03S.不潔の民エグソン族
一般的な「エグソン族」の最大の特徴としては「不潔」が、挙げられました。衛生観念が全く無く、泥水だろうと腐ったモノで有ろうが、躊躇せずに、食らうことが出来ました。何週間も風呂に入らず、身体を洗うと言う観念が、全く有りませんでした。衣類のようなモノを纏いましたが、衣類が汚れても、洗濯をすることもなく、ボロ切れのように成り、腐臭を放っても、全く気にしませんでした。
とても甘いモノや、しょっぱいモノ、辛いモノ、そして臭いモノ等、刺激の強いモノに対して、美味しいと思う習性を、持ちました。特に自分の排泄物が大好きで、壺に貯め込んで、強烈な匂いを嗅ぎながら、喜んで食べました。雨が降っても、傘を差したり、雨宿りしたり、することも有りませんでした。ただジッとして、ケダモノのように、雨が止むのを待ちました。そして雨が止むと、動きました。
下等な生き物らしく、嘘つきで粗暴で、残虐な性格でした。欲しい物が有ると、他者の物で有ろうが、無かろうが、見境なく略奪して、手に入れました。その為には、平気で、人殺しもしました。どんなときでも相手が悪くて、常に自分が正しいと、思いました。エグソン族は、自分の主張のみを通して、相手の言い分を全く、聞こうとしませんでした。
自分が悪いことをしても、決して謝ることが、有りませんでした。悪いことをしても、それが悪いことで有ると認めず、飽く迄も「指摘した者が悪い。」と、言い放ちました。完全に悪質でした。エグソン族は、他者を嬲り殺しにするのが好きでした。相手が痛がり、藻掻き苦しむ姿を見るのが、愉快で堪らないようでした。
パルパンティアの中世期頃に「亡者の洞窟」と、呼ばれた原始的な穴に、潜んで居たエグソン族の一部の者達が、何故か洞窟の外に出て、近くで暮らす「ホモサピレ」の村を襲い、略奪と殺戮をしながら、女型魔人を凌辱して、その村を手に、入れました。そしてそこで始めて、醜い「交配種」が、生まれました。それから彼等「エグソン族」の快進撃が、始まったのです。
暫く、その辺りで「エグソン族」が、数を増やすと、近くで弱体化した「ホモサピレ」の国が、有りました。その国の名前は「ゴクソンカ」と言って、程度の低い文明でしたが、独自の文明を持ちました。それを遠くから見た「エグソン族」は、その文明が欲しく成り、その国が弱って居るのを確認すると、武装して奇声を発すると、その国に襲い掛かり、略奪と殺戮を繰り返して、その国の乗っ取りに、成功しました。
エグソン族は「ゴクソンカ」の国を、乗っ取ると自らを、その末裔と称して、周辺国には、自分達が作った文明で有ると、嘯きました。やがて国名を似たような名前「クソンカス」に改めると、自分らの歴史は5000年有ると、嘯きました。こうして「エグソン族」は、洞窟を抜け出すと「ホモサピレ」の村を襲い、それを足掛かりにして、弱体化して衰えた「ホモサピレ」の小国を乗っ取り、そこを塗り替えるように、自分らの国として宣言して、着実に勢力を伸ばしました。
しかし「エグソン族」の勢力も、そこで終わりました。それから長い間、周辺の大国に、支配されて植民地と成り、その大国の奴隷に成り、長い期間、虐げられました。その大国の名前を「シナール」と、言いました。「パルパンティア中央共和国連邦」を、構成する1国でした。
この「シナール」と言う国は、パルパンティアの、4大文明の1つと言われた、古くて長い歴史と、文明を持つ国でした。昔から優秀な人材も多数、輩出されており、パルパンティアの地方の魔人類達からも、一目置かれた国でした。しかしここ数百年間は、劣化を続けており、優秀な人材も優れた発明も無く、ただ不潔で粗暴な、嘘つき低級国に、成り下がりました。
