未知なる勇者
ミーナさんも本屋に行くことになり3人で向かった。
マクさんの新刊が昨日発売だったそうだ。
「着いたー!」
ティナが俺の腕を引っ張り、木造の建物に入った。ミーナさんも後に続く。
あまり大きな建物ではなかったが、入り口の目立つ所にマクさんの新刊コーナーがあった。
さっそく2人が手にとっている。
表紙は知らない人だ。
流石にもう俺は盗撮されてないよな…?
念のため、中身を確認する。
「イケメンランキング…。」
最初のページのランキング18位に俺の名前が載っている。殿下のお名前も9位に掲載されていた。
次にアマノミヤに入ったら確実に不敬罪で処罰されるだろう。
名前くらいなら、まぁいいかと諦め半分で他の人を確認する。
第1位 リオン皇子
第2位 リカード・ユグレス
第3位 ケイン・ウルティモール
第4位 アルバート・ユグレス
第5位 勇者〔暫定〕
ユグレスという苗字が10位までに3人入っているのは兄弟なんだろうか? 容姿がティナに少し似ている気もする。
それから5位の暫定が気になった。
「なぁ、勇者って次に召喚されるんだろ?」
「うん!毎回この応募ハガキのアンケートの結果で順位が決まるから、まだ誰か分からなくても5位になったんだと思う。」
なるほど…。
知らないところに連れてこられて盗撮の特集本を出版されるであろう勇者に同情した。
パラパラとページをめくると3位ケイン・ウルティモールの特集があった。目にとまった理由は、俺と同じ剣士のようだったからだ。
重そうな鎧と兜を被り、大剣に大盾を構えている。かなりガタイの良い男性だ。
ミーナさんがそれに気づいたのか、解説をしてくれた。
「彼は、顔はイケメンとは言い難いけど7年前にドラゴンから街を防衛した英雄なんですよ」
言い伝えでしか聞いたことがないドラゴンと戦った人物が実際にいるのは気になるところだ。
「ナツキお兄ちゃんの写真載ってなかったー!」
ティナはむっとしたように頬を膨らませている。
「前回がアマノミヤ特集だったから仕方ないんじゃないかしら」
ミーナさんが答える。
俺としては載りたくはないから良かったのだが…。
二人とも購入するためにレジへと並んで行った。
外に出るともう日が暮れかけている。
戻ってきた2人と再び合流すると、もうそれぞれ帰ることになった。
ミーナさんにも大蛇に勝ったらまた会いに行くと約束した。
明日は故郷に帰る日だ。
あの蔓延る大蛇の群れに決着をつける時だ。
もしかしたら楽しい思い出は今日が最後かもしれない。
俺が失敗したら、この子も死んでしまうかもしれない。そう思いティナを見たが、そんな心配とは裏腹にティナは笑顔で振り返る。俺が勝つと信じて疑わないような振る舞いだ。
不思議とその笑顔で俺の不安も消えていく。
「会ったばかりなのにな…」
「なにか言った?お兄ちゃん?」
ティナは不思議そうに見つめる。
いや、なんでもない。そう言って帰りの馬にまたがった。
綺麗な夕焼け空だ。
この景色をまた見れると信じよう。
そうして館へ向かって歩きだした。




