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『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
第一章 『百合百合』したい。
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第十三話

 赤い空と星の瞬く黒い空の境界。


 それは『黄昏』。


 ―――『逢魔が時』。


 黒い、深い闇が、赤い空を侵食していく。


 そんな境界線の中で。


 血の色に染まった空き教室の一角で。


 息が上がった私は小さな少女と口づけを交わす。


 それは『契約』。


 私と少女の『契り』。


 少女の甘い吐息が。


 私の口内に甘い香りが充満していく。


 その甘さを十二分に堪能するように深く深く口づけをする。



「先……輩……ん……」



 少女の口から甘い声が漏れる。



「ゃ……ん……」



 交わした口から私の舌が少女の口内へと侵食していく。


 少女の口内で私の舌と少女の舌が絡み合い。


 同時に少女の体を強く強く抱きしめる。


 私は私の唾を少女の体に流し込み、少女の口から少女の唾を舐めとる。


 少女の口内を楽しみながら。


 私は快楽に身を任せ始めた少女の肢体を堪能する。


 腰に回した手がお尻に、秘部に、様々な部分をまるで触手のように這いまわる。


 沈みきった日の光に変わり。


 丸く真白な月が私達の行為を淡い光で照らしていた。



 ―――


 チュンチュン―――。


 爽やかな日の光の元、私は小さなしずくちゃんを頭に乗せて屋敷のお庭を散歩していた。


 お休みの日は毎朝こうして、屋敷の庭園をぐるりと一周することにしている。、



「しずくちゃんー」


「なーにー……先輩……」



 眠そうな声でしずくちゃんはいかにもめんどくさいといった感じで応えてくる。



「ねぇねぇ、しずくちゃん、えっちなことしようよー?」


「しーまーせーんー……」



 眠たそうな声音ながらもキッパリと拒否された。


 良いじゃんかー減るもんでも無し。


 そもそも吸血鬼の眷属で、仮にも私の従者なら私の意向にそってくれたって良さそうなモノなのに。


 しずくちゃんはあの桜の花がひらひらと舞う夜以来。


 かれこれ二週間経とうとしているのだけれども。


 一度たりともえっちなことをさせてくれない。


 頭の上に垂らされた人参を追いかけても食いつくことができない馬の如く。


 私は頭の上にだらりと垂れているしずくちゃんを追いかけても私は食いつくことができないというのだろうか。


 否。


 それは否である。


 私は馬ではないし、知能のある人間(吸血鬼らしいけど)だ。


 だから私は頭を使う。


 しずくちゃんはいつも夜遅くまで起きてるっぽくて、朝はすこぶる弱いのだ。


 それにつけこむことにしよう、そうしよう。



 散歩が終わった後、私はドレスに身を包み、ピアノの家庭教師の先生を迎え、レッスンを始める。


 鍵盤に指を走らせる。


 踊るように指が跳ねて、私は全身で音楽という芸術を表現する。


 そして、最後の譜面をパソコンのエンターキーを押すように、ターンッと決めてあげる。


 私の体の躍動が終わりを告げることで周囲には静寂という名の帳が降りる。


 ―――パチパチパチ。


 無言の賛美。


 この瞬間が最高に気持ちが良い。


 ピアノをやっていて良かったなと思う瞬間である。


 私は才色兼備の天才お嬢様だからなんだって出来ちゃうのです。えっへん。


 家庭教師の先生と演奏についての話を交わし、ピアノのレッスンを終える。


 先生が部屋を出て行った後、私はレッスン用のドレスを着たまま、自分のベッドに身を預ける。



「―――先輩ってすごい才能が有るんだね……」



 そんな私の姿を部屋の出窓に座って足をプラプラとさせていたしずくちゃんが意外だったという声音でそう呟く。



「そんなに意外かな?」


「そうだねー……。あの残念な性格の先輩とは思えない程、別人に見えたかな……」



