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Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?  作者: 雪色琴葉
第二章:二人の王女と魔女と教会
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第47話:冒険者ギルドにて

 日が天頂を過ぎて半分くらい傾いたころ、私はエクスマキナ王国の王都へと到着した。城下に入ると、普段よりも、物々しい、というか殺気だっているというか、そんな雰囲気を感じた。今回ここに来た理由的には情報の集まる場所がいいのかな。その考えの元、この国の冒険者ギルドへと向かうことを決めた。冒険者ギルドに入ってみると、こちらは城下以上に殺気だっているのを感じた。危険な魔物が現れたときと同等かそれ以上の圧を感じながら受付へと向かう。


「すみません、今の城下の状況について、何か情報が欲しいのですが。」


 受付にいた女性にそう声を掛けてみると、変なものを見たかのような顔を舌かと思うと、パタパタと奥の方へと下がって行った。なんか戻ってくるのに時間がかかると勘が告げているから今回ここに来た目的を確認する。一つ目は、スペランテ王子からの依頼である一夜経った王都の状況の把握。もう一つは、こちらもスペランテ王子からの依頼の教会の状況を探ること。最後は、私のやりたいことと彼からの依頼、両方を兼ねているんだけど、ルナと、あと、ジョイア国王陛下と、トリステラ王妃を探すこと。見つける難易度は先に名前を挙げた人ほど高いんだと思う。私としては、正直、真っ先にルナを見つけにいきたい。でも、限られた時間で見つけられるとも思っていない。なら、まずは情報を集めるべきだと考えて、昨日の魔物の群れについての情報も手に入りそうな冒険者ギルドに足を運んだ、という訳なんだよね。


「ええと、フレア様、奥の部屋へどうぞ。」


 受付の人が戻ってきたかと思うと、私を奥の部屋へと案内した。私まだ名前言ってないんだけどなんでバレてるんだろう…。何回かここには来てるけども、最近は来ていないし、ほんとなんでだろ。案内された部屋に入ると、元冒険者であろう赤髪の男性が待ち受けていた。


「やあ、フレアニア王女。俺は、ここのギルドマスターのトレア・ノルンだ。元々はヘカテリア王国で冒険者をやっていたんだが、引退するや否や、ここに派遣されてしまった男だよ。」

「こんにちは、ギルドマスター。」


 どうやら、私はギルドマスターのところへと通されたみたい。あと、私の正体はバレバレだというのも分かった。うん、こっちはもう諦めよう。向かい合うように座るように促されて座った。


「で、だ。早速だが、何故俺が貴方をここに通したかについて話しておかないとだな。貴方が昨夜討伐した魔物の群れについて、かなり嫌なことが判明したんだ。多分小耳に挟んでいるのではないか?」

「はい、国に戻った時に少し。」

「そうか、では落ち着いて聞いてほしいんだが、あの場所で魔物の誘引剤、ビースト・アトラクトが使用された痕跡が見つかった。」


 それを聞いた瞬間、私は思わず席を立ち上がってしまった。ビースト・アトラクト。それは、魔物を誘引する薬のことだ。その性質上、意図的にスタンピードを起こせてしまうため、ヘカテリア王国では禁薬に指定されている。


「つまり、あの場所でスタンピード、とまではいかなくても魔物を集めた何かがいたってことですか?」

「ああ、そうなるな。そして、だ。冒険者ギルドではそれをやったのはこの国の教会であると考えている。位置的に、軍を引きはがすのに丁度いい位置だからな。まあ、実際は貴方がすべて倒してしまったんだがな。」

「でも、その結果として、ルナを…。」


 どうやら、私が昨日魔物の群れと出会ってしまったのは教会のせいの可能性が高いらしい。そう考えると、教会に対する恨みが募っていく。うちの国の禁薬使うし、ルナの失踪に関わっていそうだし。ダメダメ、抑えないと。


「まあ、とりあえず冒険者ギルドとしてフレアニア王女に伝えとかないといけないことは以上だな。他に何か聞きたいことはあるか?」

「では、今の王都の状況についてお願いします。」


 そうか、今わかっている範囲のことだがな、そうギルドマスターは切り出した。曰く、王城で何か起こって、政治中枢が混乱していることはわかっているみたい。人の流れを見ると、教会と王城の間で何かやりとりがされている可能性が高いということも。つまり、情報はあまり多くはなかった。ただ、教会が何かをしている、もしくはしようとしているのは確定とみているらしい。


「すまないな、元が他国の組織であるがために地盤がまだ弱いんだ。」


 ギルドマスターは申し訳なさそうにそう言った。


「大丈夫ですよ。少しでも情報が得られたので。」

「そうか、では、俺はこれで。」


 そう言ってギルドマスターが退出しようとする。そこで、重要なことを聞けていないことに気づいてしまった。


「あの、すみません、最後にひとつだけ」

「ん、なんだ?」

「ええと、この国の王族の方がどこにいるか、とかわかりますか?」

「そうだなあ、一人だけ知っている。王妃様なんだが、どうやらアカデミーにいるらしい。」

「それだけでもありがたいです。それでは、私もこれで。」


 そうして、冒険者ギルドでやりたいことは終わった。ここではルナについての情報はほとんど拾えなかった。王妃様の情報を得られただけでもマシではあるけれども。情報を手に入れるなら、やはりあそこへ行くべきなのだろう、教会へ。私は胸が張り裂けそうになりそうな想いを抱えながらも、今回の根源でありそうな教会のある場所へと足を向けたのであった。


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