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『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
第一章 『百合百合』したい。
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第四十四話

「王様ゲーム!!」



 どうしてこうなった。


 ボクはこうなった経緯を思い返す。


 事の経緯はこうである。


 珍しく屋敷に飛鳥先輩が遊びに来て、遥香先輩も交えて何かをして遊ぼうということになり。


 そのへんで筏をこいでいたボクと、時代劇に夢中になっていたしおりも駆り出され、王様ゲームなるものをすることになってしまった。


 王様ゲームとは。王様の棒と他数字の書いた棒をそれぞれ見えない状態で引き、その結果、王様が他数字のものにどんな命令でも出しても良いというリア充の遊びらしい(偏見。



「さてさて、一回戦いくよー」



 先輩は手に持つ木の棒のしるしの部分を隠して握り皆にそれぞれ棒を握らせる。



「せーの」


「「「「「王様だーれだ!」」」」」



 五人の声がハモリ王様を持っている人間は誰かと一同は逡巡する。



「あ、ごめーん、私だったわ」



 く……ボクに命令来るな。ボクに命令来るな。そんな事を思っていたら。



「2番はー、王様を罵って?」


「は?」



 先輩が何て言ったのか分からない。


 2番はつまりはボクである。


 罵れ? 王様を? 馬鹿じゃないの? ってこれをいえばいいのか、納得。



「先輩、馬鹿なんじゃないかな?」



 呆れたという視線を向けながら先輩の事を罵ってみる。


 

「いやいや、それは真の罵りとはいえないんだよ。それは遥香と同じ。愛がない」


「いえ、私の罵倒には一応、愛はありますが……」


「しゃらーぷ!! 愚民共は黙っているんだ。愛のある罵倒っていうのは私の事をみながら可哀そうなものを見るように、そして愛らしいものを見つめるような瞳で『ざーこ。ざぁーこ』って言ってみ?」



 先輩の説明だけでなんだかとっても頭が痛くなってきたのだけれど。


 この命に従えなければボクは『眷属』失格だ。


 そう思いなおし、ボクは先輩の方を見上げながら、可哀そうなものを見るように、そして愛らしいものを見つめるような瞳で。



「ざーこ。ざぁーーーこ!!」



若干伏目がちに先輩の事を見ながら言い放つ。



「良い……すごく良いよ、しずくちゃん……」



 ……はぁ……どっと疲れた。


 もう二度とやりたくない。



「さてさて、二回戦いくよー」



 先輩は手に持つ木の棒のしるしの部分を隠して握り皆にそれぞれ棒を握らせる。



「せーの」


「「「「「王様だーれだ!」」」」」



 五人の声がハモリ王様を持っている人間は誰かと一同は逡巡する。



「あ、ごめーん、また私だったわ」



 また先輩が王様?


 今度こそボクに命令来ないで!!



「4番はー『マツタケサンバ』のサビを歌ってもらおうかな」


「くっ……!!!」



 よりにもよってしおりにあたってしまったらしい。



「歌わないとだめか?」


「それがルールですおし」


「はぁ……『オーレー♪ オーレー♪ マツタケサンバっ♪ オレィ♪』……死にたい」


「いやいや、上手だったよしおり。今度一緒にライブにどう?」



 悪気はないのだろうけど飛鳥先輩はしおりのことを見世物にしようとしているのだろうか?



「言葉はありがたいが遠慮しておく……」


「さてさて、三回戦いくよー」



 先輩は手に持つ木の棒のしるしの部分を隠して握り皆にそれぞれ棒を握らせる。



「せーの」


「「「「「王様だーれだ!」」」」」



 五人の声がハモリ王様を持っている人間は誰かと一同は逡巡する。



「あ、ごめーん、またまた私だったわ」



 またまた先輩が王様?


 ……これは何かがおかしい。



「先輩、イカサマしていますね?」


「ギクゥウウウ。ナンノコトカナ?」


「しおり棒をよく見てみて」


「ふむ……なんだか棒の端に記号みたいなのがついているな」


「つまりその記号を見てどれが王様で誰が何番かみ分けてたんだよ!!!」


「つまらない仕掛けをしたものだな、のぞみ」


「因みに今度の標的は私だったようですが、どうなさるおつもりだったのでしょうか?」


「いやー、次は遥香のそのお胸をもみたいなーって。因みに最後は飛鳥ちゃんのギタボソロで大団円」



 ―――いつもとおなじじゃん。


 という空気が流れると共に。


 場の空気も白けてしまって。


 このゲームはただ単に先輩の欲望を満たすだけのゲームだったんだなと理解する。


 まぁ張り詰めてた緊張が和らぐ日もあってもいいのかな、そんな風に思えた。


 遊びも解散して夕方になりボクとしおりは屋敷の屋根の上に登る。


 ボクたちはそこで夕日を見つめながら今日の事をふりかえったりしているのだ。



「今日は災難だったね」


「お互いにな……」



 とりあえず先輩を罵る時にはもっと灰汁強めでいくことにしよう。


 そうしよう。



「それにしても、私達は『人間』から『存在』を啜らずに深い眠りについていない『吸血鬼』の『存在』を回復させることができるのかな?」


「そんな方法あったら私が実践している……」



 でもこの世界は広いのだから、きっとどこかに『存在』を回復する方法は存在するんだろう。


 でなければ、『世界』の『吸血鬼』が『存在』を求めて争いを起こしてしまうのだから。


 だから、きっと、先輩と遥香先輩が仲良く歩いていける『未来』だってあるはずだ。


 ボクは黄昏に染まっていく空を見つめながらそんなことを夢見ていた。

評価、ブクマありがとうございます!

これにて第一部完となります。

まだなんとなく明かされていない謎もありますがそのうちに!

第二部には幼女が出ます!(予告大事)

今後もお気軽にブックマークなどしてくださると幸いです。

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