 残念って言うなし……と心の中で突っ込みつつも、自分の事ながら、私は残念な性格してるよなーと思っているので、反論はしない。



「しずくちゃんにはそういう変わった特技とかないの?」



 私はベッドから身を起こし、出窓で眠たそうに欠伸を嚙み殺しているしずくちゃんに問いかける。



「んー……ボクにはそんな特技、ないかなー……」



 言いながら陽気に当てられて、しずくちゃんはウトウトとし始める。


 やがて。


 出窓の窓のカーテンにもたれかかるようにしずくちゃんはすやすやと寝息をたて始めた。


 だから私はゆっくりと音がしないようにしずくちゃんに忍び寄り。


 しずくちゃんを起こさないようにしながら両手でその体を持ち上げて。


 机の上にあるドールハウスのふかふかベッドに寝かせてあげる。



「はー……可愛いなぁ……ホントにもう」



 そう口にしながら私は机に頬杖をついて寝息をたてるしずくちゃんを見つめながらチャンスが到来したとほくそ笑む。


 すやすやと寝息をたてるしずくちゃんの衣服をプチプチと上から順番に脱がせていく。


 そしてしずくちゃんの白く透き通るような上半身が露わになる。


 えへへへ……。



「可愛いなぁ……。この指にフィットするサイズがたまらない……じゅるり」



 ガチャリ。


 ……何か扉の方から音がした。



「わ、私は何も聞いてませんよ? お嬢様?」



 遥香が何かを盛大に勘違いしていた……。



「お嬢様がお人形様に可愛いなとか、欲情してるとか口が裂けても言えませんよ? はい」



 上ずった声で遥香は私に向けて言葉をかけてくる。


 いやいやいやいや……。


 傍から見たらそうかもしれないけど、私が可愛いって言ったのしずくちゃんであってお人形様ではないから。


 そう弁解しようにも、しずくちゃんの姿が見えない遥香に対しては妄想以外の何物でもない。


 そんな弁解をしようものなら。



「ふかふかのお胸を揉み過ぎて、ついに脳みその中までふかふかになっちゃったんですか? プププ」



 なんて事を言われかねない。


 ので。



「とりあえず私は遥香のふかふかのお胸を揉んでやることにした」



 スパーン。


 と小気味の良い音を立てて、遥香の胸に登頂する直前で私の頭は遥香の手にしたスリッパによってツッコミをいれられることになる。 



「とっても痛いんだけれども……」


「あらあら、季節外れの蚊がお嬢様のお部屋に紛れ込んだものとばかり。ごめんあそばせ」



 ……何がごめんあそばせだ、このふかふかメイド。


 絶対にそのふかふかお胸、また味わってやるかんね。覚えてなよ?



「恰好だけだと、どこかの深窓のご令嬢だというのに、なんでこんなに残念な性格に育っちゃったんですかね?」



 そう問いかけてくる遥香に対して私は胸を張ってこう言い切る。



「それはそこにお胸があるから、かな?」


「本当に残念な思考回路ですね……」



 はいはい、それはどうもありがとう。最上級の誉め言葉として受け取っておくよ。


 だから。


 今度は口に出さずに遥香のふかふかのお胸に登頂を試みる。


 スパーン。


 けど、やはりその手は遥香が手にするスリッパによって阻まれる。


 くそー……。


 いつもはすんなり揉まれるくせに。


 どれもこれもこんな動きにくいレッスン用のドレスのせいだ。


 さっさと着替えておけばよかった。


 まぁいいや。遥香のお胸なんていつでも揉めるかんね!


 明日から毎朝またふかふかのお胸に育ててあげるよ。感謝したまえよ、貴君。


 心の中でそう決め台詞を決める。


 そうこうしているうちに上半身を裸にされたしずくちゃんが起きだしてきて。



「何すんの、この変態先輩っ!!」



 と、しずくちゃんが手にした瑠璃色をした棒によっておもいっきりどつかれてしまった。


 い、痛い……けど、余は満足じゃ。

第一章の開幕です。

今後ともよろしくお願いします!


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