02S.浮遊大陸パルパンティア
ダルタニアの浮遊大陸は「パルパンティア」と、呼ばれました。その数は、大小合わせると、数百余りの浮遊大陸から、成り立ちました。そこには大陸専用の魔人類達が、住みました。彼らは、創造神からは「ホモサピレ」と、呼ばれました。そして彼等は「右側神サタナス」が「中央神ゼビス」の創った人類の、科学文明に対抗する為に、創られた魔人類でした。
サタナスの魔人類達は、人間と同程度の能力を与えられ、独自の文明と科学力を高める為に、その大陸に住まわせ、魔人類同士に競わせました。誕生当時は、非力で原始的なものでした。しかしそこには、魔人類達に脅威を与えるような、凶悪な怪物達が、居ませんでした。しかし「地上世界」の飛行魔獣達が度々、飛来しては魔人類達に、脅威を与えました。それを見た「右側神サタナス」は、その対抗手段として、魔人類の一部に、特殊能力を授けました。そしてダルタニアの飛来魔獣達に、対抗させました。
その特殊能力とは、主に自然現象の力を、発揮する能力でした。例えば、攻撃系で有れば「火や雷や風の力」を、利用するものでした。また防御系も有り、それは「物理防御バリア」で、有ったり「治癒能力」で、有ったりしました。それから特殊なものとして「離脱や逃走」の力で、有ったりしました。
それら「特殊能力保持者」を、パルパンティアでは、畏敬を込めて「戦闘コマンデス」と呼ばれ、崇めました。近代では、魔人類達が大分、科学文明を高めたので、その科学力に依り、ダルタニアの飛来魔獣達を、撃退出来るように成りました。その為、今では、その出現率が低く成りました。それでも最近、魔人類達に、とても大きな脅威が、迫るせいか、また出現率が上がり始めました。そして従来には無かった、新しいタイプの能力保持者も、出現するように成りました。
ここは、自宅のベッドの中でした。「イザベル・ハガン」は、悪夢を見ました。そしてビックリして、起きました。それは、仲間の「ウィンドル・ゼアン」が、敵兵に追い詰められて、無残に殺された夢でした。いや、それは夢ではなく現実でした。彼女が所属する「パルパンティアの小隊」は、普通10人態勢でした。各々1から10までの数字が、割り振りされました。連続する前の数字の者に、危機が訪れると、後の数字の者に、その「危機ビジョン」が、送付されました。それは本人が見たものが、そのまま送付されました。
イザベルはNO.4でしたので、NO.3に当たる「烈風撃のウィンドル」が、危機に陥ると、そのビジョンの送付が、イザベルに送られました。そして殺されるとビジョンが、途切れました。それが途絶えた場合は大概、戦死したことに成りました。彼女達NO.1からNO.5までは「バンガード(前衛)」と呼ばれ、攻撃に特化した者達で、構成されました。「パルパンティアの小隊」は、男女混合で有り、バンガードが攻撃を担当して「リガード(後衛)」が、防御・支援を担当しました。
イザベルはNO.4とか、そのまま4番とか呼ばれました。彼女は「戦闘コマンデス」の中では、新たな能力の1つと、言われた「テレキネス(念動力)」を、使えました。彼女は、それを使い、相手に攻撃しました。それからその能力を使い、仲間の攻撃力や守備力の強化も、することが出来ました。彼女の能力は、とても優れたものでした。
イザベル達の小隊は「パルパンティア第52部隊」と、呼ばれました。屈強な男子がNO.1からNO.3を占めて「攻撃の要」と、成りました。その能力はNO.1が「火炎」を使った攻撃が得意で、名前を「ファイアス」と、言いました。この者が、この小隊の隊長でした。しかし残念ながら彼は、既に戦死したので、今は居ませんでした。
NO.2が「電気」を使った攻撃が、得意な者で、名前を「ライガン」と、言いました。彼も既に、戦死しました。次のNO.3が「烈風」を使った攻撃が、得意でした。彼の名前を「ウィンドル・ゼアン」と、言いました。彼も今は「戦死した」と、思われました。
