第九十三話
まずいことに気付いた。
輝夜の城で食っちゃ寝る食っちゃ寝るの生活を繰り返していたのだけれど。
まず第一にまずいのは、普通に生活しているのにいきなり変な歪みに巻き込まれて、城下町にぽーいっと放り出されること。
そして、たいていそういう時は、変なおじさんや、語尾がうるさいおじさんに因縁をふっかけられること。
……もう慣れたから、出会ったら殴り倒しているけれども。
そして、二つ目にまずいことは、殴り倒すたびに吸血鬼の力を使うものだから私自身の『存在』がゴリゴリ減っていっているということ。
『存在』を補給するにはしずくちゃんがいないことには補給のしようがない。
最後に三番目。
これが一番まずい。
まずすぎる。
この異世界に閉じ込められて一週間。
外の時間の流れがどうなっているのかわからないけれど、時間がリンクしているのだとしたら。
学園の出席日数が正直やばい。
今年はコロナもあって休校の日もあったりしたから、出席日数がギリギリなのだ。
それだというのに。
このままでは留年確実。
ただですら一年留年して他の子から浮いているのに。
二年も留年したら完全に浮いてしまう。
というか、そんなことになったらお父様が怒って退学処理にしてしまうかもしれない。
ガクガクブルブル。
こんなことをしている暇はない。
早く遥香やミィアと合流してこの世界から脱出しなくては。
輝夜は『終わらない物語』が『終わりのある物語』になったといっていた。
だから、この物語は何かを成し遂げれば、物語は終わりを迎えるはず。
とりあえず、私は輝夜にお願いして、再びマツタケ……もとい政宗の居城へと赴くことになった。
眠すぎて力尽きましたorz




