第百話
しんしんと白い雪が舞っていた。
何でこんなクソ寒い日に学校に行かないといけないのか。
どれもこれも全て。
「あはははー、初雪ですね、お嬢様!」
能天気に笑うこの、クソ聖女のせいである。
このクソ聖女が聖典アポカリプスに私達を閉じ込めていた数日の間に、現実世界では一か月という時が流れていた。
ほんの数日しか過ごしてないからセーフだと思ってったのに!!!
さすがに学園側も二浪はさせられないからと私と遥香を補習するという形で扱う運びとなったのだ。
みんな冬休みエンジョイしてるんだろうなぁと思いながら、学園の門をくぐる。
ちなみにミィアは現実世界に帰ってきて逃げようとしたところをローレライさんに捕まった。
そして彼女の下働きとして私の世話をさせられている。
時給250円という破格の安さで。
出るとこ出られたら訴えられる金額なのだけれど、ミィアは何故かそれで満足しているようだ。
たぶん、というか、絶対、ローレライさんと一緒に居られるからだと思うけれど。
そんなわけで、ミィアは現在、私の家でメイドとして雇われている。
カーミラはというと、相も変わらず、うちの屋敷で悠々自適な毎日を過ごしている。
そろそろ、冬の大運動会の時期なので、真冬の大冒険なンだわとか言い出すんじゃないだろうか。
え? あの異世界はどうなったのかって?
それは、毎日、私が面白おかしく聖典アポカリプスに毎日の日記をつけることで、世界は続いている。
輝夜は姫王子として、国を治めているし、マツタケ……じゃなかった、政宗公も政に励んでいる。
あの異世界はたぶん、これからも延々と続いていくのだろう。
補習を受けながら私は窓の外の景色を見つめている。
ほんと、雪が降ってきたなぁ……。
ぶるりと体の芯から軸を振るわせながら手元の教科書に視線を移す。
教科書の横の消しゴムの上にはしずくちゃんが相変わらずすやすやと筏を漕いで眠り続けていた。
ほんと、しずくちゃんは可愛いなぁ。
白い髪に白い肌。白いドレスに可愛い顔。
私の真っ向正面ドストレートだ。
鉛筆のさきでぷにぷにと彼女の頬をつつくとわずかに身じろぎをして体を転がす。
かわいい。可愛すぎる……。
私は先生の念仏のような講義を右の耳から左の耳に華麗にスルーして、机の上で寝こけている眷属の少女に目が釘付けになってしまう。
えへへへ……。
私は少女の服に手をかけようとしたところ。
ギュっと私の太ももがつねられた。
痛い……。
横を見ると白い眼で私を見つめる遥香の姿があった。
その手元にはしおりも白い眼をして私を見つめている。
はいはい、すみませんでした、すみませんでした!
今は我慢しますよ。我慢します。
でも授業が終わったら、その豊満な胸をもませてもらうからね!!
そう心の奥底で誓って私は授業に集中する。
放課後。
校門をでて車に向かう最中に声をかけられた、気がした。
微かな声で。
けれど明るい声で。
「のぞみちゃんー」
と、呼ばれた気がした。
けれど、その声の主は、見つけることができなくて。
気のせいかな、と思って私はそのまま迎えの車に乗り込んだ。
巡り巡り季節は巡る。
私たちの人生も巡り、巡る。
これからも、私たちの前にはトラブルが舞い込むかもしれない。
でも、私たちはそれでも、今まで通り、生きていく。
私は、女の子と百合百合しながら生きていく。
例え、そうすることで怒られるとしても。
私は私に正直に生きていきたい。
白い粉雪が暗い空から舞い降りていた。
ーーー
「私も、あんな風に自由に生きてみたいな……」
そんな言葉が、誰もいない校舎に響く。
それは綺麗で、透き通った声だった。
その声は誰の耳にも届くことはなくて。
その言葉を残して真白な影がふわりと、白い街へと飛びさっていった。
白く、粉雪の舞う街に。
淡い影が溶けて消えていった。
終わりです!!
なんか続きそうな雰囲気ですが、一区切りです。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました!
最後に出てくるのは、次回作のキャラクターの予定ですw
次回作では、少しまとめながら書いていきたいなと思います(反省
たぶん次もラブコメの予定です。
純粋なラブコメ書きたい……デス。
それでは、次回作でまたお会いいたしましょうー。




