第七十話
晩御飯を終え、思い思いにテーブルにのっているスイーツに手をつけながら。
私達の『吸血鬼会議』が幕を開ける。
「結論から申し上げますと。『存在』を回復させる方法はあります」
ローレライさんは開口一番そのようなことを告げる。
「さすが元『聖女』。で、どうすれば回復させることができるの?」
私はローレライさんをヨイショしながらその方法を問いかける。
ローレライさんは無言でニヤリと笑みを浮かべ。
私としずくちゃん、遥香としおりを順番に指さす。
「どういうこと?」
「つまり、お互いの従者と契れば良いんですよ」
「は?」
私は間の抜けた声をあげてしまった。
「ちょっと待ってください、それ本当なんですか?」
遥香も狼狽えながら声をあげる。
「『吸血鬼』。その存在は女の子を見ると百合百合したくなる。ですよね? 遥香さん」
「まぁ……そう、ですね。個体差はありますが」
え、そうなの? てか、私が百合百合したいのって『吸血鬼』の特性なの?
「私にはそういう衝動はありませんけどね」
遥香は飄々としてそんな事を告げる。
いやいやいやいや。それは嘘だろう。遥香は私にあんなに執着していたじゃないか。
それも一種の百合百合したいっていう衝動なんじゃないだろうか。
しかし、『吸血鬼』は種族そのものが百合百合したい種族だなんて、なんか不毛だなぁ。
だって、いくら百合百合したところで子孫は残せたりしないのだから。
あれ……でもそれだと何かがおかしい。
「のぞみ様はきづいたみたいですね」
「なんで私や遥香は生まれてきたんだろう」
「……正確には遥香さんですね。のぞみ様は元人間です」
「え、そうなの?」
「理由は、遥香さんにでも聞いてください、めんどくさいですから」
「はぁ……」
ローレライさんの言葉を聞き遥香の方を見ると遥香は真っ青な顔をして私の方を見つめている。
とりあえずその話は後にした方が良さそうだ。
しかし、そうかー……。
私は一応、元人間だったのか。
それはそうだよなー、お父様もお母様も人間なんだし。
私が吸血鬼な理由を遥香が知ってるって言うのは何だか変な話だけれど。
遥香が話してくれるのを待つことにしよう。
「それで、何で『吸血鬼』と『眷属』が契れば『存在』を回復できるの?」
しずくちゃんは一口大のパンケーキを頬張りながらローレライさんに問いかける。
「あなた達は経験ありませんか?『吸血鬼』から『眷属』に『存在』を分け与えた時に能力が上昇したことを」
そう言われて一つ思い当たることがあった。
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