神童の付与術師
少女は自己紹介を始めた。
「私はティナ。イザベラお姉ちゃんに拾われたから苗字はないよ。得意な魔法は付与魔法で、魔石を使ってお兄ちゃんの刀とか強化出来るよ。」
「付与魔法…?」
魔法自体ほぼ見たことがない俺には理解が難しい。
それを察したのか、ティナは俺の腕をひっぱり、隣の部屋に案内した。
そこには、台の上に立派な刀があった。
持ち手の部分に青緑色の宝石がはめ込まれている。
「これは私の新作!」
そう言って俺に刀を差し出す。
「あ…!私を斬ったら永遠にワンちゃんになっちゃうからね!」
物騒なことを言いながら、刀の説明をしだした。
どうやら、鍛治職人が別にいて、魔法を発動出来るように紋様を刻んだのがティナらしい。
ちなみに風と雷属性。
「試し斬りしてみても?」
ティナは自慢げに試し斬り出来る外へと案内した。
捕らわれていた部屋も悪くはなかったが、部屋を出ると広い廊下に出た。複数の部屋があり窓を見ると3階にいたようだ。
下まで降りたが誰にも出くわすことはなかった。
「こっち!」
ティナに手を引かれ、寒い外で木の生い茂るところに行った。
どうやら、薪を割った跡がある。
ここでなら問題なく素振りは出来る。
「この木を斬ってみて!」
ティナは笑顔で言うが、俺が持っているのは斧ではない。だが、刀でも魔法の効果で斬れるということなのだろう。
俺は鞘から抜刀術を放った。
すると、予期しない衝撃が襲う。
飛ぶ斬撃となって正面の木どころか、後ろの5本くらいまとめて吹っ飛んだのだ。
しかも断面が焦げている。
反動でかなり腕が痺れた。
ティナは嬉しそうにガッツポーズをしている。
「これなら大蛇も殲滅できそうだな…」
俺は痺れた腕を伸ばしながら呟いた。
「魔石の魔力がなくなったら、普通の刀になっちゃうから魔石はたくさん持っていかなくちゃ。」
なにやら真剣にメモをとっているようだ。
「出発はいつなんだ?」
この力があるなら出発ははやい方が良い。
「来月に勇者召喚があるから、それまでに魔石全部回収したいな。」
「なにか召喚するのか…?」
魔法という存在を目にしたばかりだが、召喚というよく分からないものに戸惑う。
「召喚するのはエルサレラ王国だよ。異世界の強い人をたくさん呼ぶんだって。彼らに毒の魔石が悪用されたら都市の水源が汚染されたりして困るでしょ…?」
高価な魔石を欲しがっているのかと思ったが、環境を守るためだったのか…。
「毒の魔石…。そういえば、ティナは毒の対策どうするんだ?」
これは純粋な疑問だ。
俺も何度も毒霧にやられ引き返した。
「この浄化のブレスレットがあれば大丈夫かな。あとは解毒ポーション。」
どうやら準備はすでに出来ているらしい。
「私とナツキお兄ちゃんがいれば、きっと勝てるよ」
そうニッコリと笑って館に戻ろうと俺の手を引いた。




