01S.匠大神の至宝
☆侵略者は成り済まし、不潔で嘘つきな、別の人類で有った。
「中央神ゼビス」との神界戦争時に「右側神サタナス」は、念願の「神の積木」と、呼ばれた「キューブィ(六面立方体)」を、取り戻すことが出来ました。「ゼビスの人類」では「堕天使王サタンは、全能の神に戦いを挑み、敗れて地の底に落ちた。」と言うことに、成りました。しかし真相は「神の積木」を、取り戻した堕天使王は、それを安全な「サタナスの次元」で、起動させると「その内部世界に、一族を挙げて帰還した。」と言うのが、正しい表現でした。「ゼビスの人類」とは、敵対して居た「中央神ゼビス」が、創った人類のことを、言いました。
元々「サタナスのキューブィ」は、彼の先祖でした「匠大神サタナキア」が子孫の為に、作り上げた至極の一品でした。その形状が、積木のように、見えたことから、後に「神の積木」と、呼ばれました。それを「中央神ゼビス」が、出現すると、取り上げられ「神々の至宝」として、宝物庫に格納されました。
サタナキアの末裔で有る「サタナス」が、良く言いました。「あのキューブィは、私のものだ。」それから長い年月が、経ちました。サタナスが、幾ら返せと訴えても「ゼビス」は、頑なに拒否しました。そしてゼビスが、言いました。「あれは、お前が持つものではない。」怒ったサタナスは、奪還の準備を整えると、反乱を起こしました。
彼は、苦戦の末「キューブィ」を取り返すと、再び奪われることが無いように、一族を挙げて「中央神ゼビス」の元を、去りました。「全知全能の神ゼビス」は、不徳の神でした。「右側神サタナス」は、神界ではゼビスの隣に立つものと言われ、彼の配下の魔神達は、神の軍団の1/3を占めました。それをゼビスは、自分の代で失ったのです。
「中央神ゼビス」は、失った1/3の神の軍勢を、補充する為に、自分の眼の中に有る、大宇宙の1つ、太陽系と言う星座の中から、地球と言う惑星を選びました。そして、その大地から「自分の姿と良く似た、人類と言う名前の生命体」を、創りました。
ゼビスは、その人類達を精進させて、やり遂げた者のみを選別して、欠落した「神の軍団員」として、補充する計画を、立ち上げました。かくして「右側神サタナス」は「ゼビスの人類」世界をも巻き込んだ「中央神ゼビス」との対立関係を、深めました。
「右側神サタナス」と、その軍勢は、キューブィを起動させると、巨大な「御神門」が、出現しました。そして、その「内部世界」に、一族を挙げて入りました。そこは、大変美しくて、大地も生物も、とても良く出来ました。サタナスは、この世界の中心部分に到着すると「神塔(バーベルの塔)」と言う、サタナスの居城を築きました。そして塔が完成すると、サタナスの一族と、その幹部達一同が、そこに移住しました。その他の者達は、タワー周辺に居住するように、成りました。
「右側神サタナス」は「神塔」での基盤が、安定すると「キュービン」の最良区画の1つに「淫魔界」を、創りました。それは「ゼビスの人類」の失われた神の軍勢への、補充計画を、阻止する為の布石でした。その区画で、淫魔を大量に量産して、人類世界に、放出する計画でした。
「淫魔界」は「ゼビスの対人類への攻撃の要」と、成りました。そして淫魔は、人類を誘惑する力に、長けており、対人類に関して言えば、とても有効な攻撃手段でした。しかし淫魔は、物理攻撃に弱く、自身の物理攻撃能力も、低いものでした。
キュービンでの「淫魔界」への出入口は、1ヶ所のみとしました。その入口を、防御力に特化した「使い魔」を創りだして、その防御の要としました。そして要塞化した「ゴーレム使いの里」の前衛部分には、可燃性の高い森林地帯「バフォメトンの森」を設けて、攻撃魔法に特化した「バフォメトンの魔女」を、配置しました。
それは、招かれざるものや、凶暴な魔獣達が、来たときの為に、魔女達に獣が嫌う、火炎魔法を所持させて、対峙させました。淫魔界周辺が上手く整理されると「右側神サタナス」は、その管理を自分の後継神でした「原初の魔神リーリス」に、託しました。彼女に「淫魔達の生産と管理」を、全て引き継がせました。
「ゼビスの人類」は、余り出来が良く有りませんでした。彼らは、同族同志で殺し合いをしながら、科学文明を発展させました。人類単体では、左程の攻撃能力は、有りませんが、敵対する者に対しては、殺傷能力の極めて高い「強力な武器」を、作り出す能力を、持ちました。「右側神サタナス」は、それを見ると「ゼビスの人類は、我々の脅威に、成るだろう。」と、思いました。その為サタナスも、その人類に対抗出来る、科学文明を持つ「サタナスの魔人類」を、創ろうと思いました。
キュービンの大地は「ダルタニア」と、呼ばれました。地下世界は「アルザンティア」と、呼ばれました。何れもその地には、将来的に狂暴な魔獣や、食欲旺盛な魔虫と、言われる巨大生物が、徘徊する場所に、成りました。「そこでは、科学文明は、発展出来ない」サタナスは、試案しました。もっと脅威の少ない土地が、必要でした。上空を見上げると、そこには空間に浮かんだ「無数の浮遊大陸」が、有りました。それはとても不思議な光景でした。その風景は、ここが「キュービン」だからこそ、見ることが、出来るものでした。
右側神サタナスは、あの浮遊大陸に「サタナスの魔人類」を、創ろうと思いました。彼らの姿は「人間(ゼビスの人類)」と、大差の無いものにしました。彼らには、人間と同じような、能力値を与えられました。魔人類単体では、攻撃能力が低かったのですが、彼らには人間と同等の「モノを作り出す」能力を、授けました。
サタナスは、魔人類を創造すると、彼らに命じました。「優れた科学文明を、創始せよ。」サタナスの魔人類達は「ホモサピレ」と、呼ばれました。人種は有りましたが、種族としては「単一種」でした。その為どの人種と交わっても、子孫を残すことが、出来ました。彼らは「広大な浮遊大陸」に、領土を与えられ、創造主で有る「サタナス」の、期待に応えるべき、急速に科学文明を、発達させました。
彼らは、非常に出来の良い魔人類でした。何千年も経つと「ゼビスの人類」と、大差無いか、少し上ぐらいの科学文明を、築きました。「創造神サタナス」は、それを見ると、満足しました。
「パルパンティアのホモサピレ」は、繁栄を謳歌しました。しかし彼らが、知らない処で「右側神サタナス」も、気付かない処で、いつの間にか彼等とは、容姿と言葉は同じでも、身体内部の遺伝子構造が、まるで違う別種の生き物達が、自分らと入れ替わり、成り済まして、数を増やしました。それを彼等は「マングレイ」と呼び、その異生物との全面戦争に突入しました。