第八十七話
ん? 今日はカーミラの番か?
しょうがないな。
この『始祖』カーミラ様が、のぞみたちのことをみまもってやるンだわ。
アポカリプスの映し出した映像を見ると遥香とミィアとかいう『聖女』がなんだかそわそわしながら、和服を着てお屋敷に座っていた。
なんで遥香達は和服を着ているんだ?
そもそもアポカリプスは西洋の聖典なのだから、作り出す世界も西洋に近しいもののはずじゃないのか?
それがテレビの時代劇で見たようなお屋敷。
なんだか変なことになっているなと思いアポカリプスに尋ねる。
「おい、アポカリプス。これはどういうことだ?」
「しおりがこのようになるように書き記しただけだ。我はそれに従っただけだ。我はどうなっても知らん」
自分に書かれたことを実行するだけとはまた無責任な奴だなと思いながらもこれは面白いことになっているなとほくそ笑む。
そうかそうか。書かれたことをそのまま、ありのままに実行する聖典か。
それならばと思い、屋敷の裏山でボロボロになっているのぞみに視点を移す。
「くくく、のぞみ。今までの恨み、はらさせてもらうンだわ」
カーミラはアポカリプスの映し出したのぞみの姿をつつきながら、のぞみが迎えるであろう結末を書き綴った。
「はぁ、はぁ、はぁ。一体なんなのよ。なんで遥香がお姫様扱いされて、私が手配書出されてるわけ?」
どうやら、しおりはのぞみに街から手配がかかるように書き記したらしいな。
ははは、いい気味だ。
「あ、やば、またこっちから人が来る」
のぞみはどうやら吸血鬼の能力をフルに活用して街の追手から逃れているらしい。
ここの異世界の人間はそこまで、身体能力は高くないようだな。
それでは、カーミラが手助けをしてあげるとしてあげるンだわ。
息も絶え絶えののぞみの目の前に現れたのは『聖女』。
そう、最強と呼ばれる金髪の『聖女』。
「あなたを私は滅します」
「ちょっと、タイムタイム、私、何もしないから。お願いします、助けて!!」
のぞみは半泣きで命乞いをする。
くくく。
せいぜい泣きわめきながら、滅せられるといいンだわ。
でも安心しろ、のぞみ。
吸血鬼はちょっとやそっとのことじゃ死は訪れないのだからな。
まぁ少し深い『眠り』に落ちるかもしれないが、そんなのカーミラがしったこっちゃないンだわ。
それじゃ、せいぜい、最強の『聖女』と楽しいワルツを楽しめ。
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