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『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
序章 『吸血姫様』は―――
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第十話

 いつもの如く気まずい雰囲気を遥香との間に作り出しながら登校する。


 原因は私が遥香の胸を揉み過ぎてイかせてしまったこと。


 前の席に乗る遥香の後頭部を見ると相変わらず耳まで真っ赤だ。



「気まずいなら、やらなきゃいいのに……」



 私の顔の横でふよふよ浮いているしずくちゃんは小声で私に話かけてくる。



「いやー……だってそこにお山があれば登頂したくなっちゃうじゃない?」



 私は遥香に聞こえないように小声でしずくちゃんに返事を返す。



「……先輩、一度、精神科にかかることをお勧めするよ?」



 眷属の従者に思いっきり失礼なことを言われてしまった。


 うーん……なんで理解されないかなー。


 女の子ってありとあらゆる魅力の塊じゃない。


 だから、私の好きにしていい女の子が居たら、私は思う存分、弄ぶに決まっている。


 その対象が私付のメイドの遥香なのだ。


 遥香はこれまで私のこのセクハラまがいの行為に、嫌という事もなく、従順に従ってきた。


 そしてこれからも、ずっと付き従ってくれる。そのはずだ。



「まー、小さい頃からこんなだし、学園に着くころにはいつもの遥香だよ」


「そう……。……ちょっとやけ―――」



 しずくちゃんは聞き取れない言葉を紡ぐとふよふよと私の頭の上に着地する。



「え?」


「な、なんでもないよ!!」



 私の問いかけにしずくちゃんは慌てたように私の前髪を引っ張った。



 痛い……。


 っていうか。


 前髪とかちゃんとセットしてるんだから気軽に引っ張らないで欲しいんだけどなぁ……。


 学園に到着し、遥香と共に車を降り、私達は自分達の教室へと向かう。


 クラスメイト達と相変わらず言葉ばかりの「ごきげんよう」という社交辞令を交わし合いながら。


 しかし今日はそれだけで終わらなかった。


 遥香が自分の席に去って行った後に入れ違いに飛鳥ちゃんがやってきた。



「ごきげんよう、入来院さん」


「ごきげんよう、多良見さん」


「いやだな、多良見さんなんて。そんなよそよそしくしなくて良いんだよ、のぞみ」



 飛鳥ちゃんはそう言うと私の顎をクイッと持ち上げて、お互いの視線を交差させる。


 え? ちょ……。これどういうこと……?


 私は助けを求めようと周囲を見渡すのだけれど、飛鳥ちゃんのその行動に他のクラスメイト達も虚を突かれ静まり返ってしまっている。



「ボク、しーらないっと」



 私の頭にへばりついていたしずくちゃんはそう言葉を残すとふよふよといずこかへと飛んでいってしまった。


 ああ、そうか。


 つまりそういうコトなのね……。


 飛鳥ちゃんの瞳の奥を見つめると何処か虚ろな色に染まっているような、そんな気がした。


 今の飛鳥ちゃんは飛鳥ちゃんであって飛鳥ちゃんじゃないのだ。


 たぶん私の『魅了』の力に侵されてしまっている。


 しずくちゃんが逃げて行ってしまったのはそういうコトなのだろう。


 さて、どうしたものかな……と思案しているうちに予鈴が鳴ってしまう。


 しかし、飛鳥ちゃんはニコニコと私に微笑むばかりで自分の席に帰る様子はない。


 と、とりあえず……っ!!



