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第二話 始業式

国立大和魔法(こくりつやまとまほう)・魔術大学付属武蔵魔法学院。

略して国立武蔵魔法学院。


日本の魔法の最先端を学ぶことができる高等教育機関である。

しかし、歴史や生物、数学といった学問についての履修も行っているためここを卒業すると高校卒業資格、さらには大学卒業資格が手に入る。

多くの者は大学卒業資格を手に入れて社会へ進出するが、専門的な知識等の新しい知識を知りたい者は高校卒業資格取得の下本当の大学

「国立大和魔法・魔術大学」に入るものもいる。

だが、日本唯一の魔法科大学であり、その切符を手にできる付属生は少ない。


そんな中、今年の入学生はとても癖ありの者ばかりだった。

自称「神速の戦鬼」や、日本の魔術体系を確立した「魔式」の開発者達二十人の子孫達である。

その二十人は「魔の始祖」とも呼ばれる。彼らの多くの名前には数字が入っていることで知られており、ときどき「数字の魔術師ナンバーズ」と呼ばれることもある。

中でも優秀な七人の家系は「大罪術師ギルティネス」と呼ばれ、3年おきに行われる「大罪決定戦」において毎回再選されている。

無論はるか昔に流行った「七つの大罪」の概念を基にした者である。


また日本の中でも優秀な五人の家系は「五大家系」と呼ばれる。

これは彼らが五行思想「木 水 火 土 金」または五大「地 水 火 風 空」を得意とする家系だからである。

こちらについては決定戦というものはなく。

ただ、それを使用する魔術家同士の年々の業績の国家貢献度で決まる。

何故ならこちらは魔の始祖でなくともなれるのだ。

故に財閥系が多いのは言うまでもない。


「ねえ。穂乃果(ほのか)。この学校で私たちに勝てる日本人はいないわよね?」


彼女は炎十(えんと)陽華。


「…まだわからないよ。陽華(はるか)ちゃん。私たちは数字の魔術師でありながら五大家系であっても、そんな見下すような態度はしちゃいけないよ。」


彼女は湖八(こや)穂乃果。二人とも魔の始祖の家系であり、かつ五大家系の家柄でもある。

そのため、彼女たちはその優越感に浸っているのは確かである。

が、会話からも推察できるように陽華は呑気な性格。穂乃果はいつでも油断はない。

しかし、二人は知っている。

この学園の教師陣においてノーラ達のような国外魔術師以外にはほとんど勝てることを。

だからこの学園の教師を含め「日本人は敵無し」と言ったのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「えーっと。神崎君は24歳なのかい?」

「ええ。学園長。先日の面接でも言ったと思いますが。何か問題でも?」

「いや。そもそも君の年齢でこんな多くの業績を残すなんて…と思ってね。」

「いえいえ。過大評価ありがとうございます。」

彼は24歳ながらにして多くの事を成し遂げた。

その全てを挙げるとキリがないのでとても大きな功績を一つ挙げよう。

彼は魔法理論においてある新理論の提唱をしている。血脈に関するもので、魔法理論以外の分野にも影響をもたらした。

それは、少し特殊な理論であったのだが、北アメリカの研究機関とイギリス大王国の名門大学が実証に成功。

そして彼は魔法学分野でノーベル賞と等しい価値があるといわれるミゼーラ賞を受賞した。


ニュースにならなかったのだが、その理由はいまだ不明のまま。神崎は別に気にしていないらしいのだが…。

ノーベル賞ではメダルがもらえるがミゼーラ賞では盾のようなものがもらえる。

きれいな長方形に加工されており、表にミゼーラ賞の表記、受賞した年月日、理論名、名前が書かれ、裏にはミゼーラの発見した魔術媒介石とミゼーラ賞のエンブレム。そして八角形のきれいな図形が彫られている。


まあ、それはさておき

彼らは何をしているかと言えば。

国立武蔵魔法学院の学園長室で、最終確認を行なっている。

それは新任教師の挨拶の確認である。


今年は強者達が入学してくる。

そのため彼も新任教師として立派な自己紹介をしなければいけないのである。


しかし、入学式は明日。

今日は在校生達の始業式である。

そう。彼の紹介も今日されるのだ。


学園長の話が終わり、在校生達の新しいクラス担任が発表された。

そして。遂に新任教師紹介。

今年は神崎能景と他二名。

奇しくも彼以外の二人は揃って女性であった。

空弥(からみつ)微恵(ほのえ)です。よろしくお願いします。」

空弥。五大家系、「空」を担当する家。

ほのえはその家の次女である。

千風(ちふう)彌菜野(みなの)。よろしく。」

千風。五大家系、「風」を担当する家。

みなのは中でも優秀であり、三女でありながら今や千風家次期当主である。

そして、名前に「千」が入るように、彼女もまた魔の始祖の家系である。


その二人の顔はとてもよく。

全校生徒の男子諸君達はほぼ全員が彼女に目が釘付けであった。


そして彼の番。



「神崎能景と言います。一応教師としてここに来ました。よろしく。」


そして、全校集会は終わりを迎えるのであった。



ーーーーーーーーーーーー


その放課後。


「えっと…炎十さんと湖八さんですね?生徒会長がお待ちです。」


生徒会長。この学院の生徒会長は魔法の素質においても高い者が選ばれる。

魔法という概念が存在しなかったときのように立候補と選挙制ではなく。

立候補はあるが、それはほとんど機能せず。

ほとんどが学院の教師陣の推薦または国から指示が下るのである。

本当の「実力身分社会」とでも言えよう。

しかし、だからといって生徒会長が乱暴、横暴であればすぐさま退学処分となるため、生徒会長の性格が悪い、という事例は少ない。

今回の生徒会長も同じであり、性格に癖無し。とても善良な女生徒である。


「貴方達が炎十さんと湖八さんね。お待ちしていました。今年度生徒会長の神谷(かみたに)英奈(えいな)というものです。…で。

貴方達に入学式前日に来てもらったのは他でもありません。この学院は入学試験首席を生徒会に入れるという伝統があります。なので貴方達二人を生徒会に入れたいのだけれど。まずその答えを聞かせてもらってもいい?」


神谷。

その名字は昔から存在するが、この魔術が発展した世界において、「神」のつく名字はほとんどが、多属性魔法を使用できる家系のことを指す。

今存在しているその家系は神谷(かみたに)神田(かんだ)神成(かみなり)神邊(かみなべ)の四家であると言われている。

この四家は元々一つの家の分家だと言われているが、今や真偽は不明。


閑話休題。そして、ふたりの答えは勿論決まっているわけで。


「「はい。これからよろしくお願いします。」」


と、生徒会へと入ることが決まったのである。

で、あるが、毎年とは違う、とある問題点があった。

それは


「あと。首席が生徒代表挨拶をしなければいけないのだけれど。そこはどうする気でいる?」


そう。首席は生徒代表挨拶をするのが毎年の恒例となっている。

しかし二人ほとんど同レベルの者達が首席になったことは前代未聞である。

あってもおかしくないのだが、偶然にもこの学院では起こっていなかったようである。

そのため国も、「どうするかは彼女達に任せる」、と言っているらしい。

すると


「「私達の次に順位の高かった人に生徒代表挨拶をお願いします。」」


と、二人とも同じ意見だったようで。

結局挨拶については学年二位の成績の者がやることに決まった。



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