第十六話 宿泊行事一日目③
一週間くらい時間をおいてしまってすみません。
ですが、必ず終わらせるという言葉に二言はありません!
と言えた義理ではないんだけれど( ̄▽ ̄;)
宿舎のエントランスホールでの朝礼が終わり、生徒達は担任と共に学校別舎の特別教室へと向かう。
何と言っても今日は
「学園長の講義か〜。どんなものか楽しみだね、穂乃果。」
「…うん。そうだね陽華ちゃん。」
そう。今日は五代家系よりも強い、と言われている学園長の講義があるのだ。
彼女の話は毎回新鮮で、知らないことも教えてくれると有名だった。
しかし、何故か湖八穂乃果は何かを考えるようであった。
「どうしたの?穂乃果?」
流石幼馴染みというべきか。その異変にいち早く気付いた陽華である。
けれど
「うんうん。別に対したことじゃないから。しかももしかしたら気のせいかもしれないし。」
この三日間のスケジュールは
「一日目は学園長の講義と希望者の教師との実戦。
二日目は委員会・係決めを終えた後にクラス対決の試合。午後は試験。夜にはキャンプファイアーと花火。
三日目は午前中試験の合否発表と各担任の魔法披露。午後にこれからの予定を話した後にバスで帰還。」
というものになっている。
一日目に教師との実戦という名の模擬試合をするのは恒例行事として知られており、ここで教師人の評価が決まると言っても過言ではない。
そして全員が大教室へ入り、セキュリティをきちんと確認し、全員が席につく。
すると遠隔捜査で全ての教室のプロジェクターが一斉に作動する。
と、同時に別室にいる学園長が映し出される。
「えー、皆さん。初めまして。…Δ、Σ、Π組の皆さんは昨日ぶりですね。………」
そうして彼女は挨拶を終えた後に講義を始める。
「今回は身体強化について話したいと思います。身体強化。それは……」
身体強化の基本認識の誤差から始まり、応用の幅等々まで話し、
「では、皆さんに質問です。身体強化Ex+++が使える、今や伝説となっている存在の名前は何でしょう。」
との質問に移る。
各々の組の中で出た答えを総計したものを担任がチャット形式で学園長に伝える仕組みである。
しかし全ての回答が
「そんな人いない」
というものであった。
…まあ、三人ほどボソッと正解をこぼしていたが、その場の喧騒によって掻き消えた。神崎に聞こえていたかは…推して知るべし。
「正解は神速の戦鬼。誰もが一回は耳にしたことはあると思います。彼はそれを使えたのだそうです。精密な作業が必要なんですけどね。…それでは講義の内容に戻っていきましょう。」
生徒たちが驚きの声をこぼす中、一切驚いた様子を見せない担任と副担任に目を向ける。
右前に神崎がおり、左前にノーラがいるのだ。
そのあとすぐ、生徒達は学園長の講義が再開したのをきっかけにまた視線をプロジェクターへと移す。
そして1時間半の講義を終えた彼らは昼食を終え、更衣室へ向かう。
~ 男子教員用更衣室 ~
そこにはもう着替え終わった教師達がいた。
彼らはフレンドリーであることで有名だった。
そのうちの一人。一組の担任、原 周助は熱血で知られており
、
「神崎くん。男子でΔ組の担任を任せられるなんて…僕らからすれば誇りでしかないよ。頑張って!」
「、は、はい。」
神崎にもこのような接し方をする。
実は特別クラスの担任は今まで男性が選ばれたことがなかったのがこの反応の原因なのだが、今回はその話について割愛する。
そして、井上和宗は
「ええ。原さんの言う通り。神崎くん。君は僕ら男子教員の誇りだ。胸を張ってくれ。」
「え、ええ。」
冷静沈着で知られているが、時に情に流されることがある。
また、もう一人石田晃之は
「ああ。俺ら3人からすればお前は憧れでもあり誇りでもある。がんばれよ!」
「は、はい。頑張ります。」
脳筋の教師である。
とはいえ、なぜここで話しかけたのかと言えば、なかなか神崎と話す機会がなかったためだった。
そもそも普通であれば宿泊行事まで一週間くらいの時間があるため、そのなかで担任教師と教科担当教師との間でやり取りがあるはずなのだ。しかし、この宿泊施設はこの後違う付属高校が使う事情も相まって、このタイミングで宿泊行事が行われる。そのため話す機会がないのも納得なのだった。
まあ、あとは戦い方を事前に把握しておこうという企みの者もいる。
魔法デバイスの形状から戦い方を把握しておくと、この後の模擬試合を観る際、どう見ればいいかがわかってくる為であった。
しかし彼らは全然分からなかった。
神崎の持っているデバイスが何種類あったのか。
そして神崎が着替え終わり、部屋を出ていくと
「…ねえ見た?」
「ええ。彼のあの鍛え抜かれた肉体。流石にマッチョとはいきませんが、結構な筋肉がついていました。」
「ああ。凄かったな。」
どうやら神崎は三人と仲良くなれたようだ。
一方その頃…
~ 女子教員用更衣室 ~
「ねえ、ノーラさん。そのペンダント綺麗ですね。」
「千風さん。ありがとう、ございます?」
「…ノーラさん。それ誰からもらったんですか?」
空弥はノーラの言葉の抑揚が疑問だと思ったからこそそう聞いたのだ。
だが、聞かれると思っていなかったのか少したじたじな様子で
「え、えぇっと…神速の戦鬼からいただきました。」
という返答をしてしまうノーラだった。
けれど、ペンダント如きで…というのも失礼だが、そんなところでまさか神速の戦鬼の名前が出てくるとはだれが予想するだろうか。
「「え?」」
そりゃあ、こんな反応が返ってくるわけで。
戦鬼からもらった大切なものだから、と言っていつものノーラであれば大切に保管している一品だが、こういう宿泊行事などでは必ずと言っていいほどにこのペンダントをつけている。
先ほどの学園長の話にあった伝説の存在からもらったと言われたのがあまりにも響いたのだろうか。
それからしばらくは2人は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
だが、彼との出会いと別れ方を聞き、恋話に花が咲く。
なんと言っても彼女らはまだ20代前半。
恋話で盛り上がっても仕方がない年頃なのである。
とはいえ
「そんなことがあったんだ。…戦鬼ってノーラさんからすれば王子様みたいだね。」
「ノーラさん、羨ましいわ。私たちですら会ったことがない伝説になりかけている存在と会ったことがあるなんて…。しかも…」
しかし彼女たちは知らない。
そのペンダントは神速の戦鬼が自ら作ったものであり、絶対防御、害意反射、異物除外術式、害意に対する絶対反射にデバフ無効化術式…といったものが込められているものだということに。
因みに、神速の戦鬼が自分用に開発したものだから凝っているだけで、ノーラのために作ったものではなかったりする。
ノーラがあまりにも別れを惜しむから、「なら、これをあげるか」というような気持ちで戦鬼がノーラへあげたのだが…。
そんなことはいざ知らず、話に花が咲いていく。
一週間以内には次の話を投稿するぞぉ!




