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Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?  作者: 雪色琴葉
第一章:二人の王女と新たな世界
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第23話:フレア王女は知らないことはわからない

 私―フレアニア・フィア・ヘカテリア―は今、エクスマキナ王国の国立アカデミーに交換留学生として来ている。そして、私は物理学の講義を受けてるんだけど、さっぱりわからない。いや、想像以上にわからない。運動方程式とか言って何か文字式を出されているけれども、それが何かわからない。多分その前提条件として別の知識が必要なんだろうけども、そのせいで本当にわからない。私がそんな感じで頭を抱えている横でルナはすらすらとノートを取っていってる…。そんな感じで完全に私が置いていかれている裏で講義は終わっていった。私が頭から煙をプスプスと出していると、ルナが心配そうにのぞき込んでくる


「ええと、フレア?大丈夫?」

「大丈夫じゃない、何を言ってるのかチンプンカンプンだった…。」

「ごめん、私の配慮が足りなかった。先にどこまでわかるかを確認すべきだった…。」


 そう言うルナはすごく申し訳なさそうにみえる。


「私が少し軽く考えすぎてただけ、何を説明したいかの意図自体はわかったから。だけど、あの文字式?というのがよくわからなくて。」

「そこですか…。なら数学の方程式の部分やれば大体理解できる、とは思いますけど…。」

「あとで教えて、正直前提が分からないの辛かった…。」

「一応次が数学ですけど…。内容的にもう少し発展的な内容ですので、どうなのか…。」


 そう言ったルナは少し悩まし気ながらも申し訳なさそうに見える。まあ仕方ないとは思うけどさあ。


「まあ、とりあえず次の講義室に行きましょうか。」

「うん、わかった。後でちょっといろいろと教えて…。」


 私は若干あきらめ気味でそう答えるしかなかった。これがこの国では当たり前なのかなあ?

 そのままルナに引きずられるような状態で次の講義室まで連れていかれる。そして、そのままその次の講義、数学もさっきと同じような状態で過ごした。なんでこうなったんだろう…。


「ルナ、疲れた。理解しようとしてもやっぱりその前提を知らないので理解しようがない…。」

「フレア、ええと。本当にすみません。一応今日の残りの講義は生物学とあと剣技の実技だけなので大丈夫だと思いますけど…。きついようなら欠席でも大丈夫ですけど。」

「気遣いありがと、でも今日の残りくらいは大丈夫。」


 数学の講義終了後に食堂でそんなやり取りをルナとしている。周りにも人はいるけれども半分くらいの人は白衣を着ていて食べながらも紙を持って話をしている。うん、少し聞き耳を立ててみるけどよくわからない。窒素肥料がなんだって?相対性理論?ダメだ、考えると頭おかしくなりそう。

 そんな感じに話を聞いていたらルナがなんか見つめてきている。


「…何?」

「いや、恐らく周りの話を聞いているんですよね?どうです?何か興味を持つような話はありましたか?」

「あるもなにも…、聞き耳を立ててはいたんだけどやっぱりよくわからなくて…。」


 そう言って肩をすくめるとルナは少し笑いかけてきた。


「わからなくても気になって聞こうとしてたんですね。フレアなら基礎さえ分かればすぐに理解できるように出来ると思いますよ。」

「んー、そうなのかなあ。私、学院では一応成績いい方だったからこっちでもやっていけると思ってたけれどちょっとここまでで自信なくなっちゃった。」


 ルナはそれを聞いて申し訳なさそうな雰囲気を出しました。


「あー、ごめん、気にしないで。」

「それならいいのですが。」


 ルナはそう言ったっきり黙り込んでしまった。そのまま黙々と何かを考え込みながら食べ始めた。私もそれを見てなんか気まずくなりながらも食べ進めていった。

 食べ終わった後、ルナに先導されて次の講義へと向かう。その間もルナは悩まし気に考え込んでいた。ええと、次の講義はさっきルナが生物学って言ってたっけ?まだ私でもわかるって言ってたけどどういうことだろ…。

 いざ講義が始まってみると納得した。今回の内容はどうやら動物の骨格とかについての内容みたいだけど魔物の解体を通して見たものにかなり近いものになっているんだよね。ある程度分かっていることだからさらさらと頭に入る。前半の講義のわからなさに対してこの講義のわかりやすさはすごくありがたい。そのためか楽しくて講義の時間はあっという間に過ぎてしまった。


「どうでしたか?」


 ルナが様子を見ながら問いかけてきた。


「面白かったよ!前提が分かっていれば理解できるって意味がわかったかな。」

「ならよかったです。正直すごく心配してたんですよ?いや、私の考慮が足りなかったせいではあるんですけど…。」

「いいよいいよ。ねえ、私にもっとこの国での学問教えてよ。この講義を理解できてわかっちゃったんだ。絶対に基礎さえ押さえればどの講義も面白い、ってね。」


 そう言って私はルナに対して笑いかけてみる。すると、心配そうにしてたルナの顔は一転、嬉しそうな顔へと変わっていった。


「わかりました、教えます。教えますよ!」


 そう言ったルナはその顔が示すようにとても嬉しそう。


「あ、でも教えるのは離宮の方へ戻ってからでいいですか?」

「うん、うん。それで大丈夫だよ!まず次の講義に行かないとだよね?」

「ですね、さあ、行きましょう?次の講義はフレアも絶対にわかるはずなので。」


 確か次の講義は剣術だっけな。学院でやったときには戦うためのものではないと言ってたけど。どちらにしてもやったことあるなら大丈夫そう。うん、いけるいける。

 ふと顔を上げるとルナが手を差し出している。私はそれを迷いなく取った。


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