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『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
第二章 『百合百合』させて?
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第四十六話

「ところでカーミラ」



 私はカーミラに屋敷の空いている一室をあてがった後に、金髪ロリ少女に問いかける。



「つかぬことを聞くのだけれど。あなた、どうやって日本に来たの?」


「それは空港で精神干渉の力を使いまくって来たに決まってるだろう?」


「ふーん。で、あなた、何週間目?」


「は?」


「いや、日本に来てからだよ。日本に来たの何週間前?」


「昨晩着いたばかりだから、まだ一日目だな」



 うん、つまり、そういうことか。


 私は自分自身でうんうんと納得し。



「ごめん。カーミラ。あなた、二週間、自室隔離ってことで」


「はぁあああああ?」



 私は扉の鍵を外からガチャリと掛けてカーミラを部屋に閉じ込める。


 部屋の中では相変わらず何かギャーギャーと喚きちらす声が聞こえるが、しょうがないじゃないか。


 これは御上が決めたお達しなんだから。



「ガイコクノー、トコウシャハー、ニシュウカンノー、ジタクカクリナノデース、オケー?」



 わざとらしく片言の日本語で部屋の中のカーミラに向かって話しかける。



 ガンガンガンガンガンっ!!


 たぶん椅子か何かで思いっきり扉を叩く音が、廊下に響き渡る。


 フ……入来院家のドアの固さを侮ってもらっては困るね。


 そんなことしたって傷一つつきやしないのさ。


 そうほくそ笑んでいると部屋の中から、何やら妙な旋律が聞こえてきて。


 私はその音楽に誘われるようにカーミラの部屋の扉の鍵を……って駄目だ駄目だ。


 これはカーミラの精神干渉の力だ。


 こんな力には屈しないんだからねっ!!


 それにしても、こんなんじゃおちおち執事たちにカーミラの面倒見させるわけにはいかないじゃないの……。


 とりあえず、濃厚接触者は最低限に抑えてと。


 後は抗原検査? をしないといけないんだっけ?


 はぁ……こんなコロナが大流行してる時期にわざわざ海外から渡航してくるんじゃないっての。


 そんな事を独り言ちながら今に向かうと。


 そこには、遥香と談笑しているカーミラの姿があった。



「はぁーるぅーかぁー?」



 私はツカツカと遥香に歩み寄り、襟首を持ち頭をガクガクと揺さぶる。



「わ・た・し・が。カーミラを、折角!! 隔離してきたのに!! どうして、二人は仲良く、談笑してるのかな? かなー?」



 そんな私の手を掴み返して、遥香は私の腕を締め上げる。



「いたたたたっ、痛いっ!!」


「―――あなたは本当に、馬・鹿・なんじゃないんですか?」



 そう言いながら、遥香は締め上げる手になおも力を込める。



「私達は、『吸血鬼』なんですよ? 『人間』の流行り病のコロナなんかにかかるわけないじゃないですか」



 は……、そういえばそうだった。


 人間として過ごしてきた期間が長かったからついつい、って、痛い痛いっ。



「それにカーミラはまだこんなに幼いというのに、いじめたら可哀そうじゃないですか」



 カーミラはニマニマとした目で私の瞳を見ている。


 っていうか、もしかして!?


 遥香の瞳を見ると僅かに焦点が合っていない。


 これは―――。



「カーミラーァっ!!! あんた、遥香に精神干渉の力を使ったでしょ!?」


「さぁ、ねぇ?」



 カーミラは客間の椅子に大の字になって寝転んで、まるで自分が屋敷の主であるかのようなふるまいだ。


 こ、この、クソガキめーーーーーー!!


 私は瞳を深紅の色に染め上げて『吸血鬼』の力を解放しようとした、まさにその時。



「はい、ストーップ!! とりあえず、先輩、落ち着こうか?」



 私の目の前にしずくちゃんがふよふよと飛んできて、私の頭の上にダラリと着地する。



「カーミラもカーミラだ。油断をしていたとはいえ、我が『主』を虜にするなど、許しがたい行為だな」



 しずくちゃんの後ろから飛んできたしおりはそう言うと、カーミラの目の前で、フンッと腕組をする。


 カーミラは二人の『眷属』ちゃんに威嚇されるように見つめられると。



「フーンだっ。今日のところは許してやるっ。今度やったら許さないからな? のぞみ!!」



 そう言ってカーミラはフンスと意気込んで、自室へと帰っていってしまった。


 いや、ここは私の―――。


 入来院家の屋敷なんだけども―――。


 カーミラ、あんた、何様だよ……。


 私は遥香に腕を締め上げられたままの姿でカーミラを見送るしかない。



「で、私はいつまで、遥香に締め上げられてれればいいのかな?」


「んー……カーミラの力が解けるまで?」



 いや、それはちょっと耐えられそうもないかなぁ……。


 そう視線でしおりに抗議すると。



「すみません、『主』」



 しおりの振り下ろした黒刀の鞘での一蹴で、遥香が気を失うと私はようやく自由の身になる。


 はぁ……本当に厄介な同居人が増えちゃった気がするなぁ。


 でも今更、『はい、ごめんなさい』って放り出すわけにもいかないし。


 本当に困ったな……。


 そんな事を思いながら、気絶する遥香のふかふかのお胸をとりあえず、揉んでやることにした。



「のぞみ……おまえは……」


「先輩……サイテー……」



 二人の『眷族』ちゃん達の冷たい視線がちょっと痛い。


 ……これは、セクハラなんかじゃないんだからねっ!!


 あくまで、他の『吸血鬼』なんかに操られるなんていう愚行を犯した遥香に対する仕返しなんだから。


 私が、遥香のふかふかお胸を揉みたいわけではないよ? ホントウダヨ?

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