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Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?  作者: 雪色琴葉
第一章:二人の王女と新たな世界
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第34話:二人の王女と祝勝会(1)


 さて、私―フレアニア・フィア・ヘカテリア―はそれ以降、まあその祝勝会のようなもののために色々と用意を始めることになってしまった。どうやらルナの最後の発言は本当に母上からの伝言だったらしい。つまり、その当日母上は来るつもり、というよりも父上の代わりに来るようで。で、その戦勝会の中には舞踏会も含まれているようで。つまり、ドレスの用意やらダンスの練習が必要になったんだよね。それを母上にチェックされる、というおまけつきで。何かやらかしてしまったときに母上に何をされるかわからないし、内容的にそもそも私たちが主役ってことでそこらへんの対策をすることになったんだよね。ドレスに関してはまあ国から持ってきたのを使えばいいとして、問題はダンスだった。私は正直ダンスは得意ではない。この国での舞踏会での曲でのものなんてもっての外。だって知らないんだ し。というわけで練習をしっかりとすることになった。


「はい、フレア。そこはこう動くのですよ。」


 今はそのダンスの練習をしているところだ。その練習相手はルナなんだよね。ルナが男性側、私が女性側で練習しているん。なんで女性であるはずのルナが男性側もできるのか、なんだけど、どうやら女性側の練習をしているうちに相手の動きを観察して覚えちゃったらしい。で、今はそのことを利用して教えてくれているところなんだよね。正直今までにダンスの講師をしてくれた人の中では一番上手かもしれない…。

 そんな感じにダンスの練習やら国立アカデミーでの講義やらをしているうちにあっという間に祝勝会の日がやってきた。今日はアカデミーでの講義が午前中で終わり、午後からはその用意になった。


「フレア、ダンスやマナー作法の最後の復習はいりますか?」

「んー、ダンスを少しだけお願いしたいかな。」

「はい、ではやりましょうか。」


 そう言ったルナが手を差し出す。私はそれを取った。


「教えだしたときに比べて相当上達したと思いますよ。」


 ルナが最後の確認で一通りダンスをしたあとにそう褒めてくれた。


「ルナの教え方が上手だったおかげだよ。ありがとね。」

「そうですか。教えるのを頑張った甲斐がありました。」


 そう微笑を浮かべたルナを見て心臓が跳ねるような感覚を覚える。なんなんだろ、これ。あーもう、収まれ胸の鼓動!この後祝勝会だから!


「もうそろそろ時間になるので行きましょうか。」


 私が心臓を宥めるのに苦労していたところでルナにそう呼びかけられた。そっかあ、行きたくないなあ。でも行かないとなんだよなあ。だって私達にとってかなり大きなメリットがあるから。これ、出席を嫌がるであろう私への餌として用意された感もあったけどね。


「うん、わかった。」


 私の返事を聞いたルナは扉の方へさっさと歩きだした。それに遅れないように早足で追いかけた。

 祝勝会の会場となる王城へと着いた後、私はルナとは別室で着替えていた。私が国から持ってきた舞踏会を前提としたドレスだ。それは赤色をメインとして白と黄色を交えたドレス。スカートは長いものだとダンスで私が裾を踏みまくってしまうから少し短いデザインにしていて、普段は履かないヒールを履いている。正直それだけしてもいつもよりかは全然動きにくいけども今回ばかりは着るしかないんだよね。

 着付けが終わった後、私は部屋で待機していた。私達が今回の主役だからあとから会場入りになっているんだよね。ドアがノックされる音が聞こえた。そんなこと考えてたら私達の出番が来たみたい。

 廊下に出たところでルナと再会する。さっきまでの普段着の軍服風の簡易的なドレスとかではなく、立派なドレスを身に纏っていた。青を基調としたデザインに差し色として白色が差し込まれ、ふんわりとしたスカートには金色の刺繍が入っていた。そのドレスを身に纏うルナは儚げであって、完全に見惚れてしまった。そんな私の様子に気づいたのか静かに笑いかけてくる。それはまるで芸術品のようで…。


「どうしましたか、フレア?行きますよ?」


 ルナから完全に目を離せなくなっているとルナが顔を近づけて確認してきた。急なことで顔が熱くなるのを感じる。


「うん、行こうか。」


 それを誤魔化すように答えてルナの横に並んで祝勝会の会場へと向かう。

 会場へと近づいていくにつれて中から聞こえる声が大きくなる。扉が開けられて中に入ると私達以外はもうすでに揃っていたようだ。ルナの父上であるジョイア国王にスペランテ第一王子、あと兄上、うげ、見たくなかったけど私の母上もいる。うわ、こっちに気づいた。笑顔で手を振らないで。なんか怖いよ。そんなことに気をとられていたまま二つだけ空いていた最前列の席へと案内される。

