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『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
第一章 『百合百合』したい。
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第十七話

「イャッホーーーーーッ!!祭りだ、祭りだーーー!!!」


「せ、先輩……ちょっと騒ぎ過ぎ……」



 カフェの制服に身を包んだしずくちゃんは恥ずかしそうにスカートのフリルの端を握る。


 いいではないかいいではないか。そういう所作に私の心はときめくのだよ!



「今日のしずくちゃんは私のメイドさんだから私のふとももの上に座って」


「え、嫌なんだけど。何でボクがそんなことをしないといけないの?」


「これは今日決まった特別メニューなのです。座ってくれたら特別にたけのこの薮12ダース追加」


「12ダース……」



 私の言葉にしずくちゃんはゴクリと喉を鳴らす。


 そして。



「し、しょうがないね。今日だけだからね!!」



 言いながらしずくちゃんは私のふとももの上にちょこんと座る。



「ねぇねぇ、それじゃ、にゃーって言って、にゃーって」


「いーやーだー。なんでボクがそんな―――」


「さらに12ダース追加で」



 指をピンと立てて私はニヤリとほくそ笑む。



「うう……。にゃ、にゃーぁ……」



 ほわわわわ……。


 か、可愛い。可愛すぎる……。


 こんなにも可愛い生き物がこの世界にいて良いものなのだろうか。


 これは今すぐにでもワシントン条約でしずくちゃんは保護対象にしなければならないのではないだろうか?


 しずくちゃんは全人類の『最推し』になるべき。


 世界で一番キュートで可愛い存在なのではなかろうか。



「ねね、しずくちゃん」



 私はそう声をかけながらしずくちゃんの肢体をさわさわする。


 太腿から始まり、腰、バスト、うなじ、顔。女の子の柔らかい部分を徹底的に触りつくす。


 それでも無視を決め込んだのかしずくちゃんは私の太腿の上に乗ったまま虚空を見つめる。


 しずくちゃんは甘い吐息を漏らしながら私にされたい放題だ。



「ねぇねぇ?しずくちゃんー?」



 これは世に言う既読スルーというやつである。


 そうですかそうですか。


 いいですよ。それなら私一人でも楽しむから。


 無言のしずくちゃんを生贄にイリュージョンしずくちゃんを直接召喚!!!


 以降、しずくちゃんは一言も。


 いっさい何も発言していないので悪しからず。



「ねぇ、しずくちゃん。なんでそんなにしずくちゃんは私に冷たいの?」


「……だって、先輩、目が血走っててなんか怖いし―――」


「え、そうだったの?ごめんね、しずくちゃん……」


「……別に良いけど。それだけ先輩がボクにお熱って事だし―――」


「え!?しずくちゃん、今なんて……?」


「べ、別に何も言ってないよっ!バーカバーカ。この、ざぁこ!!!」


「私は馬鹿で雑魚でも良いよ。だから、しずくちゃん、私が永遠に可愛がってあげるよ?」


「せ、先輩……」



 一人芝居をしながら座席で体をクネクネとくねらせる私。


 いい加減私の一人芝居を眼前で見るのもつらくなってきたのかしずくちゃんはいつの間にか手にしていた瑠璃色の棒で私の頭を叩いていた。



「……痛い」


「それはとってもキモいのでやめてくださいませんでしょうかね、せ・ん・ぱ・い。正直言ってちょっとキモい……」



 ズキューン―――。


 その時、私はしずくちゃんのその言葉にときめいてしまった。


 良い……すごく良い……これが胸キュン(死語)。


 イリュージョンしずくちゃんよりも数倍良い。


 これが生しずくちゃんの罵り。


 汚物を見るかのような目をした罵倒。



「し、しずくちゃん、私の事、もっと口汚く罵って!! 汚物を見るような可愛い瞳で私を見て!!」


「は? な、何を口走ってるのっ……!?」


「私を、こう、もっと、もっと罵倒してっ!!!」


「は? え? ちょっと何言ってるのか分からないんだけど……!?」



 なかなかさっきの調子で罵倒してくれないしずくちゃんに焦らされ、私は欲望のまましずくちゃんの体を揉みしだく。


 胸を腰を太腿を。


 順番になぞるように揉みしだく。



「や、ちょ―――だ……め……」



 緊張の糸が切れたのかしずくちゃんは涙目になりながら私の事を見上げている。


 そんな様子にも構わずに私はしずくちゃんのコトを求め続ける。


 いいねいいね、その涙目の表情も最高だよ、しずくちゃん。


 ああ……もうたまらないなぁ。


 しずくちゃんのことをこの両手で良いように出来るなんてここは現代に現れたエデンか。


 私は思いのたけをぶつけるようにしずくちゃんを味わい尽くす。


 そして、私の手がしずくちゃんの触れてはいけない部分に触ろうとした瞬間。


 ゴスっと先程うけた衝撃よりも強い衝撃が側頭部へと放たれる。



「はぁ……はぁ……だから、ダメだって言ってるじゃない、先輩? ちょっと……キモすぎだよ?」



 膝の上で瑠璃色の棒を片手にしたしずくちゃんが蔑んだ瞳で私の事を見つめていた。


 うん……その罵倒も聞きたかった。ありがとうございますっ!!


 しずくちゃん最高―――。


 私は至福の笑みを浮かべながら椅子の背もたれに倒れ込み、そのまま意識が吹っ飛んでいった―――。



「……馬鹿なんじゃないですか?」



 車のシートで目を覚ました私は前の席に座る遥香に開口一番そんなことを言われる。


 なんでも私が気を失った後にしずくちゃんはいずこかへと姿を消してしまい(人が居ないところでミニサイズに戻った)失神した私だけがカフェに残されていた状態だったらしい。


 その異変に一早く気づいた遥香が迎えの車をよこしたということらしい。


 因みに遥香と一緒に居た飛鳥ちゃんとは車に乗る時に別れたらしい。



「デートの相手に散々セクハラした挙句に逃げられるとか、本当に残念なお嬢様ですね」


「ホントにねー……」



 まだ痛みの残る頭の上にしずくちゃんはだらーんと伸びをして遥香の言に同意する。


 まったく、デートしようって言ったのはしずくちゃんの方だというのに、何故こんなことになるのか。


 貸し切りのカフェで可愛い可愛い眷属ちゃんとあんなことやこんなことをしたくらい良いじゃないか。


 まぁあんなことやこんなことして満喫しましたけどね。


 ぐへへへへ……。



「カフェの店員さんから聞きましたけど、ホントただのセクハラですよ、それ。お嬢様、超キモすぎです」


「……ぐぬぬぬ」



 このふかふかメイドの罵倒は何でこんなに私をイラっとさせるんだろう。


 しずくちゃんの罵倒ならいくらでもされていたいというのに。


 ふかふかメイドからの罵倒を聞くと、仕返しにそのふかふかのお胸を揉みまくってやろうとしか思えない。


 その違いは何なんだろうなぁ。


 やっぱり、このふかふかメイドには私に対する愛が足りないのかな?


 そう。このふかふかメイドは私の事を下に見ている節が多々見受けられる。


 だから、私はこのふかふかメイドに分からせてやらなければならないのだ。


 私に対するメイドとしての敬意が足りていないという事を。


 それが私の、百合を愛する『お嬢様』としての『Saga』だから!!!

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