った暗殺者達は、計画通りに彼の寝室の、ドアの前まで、辿り着きました。そして2人で相槌を打つと、ドアの扉を開いて中に、入りました。すると中には、見慣れない若い娘が、2人を見ました。暗殺者には、この娘が何故か「ダルタニアのサキュレス(淫魔)」のように、見えました。次の瞬間、暗殺者の身体には、強い重力が掛かり、そのまま床に倒れ込んで、身動きが出来なく成りました。暗殺者達は、計画が失敗したことを、悟りました。しかし後の祭りでした。
副長のバリアンが、1人の暗殺者の首を、ヘッドロックすると瞬時に、首の骨を折り、即死させました。離脱のスピロンも、愛用のジャックナイフを、暗殺者の首に当てると一気に、喉元を切り裂き、殺害しました。これで今回の作戦は、無事に成功でした。副長のバリアンは、救出したウィンドルと、イザベルそれに、スピロンを伴い、この屋敷に有る、秘密の地下室へと引き上げました。メンバーは、この4名でした。
副長のバリアン達が、地下室に戻ると、リガード部隊員達は、まだ帰って居ませんでした。それから少し遅れると、その部隊員達が、戻って来ました。そしてその部隊のヘイリンが「グラシアが敵の集団が、迫って来るのを、察知したようです。」と、副長のバリアンに、進言しました。
グラシアとは、第52部隊のNO.9と言われ、単に9番とも呼ばれました。リガード部隊の所属で、治癒能力の達人でした。彼女が、この部隊に居る限り、隊員が重傷を負っても死ぬことが無く成り、生存率が一気に上がりました。しかし失った人体の再生や、死者の蘇生は、出来ませんでした。また攻撃能力も高くて、彼女は日本刀のような細身の剣を、常時装備しており、剣技にも優れました。また敵の探知能力を持ち、敵意を向けて、迫って来る相手を察知して、いち早く迎え撃つことが出来ました。
グラシアの容姿は、細身でスラッとした身体付きでした。髪が、金髪の長髪でした。瞳の色が、灰色で有り、唇の色が薄いピンク色でした。また顔の表情が、いつも悲しそうに、見えました。しかし彼女も中々の美女でした。
副長のバリアンは、ヘイリンの進言を聞くと、ナタリアに命じて、帰還の準備をさせました。彼女は早速、精神の集中を始めました。皆で手を繋いで輪に成ると、来たときと同じように、周りが白く成りました。そして飲み込まれる、感覚を体験すると、無事に現在まで、戻りました。念の為バリアンが日付を確認すると、旅立った日に、成りました。これで万事、予定通りでした。
ウィンドルが現在に戻ると、いつものように救出者は、一時的に意識を失いました。この現象は、亡くなった日から現在まで、ブランクが有る為に、起きる現象で有り、目が覚めた頃には、ブランクが自然消滅されました。これで殺された隊員の1人を、過去に戻り、助け出すことに、成功しました。殺された隊員は、後2人でした。この隊員達も「タクティス」で、順次救出する予定でした。
また現在人が過去に現れると、過去に居る本人と2人存在するように、成りましたが、この世界では、現在人が優先されるので、過去に居る本人達は、一時的に消えました。その為「過去の自分との感動の再開」的なシーンは、ここでは起きませんでした。