第八十二話
その長い銀髪が特徴的な修道服の小さな可愛い少女。
ミィア=S=レフィルと名乗った少女はそんな風体の少女だった。
手に持っている本で腹話術をしなければぜひともお近づきになりたいとこだったのだけれど。
そういうタイプの変な友人はいてほしくないのでノーサンキュー、フィニッシュです。
そんなことを考えていると。
「おい、そこの小娘、おまえものすごくすごく失礼なことを考えているだろう」
腹話術をしている本から抗議の弁を受けた。
「我は『聖典』アポカリプス。自律思考型『聖典』にして最古の魔法書だ」
「はぁ……そうですか、魔法ですか」
「今、お前たち4人の動きを封じているのもいわゆる魔法だ。これを解く方法は『吸血鬼』にはない」
「まぁ、『聖女』になら簡単に解除できちゃうんですけどね、めんどくさいですが」
声とともにバチンと大きな音がして私たちを縛っていた魔法の力が消失する。
私たちの前には元『聖女』のローレライさんがめんどくさそうな表情で立っていた。
「あー……やっぱりあなたが来たんですね、ミィア。それに『聖典』アポカリプスまで持って。めんどくさいですね」
「そう、私はあなたのそのめんどくさいことをするためにやってきたんです。私こそが最強の『聖女』に相応しいのですから」
「あー、うん。最強の『聖女』ですか……。そんなな肩書はもうミィアにノシつけてあげますからここは穏便に済ませませんか?」
ローレライさんは私達を自分の背後にかばいながら言葉を進める。
「そういうわけにもいかんのだ、ローレライ。我の封印が解かれたということの理由はわかるだろう?」
「めんどくさいですが、組織は本気、っと。そういうことですかね」
「そういうことだな。残念なことに」
「それじゃ、ローレライ、私と勝負だ勝負!!」
満面の笑顔でミィアという少女はさっきまで腹話術していた本のページをめくる。
そして。
「『聖典』アポカリプス・六十四項『メテオ・ストライク』!!!」
少女はそういったかと思うと、持っていた本を思いっきり振りかぶりローレライさんに向かって投げつけた。
「我を投げるんじゃないいいいいい!!」
そんなことを叫び(?)ながら飛んでくる『聖典』をやれやれといったまなざしでローレライさんは見つめ。
「『聖杖』ホーリーワンド・ロングステッキモード」
懐から取り出した一個のアクセサリが等身大の大きさに拡大される。
「打球は。芯をとらえて、真っすぐに!!! 運命のクロス・カウンター---!!!」
ローレライさんの言葉はそんな言葉を放ちながら、飛んでくる『聖典』を真っ向正面ドストレートに打ち返した。
「ごふっ」
何とも言えない叫び声を上げ『聖典』はミィアの顔面に直撃した。
「やれやれ、めんどくさいですね。これにこりたら今後一切お嬢様たちにかかわらないように」
「くっ……覚えてろ!! また絶対に仕返ししてやる」
そんな言葉を残してミィアは学園から目にも止まらないスピードで立ち去ってしまった。
「はいはい、クマクマ。私は全然待ってないですクマー」
ローレライさんは寂しそうな表情でミィアの去っていった方をいつまでも眺めていた。
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