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彼女が寝取られるたびにタイムリープする俺は、ざまぁする為に美少女達を落としていく。~全ての準備が整ってざまぁしようとしたら修羅場が始まった~

作者: 棘 瑞貴


『ごめんね(あき)っ、私……もう秋じゃ満足出来ないやっ……♡』


 16時43分。

 電話越しに聞こえて来たのは、俺が付き合っている彼女が漏らす愉悦の声。


 俺以外の誰かと繋がっているまさにその瞬間の音声だった。


 悪趣味以外の何者でもないそれを、この時の俺は理解出来ちゃいなかった。


阿里沙(ありさ)……どういう事だ……!?」


 その問いにおよそ理性のある返事というものは返って来ない。

 代わりに聞こえて来るのは阿里沙の喘ぎ声。


 それだけで愚鈍な俺もようやく事態を飲み込み始めた。


 要は簡単な話。


 ──俺が一年間付き合っていた彼女が誰かに寝取られている。


「……ヴッ……!!」


 俺は胃から込み上げてくる何かを自宅のトイレに吐き出した。


 大好きだったんだ。

 正直、自分でも重いだろうなって分かるくらいには大好きだったんだ。


 彼女も俺の想いに応えてくれるように愛し合っていたはずだ。


 そのはずなのに……


 一体いつから俺は裏切られてたんだ?

 阿里沙はずっと俺に不満を抱いていたのか?


 たった一本の最悪な電話は俺から全てを奪ったように感じる。


 それでも残るのは自分への罪悪感。


 俺からの阿里沙への愛が足りなかったんだろう……と。


 それ程に好きだった。


 きっと、この先どれ程酷い仕打ちやあり得ない現象が起こったって揺るぎはしないだろう。


 ──この時まではそう思っていた。


「……クソっ……」


 胃の中のものを全て吐き出した俺は口元をタオルで拭いながらトイレを出た。


 そしてポケットに入れていたスマホに着信が入った事に気付く。


 最早誰からの着信かを確認する気力もなく、それでも電話は出なければと、俺は画面を右にスワイプした。


「……もしもし」


 電話の相手方は俺の暗い声に意も介さず、ぷりぷりと怒り出していた。


『もしもーし!秋、どこに居るの!?デートの約束はーーー!?』

「……阿里……沙……?」

『そうだよ!?秋の可愛い彼女の阿里沙ちゃん!!早く来てよーー!!』


 こいつ、さっきの今で何を言ってるんだ……!?


 俺は文字通り言葉を失って耳からスマホを離した。


 呆然としている間柄にも阿里沙がずっと文句を言っている。


 けれど何故か以前まで感じていた愛のこもった言葉のように感じた。


『ちょっと秋!?聞いてるぅ!?ね、何かあったの?段々心配になってきたんだけど……』


 俺からしたら脈絡のないその発言に最早俺の頭はパニックだ。


 そしてとうとう俺はあることに気付いた。


 阿里沙からの着信画面を見つめていると、左上の方にある日付がおかしいって事に。


「……8月1日……?」

『そうよー!?デートの約束をしたっしょ!?あれ、私が間違えてる!?』


 8月1日。

 確かにその日、俺は阿里沙とデートの約束をした。


 だがそれは1ヶ月も前の事だ。


「……ハハッ……」


 ようやく俺は状況を正確に理解する。


 俺は阿里沙が寝取られたあの瞬間から1ヶ月前にタイムリープしたんだ。


 更に全身に電流が走ったように抱いてはいけない筈の考えを思い付く。


 ──復讐してやる……!!


『秋!?なに笑ってるの!?怖いよ!?』


 変わらないと思っていた想いが急速に冷めていくのを実感する。


 今電話しているこの女はいずれ俺を裏切る。


 どうにかして俺との絆を深めれば良いだろう。

 少し前の俺ならそう考えたはずだ。


 だけど状況が変わった。


 もしも、もしもだ。


 阿里沙が俺を裏切る度にタイムリープをするとしたら?


