第九十五話
「だから、いくら死んでも生き返れるようにしたんだよ」
「は?」
しずくちゃんの言葉に私は思わず声を上げる。
何それ。
死んでも生き返れる異世界?
「死んでもいい異世界なんてぬるすぎるZE!!」
「……先輩が何か深夜アニメに影響されすぎてるのは分かるんだけど、そのネタはやめようか?」
「いやだって、死んでもいい異世界なんてぬるぬるのぬるだよ!!!」
「でも、死んでもいいからって、むやみに死んだりしないようにね」
「え、なんで?」
「死ぬほど痛いから。普通の人なら気が狂っちゃうかも?」
「……いや、そこはペインアブソーバーとか。そういうセキュリティ的な」
「ぺいんあぶそーばー? 何それ、ボクわからない。そういう設定とかは書かないできちゃったし。とりあえず死ななければいいかな、的な?」
「さいですか……」
ペインアブソーバー無かったら実質臨死体験じゃないか。
そんな体験あまりしたくないなぁ。
私がしずくちゃんとそんな話をしている間に、しおりや遥香はというと。
しおりが羨望の眼差しで政宗を見つめていた。
「政宗殿!! 私に剣術の指南をお願いしたく!!」
「なに!! そうか!! なら今から修行しようぞ!!」
なんかしおりは私が気を失っている間に政宗と意気投合したらしい。
妙に暑苦しすぎてあまり近寄りたくない。
「それはそうと、この異世界を早く脱出しないとね」
しずくちゃんも、そんなことを思っていたのか私に向かってそう告げる。
「それなんだけど、どうすれば、脱出できるの?」
「んー……この世界にはアポカリプスの核になるものがあるはずなのだけど……」
「世界の核かー。ボクにはさっぱり思い当たらないよ?」
私たちの話を黙って聞いていた輝夜は私たちの話に口をはさむ。
「輝夜がわかんないんじゃ、この世界の核がなんなのかわかんないんじゃ?」
「ちっちっち。ボクがそんなミスを犯すとでも?」
不敵な笑みとともにしずくちゃんはニヤリとほほ笑む。
「このアポカリプスの世界はある一点の人物に集約されるように設定してきたんだ」
「へー……それで?」
興味がないといった雰囲気で輝夜は声をあげながら続きを促す。
「つまり、輝夜、キミが世界の核だよ」
は? 輝夜が世界の核? ならこの世界を終わらせる方法は……。
「輝夜が、この世界を諦めれば、この世界は終わりを迎えるってことだよ」
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