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Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?  作者: 雪色琴葉
第一章:二人の王女と新たな世界
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第31話:二人の王女と天翔ける竜(3)

 彼女―ルナモニカ・フォン・エクスマキナ―は日が沈みきり、月が辺りを照らす星の瞬く空を飛んでいた。ドラゴンの足止めをしている少女―フレアニア・フィア・ヘカテリア―の元へ戻るために。自らの直感を信じて。


 途中で箒の魔石を交換しながらまっすぐ飛び続け、フレアと別れた場所、それよりも王都側により近い場所で見つけた。


 それは―ドラゴンの放つ赤黒い閃光を剣で切り裂くフレア。


 その後も魔法による弾幕を展開しながら戦いは続いていく。あまりにもそれは美しく、まるで宙のようで、ルナは完全に、その戦いがどのようなものか―命を懸けたものであるということ―すらも忘れて、完全に見惚れてしまったのであった。


***


 やばいやばいやばいって。これ態勢的に避けるのはちょっときつい。あれが魔法だとすれば、恐らく…。

 思いついたことを実行するためにまず、〈エレメント・バレット〉の魔法陣をすべて私の前に展開し直す。


「〈エレメント・シールド・ラミネート〉!」


 次いで、各種属性を帯びた魔力の盾を形成する。そして、剣に全力で魔力を込める。

 そこまでやったところでタイムリミットだった。ドラゴンのブレスが来る。まずは弾幕による迎撃。そんなもの意味はないとばかりに魔力の奔流は迫ってくる。魔法陣を破壊しながら通り過ぎたそれは魔力の盾に触れる。魔力と魔力のせめぎ合いが起こる。それでもブレスは止まることなく、盾を破砕していく。すべての盾が破壊されたのち、ブレスは二つの魔力の刃に触れる。再び魔力同士のせめぎ合いが起こる。

 さっきの盾は完全に破砕されたけど、あくまでブレスを少しでも弱くするため。多分最初よりもブレスの出力は8割くらいになっているはず。これなら、ギリギリいける!!剣が魔力に押されていく感覚がある。けれど、確実に抵抗することができている。このままいけば、ぶった切れる!!

 そう思って剣にさらに魔力を注ぎ込む。結果は…。

 ブレスは刃を境に真っ二つに分かれて私の横を過ぎ去っていった。


「はあ、はあ。」


 さすがに真正面からブレスをぶった切るのは消費がシャレになってない。体力、魔力両方の。多分同じことは二度とはできないかなあ。


 ブレスをぶった切ってからの戦いは消耗戦になった。如何せん、ドラゴンがブレスと暴風による攻撃を中心にして来てるんだよね。暴風によって私の進路を狭めつつブレスを収束か拡散させてくるから避けるのに集中しないときっついきっつい。その間も魔法の弾幕での牽制はしているけど効果はいまひとつかなあ。魔力節約のために魔法陣の数を減らして自分の周りに展開するだけにしてるし、なおさら。接近しようとしてもあちらが距離を取りながら魔法での牽制をしてくる。一応回避しながらも次の一手の用意をしてはいるけども発動させてくれるかどうか。

 ドラゴンの攻撃をいなしながら用意を進めていると、ついにその準備ができた。空中に浮かぶはドラゴンを囲うように配置された魔法陣。そう、私はこれを魔力を用いて描いていたのである。


「これならどう!〈フレイム・ディメンション〉!!」


 私の詠唱に呼応して魔法が発動する。魔法陣で囲まれた領域内が魔法によって生み出された炎によって満たされる。当然その中にはドラゴンがいる訳で。やばい、魔法に全力で抵抗してる。さらに魔力を込めて出力を上げる。その結果として最後に残ったのは、


 ドラゴンだった。


 鱗などが焼け爛れているのを見るにダメージ自体は確実に入っている。それでも、一撃の火力ではこの魔法はトップクラスのはずなのに致命傷になっていない。

 そこから先の戦いは攻撃の機会がほぼほぼなくなってしまった。ドラゴンは私が魔力による魔法陣を描こうとすると、片っ端から暴風に魔力を通して吹き飛ばしていく。これじゃさっきみたいな大技は使えない。これは完全に敵視されてるしこのまま時間稼ぎに徹した方がよさそうかな。

 そのまま遅滞戦闘を繰り返しているときだった。ドラゴンと少し距離を取ったところで急に飛行魔法や強化魔法の制御が崩れる。これってルナと最初に会ったときと同じ!?相対するドラゴンは崩れるような様子は一切ない。私にできてしまった隙をドラゴンは一切見逃さなかった。私が魔法の制御を失っていることを嘲笑うかのように口に魔力を貯め始める。間違いなくブレスが来る。今の状況だと避けきれない。


 あ、やばい、これ死ぬかも。


 そんな考えがつい頭を過ってしまった。ドラゴンの口からブレスが放たれるのが見える。それが迫ってくるのがゆっくりに見える。できる限りの回避行動をとっても、思った通りに動けない。


 当たってしまう、その寸前の時だった。虹を纏う閃光がドラゴンの頭に放たれた。


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