 俺はこう考える。


 利用するしかないだろう、と。


 だってこんなあり得ない事が起こってしまったんだ。

 出来る事は何だってしてやる。


 俺を最初に裏切ったのはお前だ阿里沙……

 せいぜい有効活用させてもらう。


 ──そして俺の予想は的中し、彼女が寝取られる度に8月1日に戻って来た。





 小笠原(おがさわら)秋広(あきひろ)、高校2年生。

 5度目の8月1日を迎えた俺は毎度の如く彼女である西院(さいいん)阿里沙(ありさ)と電話をしていた。


「阿里沙?悪いんだけど今日のデート行けそうにないんだ」

『えー!?私超楽しみにしてたのに!!』

「ごめんな。絶対埋め合わせはするから今日は無しにしてくれ」

『……分かった。そんかし絶対穴埋めしてよね!!』


 俺は「分かってる」とだけ短く告げて電話を切った。


 そして訪れていた学校の図書室に入る。


留衣(るい)、入るぞー?」

『は!?秋広!?ちょ、ちょっと待っ──』


 俺はドアの奥から聞こえて来る制止を無視してガラガラ、とドアを開けた。


「ちょ、待ってって言ったでしょ!?」

「言い切る前に入ったから言われてない。それよりも相談があるんだけど聞いてくれるか?」

「……自分勝手過ぎでしょ。まぁ良いわ、なに?」


 俺の目の前で尻もちをついて白い太ももを露にしているのは三並(みなみ)留衣(るい)。俺のブレーンだ。


 理数系の成績は学年でトップの秀才で、その頭脳とは裏腹に顔は凄くおぼこいギャップだらけの美少女。


 俺がここに来るのはこれで5回目。

 そしてこのやり取りもな。


「留衣、パンツ見えそうだぞ」

「!! 見たら殺す……」

「良いよお前になら」

「……あたしがあんたの彼女に殺されるわよ。ったく……」


 俺はそっと手を差し出して留衣を立たせた。


 ここに来た理由をさっさと語る為にな。


「さてと、早速だけど相談を始めても良いか?」

「……ま、知らない仲じゃないし手短にならね。なに?恋人と喧嘩でもした?」

「あーまぁ似たようなもんだな。でも相談はそんな事じゃない」

「……?」


 2人で誰も居ない図書室のテーブルに腰掛け、俺は真顔で言った。


「留衣、俺と付き合おうぜ」

「………………え?」


 数秒フリーズした留衣は持ち前の頭脳をフル回転させ、俺の言葉を咀嚼して飲み込んだ。

 そして出て来た言葉は──


「あ、あたしを不倫相手にするつもり!?」

「ちげぇよ」


 はぁ……こいつ毎回この反応ばっかな。


 もう面倒だしいつも(・・・)のようにやりますか。


「実はさ、俺の彼女が浮気してるみたいでな。仕返ししてやりたくてたまらないんだ」

「え……?浮気って本当……?」

「本当。一年間も付き合って裏切られたんだ。こんなの許せないだろ?だから俺とお前が付き合って盛大に振ってやろうって思ってな」

「……」


 留衣は俺から視線を外し、下を向いた。


 一体今何を考えているのか、俺には手に取るように分かる。

 過去4度繰り返したからな。ちなみに1度目は失敗した。


「……それって、さ。別にあたしの事が好きだからじゃなくって、ただ仕返しがしたいってだけなの?」


 俺は最初こう答えた。

 「いや違う。俺はお前が好きだから出来れば手伝って欲しい」とな。


 しかし返って来たのは平手打ち。

 何やら「嘘つきは嫌い」との事だ。


 ならばこう答えるしかない。


「その通りだよ。俺は別にお前の事なんて何とも思っちゃいない。ただ仕返ししてやりたくて、俺にとって都合の良いお前を選ん──」


 ──ばちぃいいん!!!