「ちょっと、体調が悪いので二人で保健室行ってきますっ!!」



 明らかに仮病だろお前なその言葉を教室に残して、私は飛鳥ちゃんの手を思いっきり引っ張りながら廊下へと駆けだした。


 そして手ごろな空き教室を見つけてそこに飛鳥ちゃんを連れ込んだ。



「大胆だね、のぞみ」



 ニコニコと微笑みながら。


 けれど、目の奥は何か熱に浮かされたかのような瞳で飛鳥ちゃんは呟く。



「あーーーっ、もう、これどうやったら治るのっ!!」



 私はセットした髪を手で掻きむしり頭を抱えながら手直な所にあった椅子に座り込む。



「はぁ……」


「のぞみ、私昨日から体の血がうずくんだよ。キミに血を吸って欲しいって」


「……さいですか」


「ねぇ……吸ってよ、のぞみ……」



 飛鳥ちゃんはそう言うと、スルスルと衣服を開けさせ、首元を露わにし、椅子に座った私の膝の上に腰かける。



「吸ってよ……私の血を吸って……」



 艶のあるその言葉に誘われるように私は本能に抗うことができず飛鳥ちゃんの首筋に私の牙を突き立てていた、



「ん……、良いよ……、もっと吸って……のぞみ……」



 飛鳥ちゃんの声音が高くなっていくと共に、私も心のタガが外れ両の手で飛鳥ちゃんの体を弄び始めた。


 飛鳥ちゃんの控えめなお胸、引き締まった太腿、香ばしい匂い、そして……。


 飛鳥ちゃんのありとあらゆる女の子の部分を両の手でまさぐる。


 飛鳥ちゃんの白い肌が朱に染まっていき、彼女の甘美な声音が私の脳を支配欲で埋め尽くしていく。


 そして―――。



「ん……あ、あ、あ……!……ッ!!!」



 飛鳥ちゃんは一際高い声で鳴くと力なく私の体にもたれかかってきた。


 そして、スース―と安らかな寝息を立て始める。



「……ヤってしまった……」



 しかも今日は遥香とではなくクラスメイトと。


 お胸のフカフカを楽しむだけでなく、女の子のありとあらゆる部分を触りつくして。


 私の手はわずかに湿り気を帯びている。


 その手を自分の口元に持っていき。


 一舐めしてみた。


 しっとりとした汗と飛鳥ちゃんのものが入り混じって、飛鳥ちゃんの味がした。


 これは……良い……。



「あのー……じっくりお楽しみのところ申し訳ないのだけど?」



 飛鳥ちゃんの甘酸っぱい味とっても美味しい。


 もう一舐め……。



「聴・けっ!! この色ボケ吸血鬼!!!」



 ガツン―――。


 私の頭は何か鉄の塊で思いっきり殴りつけられる。



「痛い……」



 私は衣服の開けた飛鳥ちゃんをその辺の机の上に移動させて、私を殴りつけた従者の眷属をジトリと見つめる。


 しずくちゃんもふよふよと私の目の前を浮かびながら冷たい視線を浴びせかける。



「まぁ……先輩がエロいのは知ってたけど。遥香先輩以外にも手を出すなんて……ね」


「だって、しょうがないじゃない! 飛鳥ちゃんとっても魅力的だったし、それに自分から血を吸ってって……」


「それなら血だけ吸えば良いじゃない!! そんな風にめちゃくちゃになるまでするとかっ!!」


「それは……その……」


「言ったよね? 先輩、ボクに『恋』をしたって!!」


「言いましたっけ、そんな事?」



 とりあえずしらばっくれてみる。



「言ったよっ!! ボクに『恋』をしたって言いましたっ!!」



 手にした瑠璃色に光る棒を振り回しながらしずくちゃんはギャーギャー喚き散らす。


 はぁ……。もうしょうがないなぁ……。


 私はゆっくりとしずくちゃんに歩み寄り。


 しずくちゃんの体を両手で優しく包み込むと。



「はいはい。私は、霧島しずくちゃんに『恋』をしました。だから。どうか今日の事は許してください」



 そう言ってしずくちゃんの瞳をじっくりと見つめる。



「……じゃあ、もう他の女の子に手出ししない?」


「……そ、それはどうかなー……」



 こんな快楽を知ってしまうともう二度と後戻りできやしない気がした。


 なのでここはあえてはぐらかしてみる。



「そこは嘘でも、はいって言ってよ!!」


「はーい……。今後、気を付けますー」


「絶対、反省してない……」


「ソンナコトナイヨー?」



 しずくちゃんに促されるも壊れかけたロボットの様に片言言葉でしか返事をすることしかできない私だった。


 だってねー……。


 女の子の誘惑には勝てないよ、うん。


 今日は飛鳥ちゃんから誘ってきたようなものだしね。


 据え膳食わぬは何とやら、なのだ。


 私は……。


 私はもっと。


 もっと女の子と百合百合したいんだーーーっ!!!

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