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『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
第二章 『百合百合』させて?
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第六十四話

「実際、馬鹿だったんじゃないですかね? 私達」



 遥香は深いため息をつきながら、私の向かいで紅茶を啜る。


 馬鹿って言うなし。


 私だって『眠り』につく気で意気込んで行って、こんな結果になるとは思っていなかったのだから。


 ソファーの上でしずくちゃんの太腿の上で頭を撫でられながら、スヤスヤと眠りにつくカーミラを見つめながら私もため息をつく。



「今、良いなぁ、カーミラとか、思ったりしてませんか?」


「え”?」



 いやまぁ少し―――。


 ほんの少ーしだけそんな事おもっちゃったりもしちゃったけど。



「い、いやだなぁ、遥香。そんなこと思ってなんかいないよ?」



 両腕を振りながら私は全否定を試みる。



「どうでしょうね?」



 私の考えてる事なんてお見通しだとばかりにフフンと鼻を鳴らしながら遥香は微笑む。


 分かってるんならわざわざ聞かないで欲しいな。


 この性悪メイド。



「そもそも問題。幼女の『吸血鬼』という事を前提に話をすべきだったんですよ」


「そうだねぇ……」



 いくらアラウンド10センチュリー歳の吸血鬼だからと言って、深い『眠り』に堕ちればそんなのは関係ない。


 右も左も分からない場所でおぼろげになった記憶を頼りに生きていくほかないのだから。


 それがどんなに寂しい事か、大変な事なのか。


 長く深い『眠り』に私にはわからないけれども。



「きっと、不安だっただけなんだろうね」



 私は優しい眼差しでカーミラを眺めながら呟いた。



「―――そうかもしれませんね」


「それで―――『聖女』の方はどうなってるの?」


「さぁ? もうあれから連絡もさっぱりですね。封印するのがめんどくさくなっちゃったんじゃないんですか?」


「封印をめんどくさいって……。それが『聖女』のお仕事だったんじゃないの」


「のはずなんですけどね……」



 私達は二人して頭を抱えながらその言葉を口にする。


 なんなんだろう、あの『聖女』という存在は。


 私達の事を散々かき回すだけかき回して音信不通とか。



「でも、カーミラはこんな状態だし、もう封印はいいんじゃないの」


「そうですね。それじゃそうメールしておきましょうか」


「ん。シクヨロ」



 私は遥香にそう伝えると、しずくちゃんの方に向き直り。


 手に持ったスマホで撮影を始めることにする。



「REC...」


「何してるんですか、先輩。これは見世物ではないんだけど」


「いやいや、私の想いでのメモリーとして保存しとかないといけないなぁと」



 百合百合するのもいいけれど、見るのも尊くていいものだね!


 できることならその輪の中に私も入れて欲しいものだけれども!


 まぁ今日のところはカーミラにしずくちゃんのふとももは譲ってあげよう。


 遥香もみていることだしね!



「とりあえず、しずくちゃん、私にも百合百合させて欲しいなぁなんて」


「え? 駄目だよ? カーミラが見てるし」


「はぁあああああ? なんでカーミラは良くて私はダメなの!?」


「だって、先輩の百合百合は……なんというか。エロい」


「……」



 エロくて何が悪いんだ!


 最近の少女向け漫画は大抵エロシーンあるんだよ!!


 だから私がエロくたってしょうがないはずなのだ!!



「……先輩、心の声が思いっきり漏れてる」


「はっ!!しまった。これはいやその、あれだよ。百合はエロくて当然というか、何と言うか」


「はいはい、そんな餌につられクマー。先輩がエロイだけだから」


「だいたい薄い本を読み過ぎなんですよ、お嬢様は」



『眷属』ちゃんと『従者』はさっくりと私の一番触れられたくないところを指摘してくる。


 うう、いいじゃないか、良家のお嬢様が薄い百合本大好きだって。


 電子書籍でも百合で過激な描写の作品一杯あるんだぞう。


 ネットに詳しい遥香ならそんなことしらないわけないだろうに。



「そもそも、遥香だって、百合百合なネット小説よんでるじゃない!!」


「んなっ!!」



 そう。


 そうなのだ。


 この前、客間で熱心に何かノートパソコンで見てるなと思ったら、ネット小説サイトを思いっきりガン見していたのだ。


 私が近くに居ることに気付かない位、熱心に。


 その内容はもう、18禁になるかならないかのゴン攻めのゴン攻め。


 それはもうビッタビタに攻めている内容だった。


 私もその小説のタイトル覚えておいて後で部屋で見直したくらいだし。



「私は、あの……お嬢様とまたする時にと……参考に……」



 私の指摘に遥香の言葉尻はか細くなっていき、顔が真っ赤になって、眼鏡も曇ってしまう。



「ふふん、遥香みたいなのを世間ではムッツリっていうんだからね!!」



 薄い胸を張り私は遥香に勝ち誇ったような表情を向ける。



「ボクは先輩みたいにどうどうとしすぎてるのもどうかと思う……」



 母性に溢れた『眷属』ちゃんは呆れ顔でため息をついていた。


 そんな割とどうでもいいやりとりをしながら、その日の夜は更けていった、

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