その為、周辺の「ホモサピレ」の国々からは、蔑まれ、嫌われた存在に、成りました。この「シナール」が、急速に劣化したのは、理由が有りました。それは「エグソン族」の存在でした。「シナール」が、周辺国でした「エグソン族」の国を、植民地にすると、その国のメスを献上品として、宗主国の「シナール」に、上納することに成り、大量の「マングレイ」のメスが「シナール」の遺伝子に入り込んで、遺伝子汚染が、始まりました。
これが何世代にも渡り、繰り返し「シナール」で続いたので、今では住人の大多数の魔人類達が「マングレイ」化して、低俗で愚かな国に、成り代わりました。「シナール」は、正式名を「パルパンティア・シナール」と言い、中央共和国連邦では、指導部にも多数のシナール人が、入りました。しかし最近では問題ばかりを起こし、他の指導者達の話しが理解出来ずに、好き勝手な理屈ばかりを言い、いよいよ共棲が、出来なく成りました。
いち早く、シナール人の異変に気付いた指導部達が、極秘にシナール人の遺伝子調査をした結果、ある重大な事実を、知りました。それはシナール人が、魔人類本来の種で有る「ホモサピレ」では無く、別種族の或る生き物に、変わって居たのです。その生き物の名前が、旧魔人類「マングレイ」でした。その為、パルパンティア指導部は「排除すべし」と判断して「シナール」を切り離して、選別戦争を始めました。
「シナール」を、装った「エグソン族」は、悪知恵を急速に発揮して「エグソン族」最大の習性でした「不潔」を隠そうと、必死に成りました。着替えたこともない服は、2日に1回は、必ず着替えをして、自分の悪臭を防ぎました。また風呂も2日に1回は、入るように成りました。自分らが不潔な「エグソン族」ではないことを、必死に隠しました。
しかし既に遅く、パルパンティア中央政府は決断すると、速やかに「シナール」を、切り離しました。「シナール」には、僅かな「ホモサピレ」が、残りました。しかし彼等が、それを盾にしてパルパンティアに、有利な交渉を、しようとしました。しかし本来が、嘘つきで交渉の出来ない、別種の生き物だったので、奴らの主張は無視され、そのシナール人は、皆殺しにされました。
「ホモサピレ」で有る、魔人類は「エグソン族」よりも大分、人柄が良かったせいで、随分と騙され、利用されました。しかし気付いて、団結すると強いのです。「シナール」は大国で有り、パルパンティア本国と、同等の武器も所有しました。しかし兵力と、兵隊の数に於いては、劣りました。奴らの得意技は、嘘と情報錯乱でした。ここでの戦争は、小隊同士の小競り合いが主でした。大量破壊兵器の使用が、許可されずに、少しずつ相手を追い詰めて、叩きのめす戦い方を、主としました。
イザベル達「第52部隊」は、現在「シナールの第38部隊」との交戦中でした。シナールの、その部隊も10人態勢でした。その隊は狡猾で、ねちっこい戦い方を、得意としました。奴らは、言葉巧みにイザベル達、部隊の戦力を分散させて、1人ずつ殺害する、戦法を取りました。
イザベル達「第52部隊」の隊長でした「火炎撃のファイアス」は、火炎系特殊能力の熟練者でした。不覚にも奴らの罠に嵌り、単独で戦って居た所に、防火装備をした、敵兵の「シナール第38部隊」の小隊に、攻め込まれ、なすすべも無く、殺害されました。次の部隊メンバーでした「放電撃のライガン」も、雷系特殊能力の熟練者でした。
遠距離攻撃が得意な、ヘイリンと共に戦う筈でした。しかし偽情報の為に、誘き出され「シナール第38部隊」の腕力に長けた、突撃隊の耐電装備に、負けてしまい、敵兵に取り囲まれ、殺害されました。ライガンは死に物狂いで、相手の1人を感電死させました。しかし敵部隊の欠員は、直ぐに補充されました。