 ……計5度目の平手打ち。


 何か今回は特に痛かった気がする。

 余計な事でも言ってたからかな。都合の良いとか。てへ。


「ま、正直に言った事は評価してあげる。それにしてもまさか秋広にそんな風に見られてたとはねぇ」

「……今のビンタ必要だった?」

「必要に決まってるでしょ。あんな酷い事を言われたんだから」


 留衣は「でも」と続ける。


「協力はしてあげる」

「……ありがと」

「秋広とは高校始まって以来の付き合いだからねぇ~」

「短い付き合いだよなぁ」

「そ?あたしは濃い付き合いだったよ?あたしはずっと秋広を見てたから」


 ……少しだけ心が痛む。


 真っ直ぐに俺を見つめて優しく笑う留衣の目を見られない。


 留衣は高校生活が始まってすぐ仲良くなった女の子だ。

 友達の少ない俺に声を掛けてくれた優しい女の子。


 本当、何で俺なんかを……


 けれど今はそれを利用させて貰う。


 ……どうせ、無かった事になるのだから。


「それで、秋広はあたしを使ってどんな仕返しを企んでるの?」

「それは──」


 俺は留衣にこのタイムリープを経てたどり着いた"ざまぁ作戦"を語った。


 全てを聞いた留衣は軽く頷いた。


「秋広って本当性格悪いよねぇ~。ちょっと浮気されたくらいでそこまでする?」


 お前に5回も寝取られ電話された男の気持ちが分かんのかよ。


「俺は器も心もせめーの」

「ふふっ、そんな男の浮気相手になるのも悪くない気分かも」

「……変な奴」

「ほら、決行は1ヶ月後なんでしょ!そうと決まれば──」


 留衣は俺の腕を引っ張って図書室を後にする。


「デートして、あたしを秋広の本物の彼女にしてよ!!」

「……そうだな!」


 何度留衣とデートをしても楽しかった。


 同じ街、同じ店、同じ会話。


 そのどれもが新鮮で、本当に留衣を選んだ事に罪悪感が残る。

 留衣は最初から俺の事を好きなのだ。

 3度目のリープでその事を知った。


 俺だけがその気持ちを今知っている。

 これはあまりに不公平だよ。


 だがまだ終われない。


 俺にはまだ2人落としたい相手がいる。


 次は幼馴染みだ──





 俺の作戦は単純だった。

 タイムリープを使って落としたい3人の女の子の落とし方を探る。


 そして彼女らを集めた上であの(・・)電話に出て「お前なんかもう要らない」そう言うつもりだ。


 実は留衣にはもちろんだが、他の2人にもハーレムを作って捨てる事を伝えるつもりはない。


 当日はいっぱい文句を言われるだろうが、その複数の女の子の声があるってのが大事なんだ。


 その声の中「俺にはハーレムがあるからな、ハッハッハ!!」と言うだけで良い。


 別にそれをしたからって大した変化はない。

 ただ俺の中のモヤっとした感情がほんの少し晴れるだけ。


 そして寝取られている事実は変わらないので、またタイムリープをして全ては無かった事になる。


 後はその時のリープであの寝取られ電話を受け取らないで居れば、俺が彼女を寝取られている事実を知る事は無く9月2日が始まるだろう。

 いつだってタイムリープが起こるのはあの電話の後だったからな。


 俺が3人の女の子達を利用した事実は無くなり、ただ俺と阿里沙との関係が解消される。


 それで俺の復讐劇は終わりだ。


 だからこの罪悪感も本当は抱く必要はないんだが……


「秋君、ちょっと疲れた顔してるけど大丈夫?」

「……ん、大丈夫だよ七瀬(ななせ)


 自宅の窓越しに向かい合う男女。

 言うまでもなく片方が俺で、もう一人が幼馴染み。

 ボブっぽく明るい髪色の女の子、古河(ふるかわ)七瀬(ななせ)


 幼い頃からの知り合いでお隣さん。

 俺の良いところも駄目な所も知り尽くしたマイペースな奴だ。


「秋君……『はぁ、いい加減このやり取り飽きてきたな』って顔してるよ?」

「どんな顔だよそれ!?」


 お前、エスパーかよ!?

