第八十五話
前回までのあらすじ!!
コロナも収まってきたある日の出来事。
先輩と遥香先輩は『聖典』アポカリプスの最終頁『ネバーエンディング』の世界に囚われてしまう。(術者のミィアもろともに)
先輩たちを救い出す方法は無いのかと焦るボク達だったけど、ローレライさんから『聖典』に頁を継ぎ足すことで『ネバーエンディング』の効果が無効化できるということを聞いたボク達。
アポカリプスの白紙のページにはどんなことも書いても良いらしいので、ボクは日記帳をつけようと思う。
しおりや、カーミラも順番に書き記していくことになるだろう。
果たして、『聖典』アポカリプスの新しい最終頁はどんな効果になるのやら。
―――
「ああああああ!!!」
古びた街の往来で先輩が携帯を見ながら何やら絶叫している。
「ここ電波が入らないじゃない」
「何当たり前のこと言ってるんですか? 頭にキノコでも生えてるんですか?」
遥香先輩は愕然としている先輩を冷淡な瞳で見つめながら罵る。
「だって、携帯の電波入らなかったら、私が丹精込めて育ててたシズクちゃんのログインボーナスが」
「無理ですね。諦めてください」
ここでいう所のシズクちゃんというのはボクのことではなくて、携帯のソーシャルゲームとやらのキャラらしい。
最近百合百合できないからとゲームを始めたらボクにそっくりなキャラが出てたらしくて、そのキャラを攻略中なんだよと気色の悪い笑みを浮かべてボクに熱弁を振るっていた。
まあ、異世界ではそのソーシャルゲームとやらもできそうにないのでご愁傷様としか言いようがないけど。
「せめて、せめて。この声が外のしずくちゃん達に聞こえていれば!!」
ん? なんだか話の流れが……。
「聞こえていますよ。アポカリプスからこちらの情報はつつぬけですから」
余計な一言をミィアさんは自慢げに告げる。
「あ、そうなんだ。じゃあ。しずくちゃんー。前に言ってたゲームのログイン、タブレットの方からログインしておいてね!」
自分たちがその異世界から抜け出せる方法もわからないのに、ゲームの心配はするんだね。
ほんとにあのゲームのシズクちゃんとやらにお熱らしい。
困った先輩だなぁ。
そんなことを思いながらもボクは聖典を横目に先輩のタブレットを起動しゲームにログインしてみる。
ゲームのトップにはでかでかと半裸姿の少女の姿がマイページとして登録してあった。
そのキャラをつつくと甘々なボイスで、先輩のことを呼び掛けてくる。
「……」
辞めようかな、このゲーム。
まぁ毎日ログインくらいだけはしてあげよう。
イベントはしらない。そもそもルールがわからないし。
そんなわけで、今日の聖典の日記は終わり。
こんな感じでいいのかとローレライさんに聞いたら「別にどんな内容でもいいですよ」との言葉をいただいた。
今度はしおりの番かな。
先輩と遥香先輩の観察日記でも書いておけば大丈夫だから、よろしくー。
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