「パルパンティアの小隊」は、欠員が出ても直ぐには、補充されませんでした。相手部隊で有る「シナール第38部隊」は、優秀で尚且つ、強かったのです。手強かったのでイザベル達「第52部隊」の担当に成りました。
次に、狙われたのがイザベルでした。イザベルは若い女性でした。敵兵も油断したのか、彼女が自宅付近で、作業をして居るときに、襲われました。彼女は、臭い匂いに気付いて、敵兵の存在を、察知出来ました。襲撃者は2人でした。しかし彼女の視界に入ると、敵兵の2人は瞬時に、首を捻じ切られて、絶命しました。彼女は、その愛らしい容姿からは、想像も出来ない程に、強力な「テレキネス(念動力)」を、使うことが、出来ました。「イザベル」は、第52部隊・最強のコマンデスでした。
「イザベル・ハガン」の容姿は、少女のような姿でした。肌色は、ごく普通の肌色でした。そして目が大きくて、キリっとしました。瞳の色が黒でした。また唇の色は、桃色で、ふっくらしました。髪の色が亜麻色でした。そして髪を、太めの3つ編みにして、両サイドに垂らしました。彼女は、可憐な少女でしたが、巨乳の持ち主でした。そしてダルタニアの「淫魔」のような、妖艶さを併せ持ちました。
「シナール第38部隊」は、対象者の選択の誤りを認めました。そして次のターゲットをNO.3でした「烈風撃のウィンドル」に、変更したのです。ウィンドルは、風系特殊能力の熟練者でした。敵兵の部隊は、ウィンドルが就寝した頃と、思われる真夜中に、彼の自宅に暗殺者を、送りました。そして彼の得意技を封じる為に、全身を金属製の鎧で防御して、彼に襲い掛かりました。ウィンドルは、必死に成り善戦しました。しかし彼の攻撃が、無効化されると、敢え無く攻め込まれ、無残に殺害されました。
これで、イザベル達「パルパンティア第52部隊」の主力の攻撃系が、3人も殺されました。敵部隊の「シナール第38部隊」とは、隊長のベンキスを中心とした精鋭部隊で有り、確実に相手の主力を、始末する戦法を、得意としました。相手が主力を失い、弱体化すると全貌を表して、一気に攻め込む「戦法」でした。
その主戦力は、暗殺に長けた「接近戦」が主で有り、格闘術や剣術が、得意でした。「シナール第38部隊」の主要メンバーは、隊長ベンキス、副長ウンコンとオシッコス、隊員がゲロス、ケツール、クサイン。その他、女性隊員が4名の、合計10名体制でした。特に女性隊員は、銃火器の操作に、長けました。
「エグソン族」は、パルパンティア人とは、似たような容姿でした。しかしその顔を、良く見ると大分、異質な顔でした。それは、顔が扁平で有り、吊り眼でした。眼と鼻が小さくて、四角い顔でした。直ぐ興奮して、煩く騒ぎました。いつも、他人と比較をして、相手が自分よりも良いと、嘆き悲しみ、我慢が出来なくなると、相手に殴り掛かりました。
犯罪も日常茶飯事で「エグソン族」の遺伝子汚染に、遭った者達は、例外なく犯罪を、繰り返しました。初めの頃のパルパンティア人は「エグソン族」も、自分らと同じ魔人類だと、思いました。しかしそれが大きな誤りでした。奴らは、自分らとは根本が、全く違う「別の生き物」でした。
人間が、猿とゴリラを幾ら教育しても、決して人間には、成らないように奴らも、決して「ホモサピレ」には、成りませんでした。そのことに、漸く彼等も、気付きました。「エグソン族」は、決して反省することもなく、悔い改めることもしませんでした。「エグソン族」の対処方法は、極めて簡単で有り「根絶」しか、有りませんでした。見つけたら、その場で殺すのです。
「シナール人」が、良く自分達で言って、自分達で実行した「敵を、根こそぎ探し出して、一族皆殺しにする。」と、言うやり方でした。それは「エグソン族」の対処法、そのモノだったのです。