 

 あぁこれは4度目の時のツッコミな。


 適度にやり取りを変えるのが精神を安定させる方法だと5度目にして気付いた今日この頃。


「ふふっ、幼馴染みに隠し事は無理って事だよ。何かあった?」

「……お前には敵わねぇよ」

「秋君の事を世界で一番理解してるからね!まぁ彼女さんの前では言えないけどねぇ~」

「……」


 俺は本当に恵まれている。

 

 彼女が出来たと言った時に心から応援してくれたこいつに俺は今から酷い事を頼むってのに……

 たぶん全部察した上で笑顔を向けてくれている。


 俺は真剣な表情で七瀬を見つめた。


「七瀬、俺お前に──」

「良いよ」

「……!」


 ……お前は何度だってそう言ってくれるんだな。


「理由なんか聞かないよ。彼女さんと何かあったんでしょう。私に出来る事なら何だってしてあげる」

「……助かるよ」

「その代わり!!」

「?」


 あれ、このパターンは始めてだな。


 七瀬は俺の鼻に指を突き出して笑った。


「全部終わったら私を彼女にすること」

「お、お前……!?」

「やっぱり気付いて無かったねぇ~。おっとっと、それより秋君の作戦を聞かせてよ!」

「……おぅ」


 面食らった俺は頬をかきながら留衣にも伝えた作戦を伝えた。





 8月25日。

 長い長い夏休みもいよいよ後半戦だ。


 俺は最後に選んでいた3人目の相手がいる部室を訪れていた。


 阿里沙と同じ吹奏楽部に所属するその子は、練習中にも関わらず、俺が手招きをするとすぐに出て来てくれた。


「小笠原、急にどうしたの?阿里沙なら今日は休みだよ?」


 生野(いくの)(ゆき)、細身の長身でスタイル抜群の美少女。


 ──そして俺の彼女である西院阿里沙の親友だ。


「悪いな、実はちょっと生野に用があって」

「……? 良く分からないけれどもうちょっとで休憩だから少し待っててくれる?」

「もちろん」


 生野の言う通り10分程待った所で休憩に入った。

 俺達は真夏であっても日陰だらけで涼しい中庭に場所を移した。


「ふぅーっ!疲れた!!」

「お疲れさん」

「ありがと。それで、どうしたのよ?」


 俺達はベンチにこぶし2つ分ほどの距離を空けて座る。


 いつまでもうだうだしても仕方ないので俺はさっさと本題に入った。

 ……さて、ここからが大変だな。


「……ちょっと聞きたい事があってさ」

「阿里沙の事って顔に書いてるけど……あの子が何かしたの?」


 少し、ほんの少しだけ怒気を孕んだ声が返って来る。


 まだ何も言ってねぇのに凄い警戒心……

 

 俺はこの5度のタイムリープで生野だけは落とす事が出来なかった。


 理由は簡単。

 毎度こいつを怒らせてしまうからだ。


「……実はさ、阿里沙が俺以外の男と仲良くなってるかもって思っててさ……」

「……」


 まさかいきなり寝取られているとは言えず(言ったらいきなりブチギレられた)、恐る恐る言葉を紡ぐ。


「……もし、もしもだぞ?これが間違ってないなら生野に協力して欲しい事があってさ……」

「……どんな事?」


 よしよし、とりあえずここまでは4度目と同じように来れたな。


 以前はここで「俺の恋人になってくれ!!」と言ったらぶん殴られたんだよなぁ。


 最初から好感度の無い女の子を落とすのって大変なんだな……


 しかし俺もそこまで馬鹿じゃない。


 相手によって対応は変えるさ。

 こいつにとっての最適解はこれだ……!!


「生野!!阿里沙の目の前で俺とエロい事をしてくれ!!」

「はぁ!?」


 顔を真っ赤にして戸惑う生野。

 よしっ、まだグーパンは飛んで来ない!