残ったバンガード(前衛)の攻撃担当は、今では女子のみと、成りました。NO.4の「イザベル・ハガン」と、NO.5が「遠距離攻撃」の得意な、名前を「ヘイリン」と、言いました。NO.6からNO.10は「リガード(後衛)」と呼ばれました。主に防御と、支援(治癒)を、担当しました。NO.6は男性で「物理防御バリア」を使えることに、長けた格闘家で、接近戦が得意でした。この小隊は「先発隊」を、組織するときが、有りました。それはNO.1からNO.3と、この防御力に長けたNO.6で、構成されたチームでした。
このNO.6が、この小隊の副隊長で有り、名前を「バリアン」と、言いました。NO.7も男性で、名前を「スピロン」と、言いました。彼の別名は「離脱のスピロン」と、言いました。彼は、部隊の全滅を阻止する為に、あらゆる危機からの脱出に、特化した特殊能力を、持ちました。
それは高速での移動で有ったり、脚力が強いので、ジャンプ力で有ったり、走る速さも優れました。また空気の無い場所でも一定時間、生きることが出来ました。それは海中で溺れたり、生き埋めに成ったりしても、生き残る為の能力でした。
NO.8とNO.9は、女性でした。NO.8も、防御に長けた能力を、持ちました。治癒も、少々出来ました。名前を「ジョスリン」と、言いました。彼女は、接近戦では剣技が使えました。そしてNO.9が、治癒能力に特化した者で、名前を「グラシア」と、言いました。失った部分の再生は、出来ませんが、重傷者が居ても彼女が隊に居れば、生存率が、かなり上がりました。彼女も剣技が得意でした。
そしてNO.10は、不在でした。しかし特殊能力が使えるので、緊急のときにのみ派遣されました。この小隊の担当者の名前を「ナタリア」と、言いました。彼女は、神秘的な「縮小魔人のリトリン」でした。
イザベル達の小隊は「パルパンティア中央共和国連邦」の第52部隊と、呼ばれました。そして敵勢力で有る「パルパンティア・シナール」と、戦いました。これも元々は、共和国連邦の1つでした。しかし国民の大半が、知らない内に、異生物の遺伝子汚染を、受けたので、今では違う生き物達が、支配する国と、成りました。その為、共和国連邦からは、排除の対象に、指定されました。排除とは、即ち「抹殺命令」のことでした。
イザベルは「副隊長のバリアン」に、仲間のウィンドルが、死んだことを伝えました。バリアンは、その報告を聞くと、酷く驚きました。そして「今晩は、そのまま待機して明日、第52部隊の屋敷に、集合せよ。」と言う命令を、彼女に伝えました。夜が明けると早速、彼女は、第52部隊の屋敷に、向かいました。彼女は、この屋敷から一番遠い場所に、住んで居たので、着いた頃には、メンバー全員が、揃って居ました。
イザベルは、早速メンバー達に、昨日の夜中に送られた仲間の「ウィンドル」からの、緊急ビジョンについて、話しました。副隊長のバリアンは、彼女からの詳しい報告内容を、データーにインプットしました。このデーターは後程に、極めて重要な資料に成るので、詳細な内容を記録しました。
このデーターは、他にも先に戦死した、ファイアスとライガンのものも、同様に保管されました。最近シナールとの激戦が、続いたので、攻撃系の仲間が次々と、戦死しました。ここはダルタニアの浮遊大陸で有り、通称「パルパンティア」と、呼ばれました。
この世界は「キューブィ」と呼ばれる「六面立方体の内部世界」の中に、有りました。その内部世界の広さは、地球4個分が、丸々と収納出来る程の、極めて広大な空間を、有して居ました。この世界を、大きく分けると「3つの世界」に、分類出来ました。即ち「地上世界と地下世界、そして天上世界」でした。ここ「パルパンティア」は、天上世界に当たりました。