 今回の主役である私達の着席を確認したからだろうか、司会を務めるええと、確かリアルタ伯爵だったっけな?が席を立った。


「では、これよりドラゴン討伐の祝勝会を行います。まず、今回の事態について、ジョイア国王陛下よりお言葉がございます。」


 その声の後、ルナの父上、つまり、ジョイア国王陛下が立ち上がり前に出る。


「今宵の宴に集ってくれた臣下の皆、この日、私はそなたらに伝えなければならないことがある。」


 そこで一息置いて続けた。


「先日、王都近郊でドラゴンが出現した。幸い、そのドラゴンはその場に居合わせた者たちによってその夜のうちに討伐された。」


 その報告を聞いた参加者はまあざわついたよね、うん。この国では今まで出現したことのない生き物だからね。ルナに確認したら伝説に語られているくらいみたいだし。なんなら私の国でも過去に目撃例がある程度だったし。


「静粛に。今回のこの宴の目的はそのドラゴンが討伐されたことの祝勝会である。それと同時に、」


 そこまで言われたのを確認して、私達は立ち上がり、一歩前に出る。


「ドラゴン討伐の功労者である我が不肖の娘であるルナモニカ・フォン・エクスマキナ第一王女と新たに国交を結んだヘカテリア王国のフレアニア・フィア・ヘカテリア第一王女殿下へと褒章を与えようと思う。」


 紹介に合わせて私達は一礼をする。


「彼女らへは討伐したドラゴンの魔石及び、素材の八割を与える。ルナ、それにフレア王女殿下、これらはそなたらが好きにするがよい。」


 はいキター!これが私達が祝勝会に参加するメリットだったんだよね、ドラゴンの素材。出席しないと持ってかれるって脅しかけられちゃったんだよね。なんか悔しいんだけど。


「では、ルナ王女殿下、及びフレア王女殿下よりお言葉がございます。」


 そんな感じに浮かれていたら私達の出番みたい。さっきの浮かれ具合顔に出てないよね?大丈夫だよね?


「ごきげんよう、皆様方。私がルナモニカ・フォン・エクスマキナです。今回のドラゴン討伐は非常に難しいものでありました。これは私達だけで成し遂げたものではなく、軍や冒険者ギルドの協力あってのものでした。改めてお礼申し上げます。そして、今回、ドラゴンの足止めを行った一番の功労者であるフレアニア王女殿下に改めて賞賛を。」


 そう言ったルナは一礼をして一歩下がった。


「皆様、ごきげんよう。先ほどリアクタ伯爵よりご紹介頂きましたヘカテリア王国第一王女、フレアニア・フィア・ヘカテリアでございます。この戦いは私が経験したどの戦いよりも困難を極めるものでございました。しかし、ルナモニカ王女殿下及び、エクスマキナ王国の軍、冒険者ギルドの協力により、無事に戦いに勝利することができました。ありがとうございました。最後に、今宵の宴、是非楽しんでください。」


 そう言い終わって一礼をする。うう、やっぱり緊張するよ、こういうの。最後に、ルナと並んで改めて一礼をした。すると、拍手が鳴り響いた。私達を賞賛してくれているのかな…?ん?その中になんかすごく不機嫌そうな顔がチラッと見えた。その視線は、んー、誰に向いてるのかわかりにくい。


「皆の者。静粛に。今宵は先ほど申し上げたようにドラゴン討伐の祝勝会の宴である。大いに楽しんでほしい。」


 私がそれに気を取られているうちにジョイア国王陛下がそう宣言し、舞踏会を含む宴へと移った。

 宴に移った結果どうなったかというと、まあたくさんの人に詰め寄られたよね。ドラゴン討伐の武勇伝だったり私の国についてだったり魔法についてだったり、まあ色々と聞きたいことがあるらしい。これも苦手なんだよなあ。後ろからなんとなく母上の視線も感じるし。横目でルナの方を見ると、まあ、流れるように受け応えをしていた。頼むからルナを基準にしないで母上!そう思いながら私も応対をしていた。


「フレアニア王女殿下、私と一曲お願いできますか?」


 もうそろそろ曲が変わって踊りの場へと変化しようというタイミングであろうか。そんなタイミングでそんな声を掛けられる。その声のした方を見ると、


「え、ええと、ルナの兄上ですよね?」


 スペランテ・ボナ・エクスマキナ第一王子が私の方へと手を差し出していた。


少し近況報告をば。

ちょっとリアルの方が忙しくなってきたので更新頻度がさらに不安定化します。

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