 これは脈ありだ……!!


「お前は阿里沙の事が大好きなんだろ!!そして阿里沙もお前の事が大好きだ!!だったらあいつの目の前で俺がお前を寝取っている所を見せつけて悶絶させてやろうぜ!!」

「……!!!」


 自分で言っておいてあれだが、何だこの作戦。

 もうこんなのしか思い付かなかったんだよなぁ……


 しかし、こうかはばつぐんだ!!


「……あ、阿里沙の、目の前……で、私が阿里沙の、か、彼氏を寝取って……寝取られて……ウソ……しょ、しょんなことって……!!」


 ……おかしい。

 普段クールな美少女がヨダレ垂らして自分の体を抱きしめている。

 はっきり言ってキモい……


「お、おーい……生野ぉ……?」

「はっ!!!」


 どうやら正気に戻ってくれたようだ。

 なにこいつ、阿里沙の事好きすぎだろ。


「……あ、あなたの作戦は分かったわ。阿里沙が浮気をしているのならそのような罰はあって然るべきね」

「だ、だよな!生野に理解して貰えて良かったよ!!」

「えぇ。ただし、それを実行するなら一つやらなくちゃいけない事があるわ」

「え?」


 生野はぴとっと俺の肩に自分の肩を寄せて、赤くなった頬をすり寄せて来た。


「……私が本気であなたを好きにならなくてはいけないということ」

「なんで!?」


 い、いや落とすと決めた女の子だからそれで良いんだけど!

 はっきり言って怖いよ!思考回路がさっぱり分からん!!


「ね、寝取られプレイをしゅるには、お遊びでは駄目……!本気で、本気でいかなくては!!」

「……さ、さいですか」

「そうと決まれば部活なんてしてる場合じゃないわ!!デートよ小笠原──いやアキヒロ!!」

「えぇ!?」


 慣れない名前呼びのせいかぎこちない生野。

 それでも俺を引っ張って校舎を後にしようとする生野の横顔は綺麗で、却ってそれが俺の胸中にただ一つの想いが溢れさせてくる。


(こいつ、ムッツリスケベのド変態じゃねぇか!!!)





 さて、様々?な困難はあったものの無事に3人の女の子を落とした???俺は9月1日を迎えていた。


「さぁ諸君!いよいよざまぁ決行日だぞ!!」


 俺は自宅に秀才美少女留衣と、幼馴染みの七瀬、そしてムッツリスケベの生野を招いていた。


 しかし集まってくれた彼女らの顔色は芳しくない。


 一番文句を垂れそうだった留衣がさっそく口を開いた。


「ねぇ……あたし他の女が居るなんて聞いてないんだけど……!」


 わーお、すっげぇ睨んでるぅ!


「る、留衣、まだ言って無かったんだけど彼女を作って復讐よりも、ハーレム作って復讐のが良いかなって思ってさ!!」

「はぁ!?あたし、これが終わったら秋広の本当の彼女になれると思ってたのに……!!」

「……うっ」


 それを言われるとまた胸が痛む。


 俺が言葉に詰まっていると、今度は七瀬が俺にこわーい笑顔を向けている。


「秋君?さすがの私もこれは予想外だよ??しっかり説明してね???」

「え、えぇっとぉ……」


 やばい、七瀬のやつ、ブチギレ寸前だ……!!


 俺が2人の美少女に詰められている最中、俺のベッドの上で一人の変態が体をくねらせている。


「うふふ……!も、もうしゅこしでNTRの大乱交が……宴が始まっ……ぶほぉっ!!」

「お前は何に興奮してんだこのド変態がぁ!!」

「はっ!!良い!!良いわご主人様!!今の罵倒……凄くクるわ!!」


 ……最悪だ。こいつだけはマジで要らなかった。


「秋広!NTRってなに!?まだあたしに内緒にしてる事があるの!?」

「秋君!さすがの私も怒ってるよ!?」

「ご主人様~もっと、もっと私をなじって~!!」

「ごめん、ちょっと静かにしてくれぇぇえ!!!」


 マジでそろそろ電話が掛かって来る頃なんだ!!

