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Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?  作者: 雪色琴葉
第二章:二人の王女と魔女と教会
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第53話:応援

 私は、前線の維持に全力を注いでいた。突破されそうなところがあれば、そこのフォローに向かい、また別の場所が抜かれそうになれば、そこを補強する。それの繰り返し。それで助かる人がいるのなら、その思いで動く。それと同時に何をしているのかについては考えないようにして。空が暗くなってきて、また少しの間静かになる。私はそのタイミングで一回砦へと戻ってきていた。


「フレア王女、大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫ですよ。へっちゃらですよ。」


 そう言って、スペランテ王子に強気に出る。


「で、本音はどうなんだ?」

「…。」

「はあ、辛いならそう言ってくれ。」

「いえ、大丈夫です。私はルナの為に戦っているので、これくらい。」


 そう言うと、目の前の男性はため息を思いっきりした。


「とりあえず、今日は休んでくれ。」

「はい、そうさせてもらいますね。」


 与えられた部屋へと戻ってベッドにぶっ倒れると、私はあっという間に意識を手放してしまった。


 翌日、私は再び、戦場に出ていた。ともに戦う味方からは、なんか若干英雄視されだしているような気がする。まあ、そっか。ピンチになってるところを助けてるもんね。そりゃそうなるね、うん。そう思いながら、私は昨日と同じように動く。戦っているうちに少し気づいたことがある。いや、正直これには気づかない方がよかったかもしれない。多分、これ、前線にいる相手は自らの意思でここにいるわけじゃない。つい、ある感情が思い浮かんだけれども、邪魔なものだとそれを封殺する。今負けるとやりたいことができないから。


 日が昇って戦いが始まってから、それが天頂を過ぎても、私は前線で止まることなく戦い続けていた。


「〈アクア・ショット〉!」


 私の放った水がまた、前線を押し戻す。当然地上から弾が飛んでくるけれども、それくらいなら回避できる。出来ると思っていたんだけど、それを避けきることはできなかった。脇腹に鈍い痛みが走る。続いてもう一発反対側に。ダメだ、集中力が切れてきてる。


「〈リトル・ヒール〉」


 私自身に使うことは余りない回復魔法で傷を癒す。ルナを助けるためにも、ここで倒れる訳にはいかないから。こちらに散発的に飛んでくる金属の波は止まる気配はない。


「〈サンダリング・ランス〉」


 雷の槍を複数作って、ばら撒くと、それだけでこちらに飛んでくる金属の軌道は歪む。ああ、もう、うっとうしいなあ。下手に攻撃に転ずると、また当たってしまうような感じがして、それを止めることができない。そうしている間にも味方は戦っているというのに。


「〈サンダリング・パラライズ〉」


 そうやって避け続けている最中、砦の方から、聞き慣れた凛とした声が聞こえた。それと同時に、私のものとは違う雷が踊ったかと思うと、地上に炸裂し、弾が飛んでこなくなった。これで一息つける、かな。そう思うと、後ろから人の気配。さっきの声といい、この気配ってもしかして。


「久しぶりだね、フレア。」

「兄上!?」

「僕が義勇軍を率いて、先ほど砦に到着したんだ。で、そのまま、スペランテ王子にお願いされて、こちら側の前線に駆り出されちゃったんだよね。」


 で、そしたら苦戦してそうな妹の姿を見つけたからつい助けちゃった。そう私の兄である、第一王子のホルンは肩をすくめながら言った。


「で、フレア。大丈夫なのかい?」

「大丈夫、です。兄上。」


 兄上は一瞬目をそらしたかと思うと、すぐにこちらへと意識を戻した。


「じゃあ、一緒に戦おうか。とりあえず、ここら一帯の敵の無力化だな。一応さっきの魔法で大体の敵の無力化は出来たと思うかな。」

「はい、兄上。ありがたいです。」

「少し硬いなあ、もうちょっと気楽でいいのに。」

「知りませんよ、そんな余裕もないです。それよりも、行きましょ。」

「ああ、そうだな。僕の妹よ!」


 その後、私は兄上とともに、戦場を制圧した。兄上の広範囲の魔法で敵はあっという間に鎮圧され、私の高火力の魔法で戦場に鎮座している砲は破壊されていく。夕刻には、戦場には動ける敵は残っておらず、私と、兄上のみが残っていた。


「じゃあ、フレア。こいつらまとめるぞ。魔法で麻痺させただけだからな。生きてるぞ。」

「え?麻痺させる魔法なんてあったんですか?誰に教えてもらったんですか?」

「母上だぞ?フレアは教わっていなかったのか。」


 母上、それ、教えてもらえてたら、もっと楽に戦えてましたよ。


 その後、砦の味方とも協力して、その麻痺した人をせっせと、砦付近まで拘束したうえで集めていった。大体千人くらい?いや、多いな。砦側の戦力はうちの国からの義勇軍を含めて二百人くらいまで増えたけど、それでも相手は五倍以上いたことになる。それを私って兄上と一緒に、二人で制圧したんだよね。この制圧ではほぼ人が死ななかったからよかったけど、人が死んでいたら。私は壊れちゃってたかもしれないな。いや、例えそうなっても壊れる訳にはいかないんだけどね、ルナを助けないといけないから。



ホルン第一王子の総合的な魔法の能力はフレアより少し劣る程度です。あと、フレアが母親から麻痺の魔法を教えてもらっていなかったのはフレアには搦め手よりも、直接的な魔法の方が合うと思ったからですね、そもそも、ヘカテリア王国では一部を除いて人に対して魔法を振るうことを想定していないので。


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