プロローグ1-2
魔法。
その最初の発見は2001年。
地質学者ミゼーラ・ロッソ・ステファニアによって後に魔術媒介石、又は魔石と呼ばれるものが発見されたことから始まる。
その石は成分が分からず、ドミトリメンデレーエフの元素周期表の根本に疑問を抱かれる事態になったこともあった。
が、それから70年経った2071年。
ある日本の科学者がその石の成分を発表した。名を石田才瀧という。
しかもそれは既知の成分であり、今まで解析できなかった理由に皆の関心が寄せられた。
そこで、彼は発表の中で今までの研究班が何故この成分を見分けられなかったかに言及をした。
その内容が、今の魔法へと繋がってくる。
なんとその石の表面には自然にできたと思われる魔法膜が貼られていたのだった。
今となっては片手でできる芸当だが、その時の人類にとっては大きな発見だったのだ。
その発見により、彼は国民栄誉賞を受賞。
またそれをきっかけに日本は魔法大国へと成長していく。
またそこから20年経ち、日本は魔式と呼ばれる技術を実用化した。
魔式は今の魔法の前段階で、なんとあの石を使う技術だった。
その石。実は成分が魔法と親和性のあるものであったらしく、そのために自然に魔法膜ができていたのだそうだ。
また魔式には発電効率を良くする効果も見つかり、電気の価格が抑えられるということもあったようだ。
そこからどんどんと魔式は改良されて行き、世界は戦乱の時代に突入した。
……
………
…………
「みんなも知っているだろうが、そこで第三次世界大戦が勃発した。
その戦争は長きに渡り、始まりの2114年から終戦の2154年まで40年の月日を費やし、戦敗国の被害も甚大ではなかった。
しかし、我が国は魔式に改良を重ねて実用化された魔法を使用して敵国を圧倒した。
けれどそれで戦争は終わらず。
日本は三つの戦争に関与した。
日朝戦争。第二次英露戦争。そして亜米大戦線だ。
日朝戦争以外は日本の同盟国である英国の戦争、そしてアメリカ統衆国の戦争だ。
けれど、日朝戦争と英露戦争においては日本国軍、そして同盟国に戦死者は出なかった。
これを戦神の奇跡と呼ぶ。
順番で言えば英露戦争、日朝戦争、亜米大戦線の順だ。」
…とそこで質問が入る。
「先生。」
「なんだ?神谷君。」
先生が全員君付けで呼ぶだけであり、彼女は女子生徒である。
「はい。神速の戦鬼、はテストに出ないのですか?」
「ああ。それは伝説の存在であって実在が確認されていないからな。テストには出ない。」
「分かりました。」
と
―キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーンー
タイミングよく授業の終わりを告げるチャイムが校舎に響き渡る。
「…これで一年魔法史の授業は終了だ。一年間ご苦労様。二年生になって行われる魔法史復習テストに一年間のまとめが出るから復習しておけよ。…まあ、この授業をきちんと聞いてれば取れるテストだからな。では。諸君がそのテストでよい点を出してくれることを期待している。」
今は2194年。国連の正式名称が国際共和連合となって40年が経つ。
魔法が科学に取って変わり、国際的な科学レベルが衰退しているのが現状だが解決には至っていない。
そして次の日、その学校…国立武蔵魔法魔術学院の修了式が行われ、入学シーズンへと移って行く。