 あの寝取られ電話がなぁ!!


 待ちに待った瞬間なのにとんでもない自体だよ、ったく!!


 俺はスマホを取り出して電話に備えた。


 時刻は16時42分。

 ……ん?もうコール音が鳴る頃なのだが……


『……むぅ~~~……』


 3人のそれぞれの唸り声が響きながらも静かな部屋に着信音が鳴る事はない。


 とうとう時刻は16時45分になった。


 俺の手のひらにはじわりと汗が滲み始めていた。


 事ここに至って、寝取られ電話が発生しない……


 これが意味するのは──


「ちょっと……いつまで待たせるつもり!言ってた電話も来ないし、本当どういつもり!?」

「秋君!!私を彼女にしてくれるって話はどうするの!?」

「なにそれ!?秋広の彼女になるのはあたしだから!!」

「……ご主人様ぁ~まだ虐めてくれないの~……?」


 う、嘘だろ……!?

 この……ままじゃ……!


 このままじゃ──タイムリープが起こらなければ──俺はこのド修羅場を切り抜けねばならなくなるぞ……!?


 俺が猛烈に焦っていると、部屋の喧騒を打ち消すように自宅のインターホンが鳴り響いた。


 そしてインターホンに出る間も無く、大きな怒声が部屋まで筒抜けになる──


『こぉぉらぁぁああ秋ぃぃぃいいい!!!色んな女の子連れ込んで何やらかしてんのぉおおーーっ!!!』


『!?』


 えぇ!?阿里沙!?

 何で!?何でここに来てんの!?


 お前今どこぞの男に寝取られてんじゃねぇの!?


 それになんでここに複数の女の子が居るのがバレてんの!?


 ──ガチャ。


「しまった!!」


 今日はスムーズに家に入って貰う為に鍵開けっ放しだった!


 俺は急いで自室のドアを閉めに行ったが時は既に遅し。


 目の前にはお冠のまだ(・・)俺の事が大好きな彼女さんが鬼の形相を作っている。


「さぁあ~て秋ぃ??これは一体どういう事かお聞きしましょうか??」

「ま、待て、俺にも何が何だか……!!」

「とりあえず一発食らって貰いましょうか!!」

「ひぃ!?」



 ──もしも居るなら生まれて初めて請い願う。



「秋広!?絶対彼女さん浮気なんてしてないでしょ!?もう、ほんっと最低!信じらんない!!」

「わわわ、もう私頭パニックだよ!?秋君早く説明してってば!?」

「わわ!阿里沙!?どうしてここに!?」



 ──どうか神様、もう二度とざまぁとか復讐とか言いませんから。



「秋……人の親友にまでちょっかい出して……天誅っ!!!」

「ぶべぇあっ!!」



 ──お願いだから最後にタイムリープをさせて下さい……

お読み下さりありがとうございます!


オチに関して、モヤっとした方は感想欄を一目見て頂ければ一つの参考になるかと思います!

感想を下さった皆様ありがとうございますm(_ _)m


【作者からのお願い】

少しでも面白かった、続きがみたい!


そう思ってくださった方が居ればぜひ★★★★★評価や、ブクマ感想いいね等ぜひお待ちしております!

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― 新着の感想 ―
[一言] 寝取られない一番良い方法が寝取り役より屑になる事か…修羅場は因果応報かな
[一言] 展開は面白い! けど、詳細が明らかになっていない、映画の予告編みたいな感じで全体像がつかみきれない難しい小説だった^^; 続編か連載版の叩き台かな。それはそれで期待したい。
[気になる点] 主人公の思考が意味不明だな なんでここでハーレム行動してるんだ? しかも、体が一つなのにどうやってそんなことを成し遂げたのか?
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