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Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?  作者: 雪色琴葉
第二章:二人の王女と魔女と教会
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第49話:王城とアカデミーにて

 私は教会を脱出後、そのまままっすぐに東の砦へと戻ってきた。そして、迷いなく、スペランテ王子の元へと向かった。そして、王都での調査で確認できた情報の報告をした。


「はあ、思った以上に動きが早いな。それに計画的だ。」


 そう言って頭を抱えているのはスペランテ王子。同席していたエクスマキナ王国第二王子のパレンタ王子は何か考え込んでいるようだった。


「フレア王女、救出するなら、父上か母上、どちらが容易だ?」

「そうですね、場所を探す手間を考えるとジョイア陛下の方が場所が分かってる分楽ですね。如何せん、王妃様は場所がアカデミーのどこかしかわかりませんし。」

「本当は状態的にはルナを助けたいのだがな、場所が全く分からない。一応いくつか候補はあるのだが。」


 そう言って彼は目を伏せた。その後、話し合いは進み、明日の動きについて決まった。この砦を拠点として、本格的に、王権派の拠点として整備すること。こっちはもう既にやっているみたいだけど。主に、政治機能を一時的にでいいから果たせるようにすること。それと軍事的な機能の強化。あと、どうやらうちの国から義勇軍を出すとかいう連絡もあったらしい。うちの国、結局干渉することにしたんだ。うちの国のレベルなら義勇軍レベルでもメンバー次第になるけど戦局を変えれると思うからかなり大きい。まあ、ここら辺は私が直接関与できることじゃないかな。強いて言うと、義勇軍が到着したときに私が対応した方が都合がよさそうなこと、そこだけかな。


 一方、私はというと、王都へと再び向かって、王族の救出というのがメインになる。優先順位は国王陛下、次点で王妃殿下。正直私的には一にも二にもルナを助けたいんだけど、仕方がない、なんて言いたくないなあ。でも、今は我慢、うん、我慢。


「今日はこれくらいにしようか、フレア王女。明日のためにもしっかり休んでくれ。」

「はい、分かりました。それでは、おやすみなさい。」


 王子たちと別れて、私は休むための部屋に戻ってきた。つ、疲れた。その思いのままに布団へと倒れこむ。ルナ、大丈夫なのかな、いや、絶対に大丈夫じゃない。どう考えてもあれは拷問でしょ。そんなこと、ルナは当然として、人にしちゃいけないでしょ。ルナに手を出した時点で潰してやりたいんだけど、私が自分の判断で動くのはいくらある程度自由に動けるとはいえ、まずいからなあ。とにかく、明日やるべきことをしっかりやろう。そう決めて私は眠りについた。

 翌日、私は再び、王都上空へと戻ってきていた。最初から〈ドラゴ・インビジブル〉を使った状態で。そして、そのまま、王城の方へと向かう。最上階ならとりあえず一番高いところって、候補いくつかあるな、これ。まあ、とりあえず、正門から堂々と侵入しようか。中へと入ると、完全に警戒態勢にあるのを感じた。あ、昨日ガラス叩き割って脱出したのもしかしてかなりまずかった?あのとき、もう少し冷静に慎重に入り口まで戻るのが正解だったか。私らしくないな、とにかく、今はやるべきことに集中しないと。


 王城内を姿を隠して、気配もできるだけ消して、上へと向かう。そして、恐らく、最上階までたどり着いた。しかし、兵自体は上に向かえば向かうほど少なくなっていった感じがする。この階にはいくつか部屋があるから全部確認しないと。まずは探知魔法で扉が開いている部屋がないか確認する。んー、なさそう。仕方がないから誰か開けたところで一緒に侵入しよう。そう思って、待機をしているけど、いつまで経っても来る気配がない。もうそろそろ日が天頂に到達するころだけど、どうしようか。…というか、外から窓を覗いて確認すればよかったような。ダメだな、私、完全に空回りしてる。さすがにこれ以上待つのは私は耐えられなくなってきたから、今回は窓を開けて外へと出る。各部屋を窓からのぞき込んでみるけれども、どの部屋も中に人がいる感じはしなかった。一部屋だけカーテンが閉まっていてそこだけ確認できていないんだけども。よし、この部屋に入るか。そう思って、その部屋の窓を仕方なく音を消して叩き割って、中へと入る。しかし、そこはもぬけの殻だった。ベッドがあって、そこに誰かがいた痕跡はあるんだけど。もしかして、もうすでに場所を移された?その後、最上階の部屋だけじゃなくて、他の部屋も見て回ったけど、見つけきることはできなかった。…何してるんだろうな、私。


 王城でやりたかったことはうまくいかなかった。というわけで気を取り直して二番目の優先度である王妃殿下を探すために、アカデミーへと向かった。今度は、魔法を使わずに、姿を見せて、正門から入った。こっちの方が都合がいいだろうからね。中は外と違って、教会の人も兵もおらず、平和そのものだった。私はここに一時期いたこともあって、好奇の目で見られること自体はあっても、怪しまれるようなことはなかった。そして、そのまま事情を知っている可能性の高い総長に会うために、総長室へと向かった。扉を叩くと、中から入っていいですよー、という声が聞こえた。って、この声ってもしかして。中に入ると、そこには私がここに来た目的の人物がいた。


「ハロー、フレア王女。」


 そう、私の探し人の王妃殿下、トリステラ王妃は私の今の心情なんて知ったものかという感じで椅子に座って気楽そうに手を振っていた。張りつめていた私の気持ちが一気に弛緩してしまう。


「あの、何してるんですか。」

「何、って貴方を待っていたのよ。間に合ってよかったわ。」

「間に合って?」


 私が疑問に思って聞いてみると、教会が今ここに手を出してこないのは、法律的に出せないかららしい。でも、その法律を変えられてしまうと入ってきてしまう。そうなると、どうしようもなくなってしまう、ということで、間に合って、と言ったみたい。


「そもそも、なんで王妃殿下はここに逃げ込んだんですか?」

「逃げ込んだ、というよりはずっとここにいたって感じかなあ。ここって教会の影が一番少ないしねえ。」

 そういう王妃殿下は少し笑って見せたけれども、すぐに目を伏せてしまった。


「ところで、今の状況を教えてくれるかしら?」


 私は、昨日手に入れた情報及び、王族のいる場所を伝えた。


「そう、なら教会に握られてしまったのはジョイアとルナだけなのね。とはいえ、状況は最悪も近いわね。」

「最悪、ですか?」

「ああ、そうか。少し話をしないといけませんね。でも、それはここを脱出してからでいいかしら?」

「はい、分かりました。」


 私達は下に降りて、持ってきていた箒の後ろに、王妃殿下を乗せ、上からローブを被せ、魔法で姿を消した後、王都を後にした。


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