地上世界は、1つしか有りませんが、地下世界と天上世界は、何層にも分かれており、多数存在しました。「パルパンティア」は、大小様々な数百にも及ぶ「浮遊大陸」から、成り立ちました。浮遊大陸は、移動せずに、同じ場所に留まりました。何故そこに在り、地上に落ちずに、浮かんで居るのか、その理由を知る者は、誰も居ませんでした。
「右側神サタナス」は、このパルパンティアに「中央神ゼビス」が、創った人類と、良く似た「魔人類」と、呼ばれる「サタナスの人類」を、創造しました。この「創造神サタナス」の存在は、この世界の魔人類達には「自分達を、創造した神」として、その名前を広く、知られました。
「創造神サタナス」は、その魔人類達に、人類と同等の知恵を授けて、パルパンティアに住まわせ、互いに競わせて「ゼビスの人類」に、負けない科学文明を、持たせようとしました。そして優秀な者達には、その地の所領を与えて、管理と運営を、任せました。長い年月の間には、様々な魔人類の国が、生まれては、滅びました。そして優秀な魔人類達が、生まれる頃に、たくさんの国に分かれた、魔人類の国が、大きな1つの国へと、統合されました。
その魔人類達が、自ら統合して作った国の名前を「パルパンティア中央共和国連邦」と、言いました。略して「パルパンティア連邦」の誕生でした。まだ、この連邦国家に、所属しない国も、多数有りました。しかしこのような形で「魔人類ホモサピレ」の纏りが、見られました。
魔人類達は、単一種で有り、人種的には何種類かに、分かれました。しかしどの人種と交わっても概ね、子孫が残せました。その為、彼等は平和で、秩序有る世界を、築きました。
「魔人類の世界」は、別種族の居ない単一種の筈でした。それが何時の間にか、自分らの知らない処で、別種族で有る「マングレイ」と、呼ばれる旧魔人類達が、ひっそりと着実に、自分達の世界に、入り込んで居ました。このマングレイは、ホモサピレの出現前の旧魔人類で有り、容姿が似て居ました。しかし遺伝子レベルでは全く違う、別種の生き物でした。猿と人間とゴリラは、形が似て居ますが、全く別種の生き物のように「ホモサピレ」と「マングレイ」も、中身が全く違う、別の生き物でした。
しかしこの「マングレイ」は、ホモサピレの比較的近種で有る為に、不幸なことに、交配種が生まれました。ホモサピレの魔人類の先祖達は、弱い者が一方的に殺されたり、凌辱されたりしながら、この別種族と交わってしまい、その結果、遺伝子汚染が広がりました。酷い場所では、住人の大半が「マングレイ」に、変わった所も、有りました。
この「マングレイ」の種が、死滅せずに、古代からしぶとく、この地に生き残ったのには、理由が有りました。それは「マングレイの遺伝子」は、交配可能な種と交わると、自分の遺伝子のみを優先させて、取り込んだ、新しい種の遺伝子を、死滅させて遺伝させないと言う、極めて悪質な性質を、持ちました。その為、産まれた交配種は「マングレイの特徴のみ」を、強く受け継いだ個体と成り、他種族の特徴を残せないと言う、不都合が生まれました。この「マングレイ」は、差し詰め「ゲノム(遺伝子)」の魔獣でした。
「創造神サタナス」は、何回も魔人類を創ったり、壊したりを、繰り返しながら、漸く、お気に入りの魔人類を、創造しました。そしてそれを、創り出す過程に於いては、何種類かの失敗作で有る「旧魔人類達」も、たくさん居ました。しかしそれは、時間の経過と共に、大部分は死滅して滅びました。
しかしサタナスさえも、知らない場所で、或る種族のみが、パルパンティアの寒冷地の中で「亡者の洞窟」と、呼ばれた暗い洞窟の中でひっそりと、自分の排泄物を食べながら、近親相姦を繰り返しながら、自分達の遺伝子を破壊しながら、生き残った旧魔人類達が、居ました。それを「エグソン族」と、言いました。それは、この地のみに生き残った「マングレイ」の一部族でした。