表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『吸血姫様』は百合百合したいっ!!  作者: 牛
序章 『吸血姫様』は―――
1/100

第一話

 ひらりひらりと舞い落ちる。


 桜の花が舞い降りる。


 花びらたちが舞い落ちる中。


 紅い、紅い血が滴っていた。


 私が抱きしめた少女の首筋から、紅い鮮血が。


 白い制服の襟を真っ赤に染め上げながら。


 月明りの下、ひらひらと舞う桜の花がまるで血の様に思える。


 私は無言で真っ白な髪、そして同じくらい透き通る白い肌の小柄な少女の首筋に突き立てた牙から滴る生き血を啜る。



「良い……良いよ……先輩……。もっと……もっとボクの血を啜って……」



 衣服を開けた少女の艶めかしい声音につられるように、血を啜りながら私は少女の体を撫でまわす。


 細いウェスト、引き締まったヒップ、スレンダーな太腿。


 少女の体はとてもやわらかで。


 触った箇所から弾力に富んだ肌が反発してくる。


 女の子のぷにぷにお肌とはこういうものだというのを実感させてくれる。


 ゆっくりと控えめなバストに直で手を這わせながら揉みしだく。



「ん……先輩……」



 私は血を啜りながら白磁の肌が徐々に真っ赤に染まっていく少女の体を楽しむ。


 少女の声も私に体を縦横無尽に触られ、次第に艶を帯びてくる。


 少女はその声を聞かれまいと唇を嚙みしめて声を押し殺す。


 その姿が、甘い血が、少女のスレンダーな肉体のスベスベの感触が、甘美な少女の声が私の脳内を快感に満たしていく。



「美味しいよ……しずくちゃん……」



 血を啜りながら、少女の体を思いっきり抱きしめる。



「先輩……先輩……せんぱ……い……」



 少女は熱に浮かされたように、私のことを求めて呼び続ける。


 甘い甘い声色が。


 少女から香るラベンダーの香水の匂いが。


 柔らかな少女の体の感触が。


 その全てが私の脳内思考を麻痺させていく。


 女の子……良い……。


 こんなに可愛い女の子の体を、めちゃくちゃに。


 弄ぶように触ることができて幸せ……。


 そうだよ!


 百合ってこういうものだよねっ!!


 月光に輝く桜の花びらが舞う中。


 私は薄暗い校舎の陰で背徳感に満ちた心を昂らせていた。


 ―――


 百合。


 それは端的に言えば清らかな女の子同士がイチャイチャラブラブする行為。


 それは、いと尊きものなりけり。


 それは、私が最も崇高とする行為。


 それは、神が与えたもうた禁断の果実。



 そう、だからこそ。


 私、入来院(いりきいん)のぞみは女の子と恋がしたいっ!


 もちろん男の子とではなく、女の子とである。


 それはもう真面目も真面目、大真面目。


 女の子のうなじやニーソックスの絶対領域ライン、お胸のふかふかに細いウェスト、ほのかに香る甘い匂い。


 女の子を司る全てが私は愛おしくてたまらない。


 際どい服を着て自分のボディラインを姿見鏡に映して妄想に浸るのも日常茶判事。


 幸い自分の体はとても女の子然として作られていることに、神に感謝の念を忘れない。


 神様、私を美少女として生まれさせてくれて本当にありがとうございます。



 がしかし、それはそれでである。


 両親からお嬢様として英才教育を受けてきた入来院家のご令嬢が。


 学園のみんなからは才色兼備と謳われ、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花と言われているこの私が。


 日々クラスメイトたちや自分の体を見つめながらあんなことやこんなことの妄想をしているなんて誰が思うだろうか?


 いや、いない(反語)


 まぁ幼馴染でメイドの姶良遥香(あいらはるか)だけはその事を知っているのだけれど。



 あー今日こそ白馬に乗ったお姫様が私の目の前に現れないかな。


 そんな事を思いながら入学式でおろしたての新品の制服に身を包んだ少女達の品定めをしていると。



 いた。


 ステージの上。


 新入生挨拶を読んでいる少女に私の目は釘付けになる。


 身長は150cmくらいのやや引き締まった体。


 ショートカットでその端正な顔つきは一見美少年を思わせる。


 少女はまだ育ちきっていない幼い声で挨拶をしている。


 真っ向正面どストレート。


 私がその少女に心を奪われるのは必然と言うべきだったのかもしれない。


 これは運命だ。


 神が私に与えてくれた天啓だ。



 その日、私、入来院のぞみは。


 彼女、霧島しずくに『恋』をした。

週ペースでぼちぼちと書いていこうと思っていますので、

お気軽にブックマークなどしてくださると幸いです。

感想は、面白そう、つまらないでもなんでも結構です。

評価も、気軽に★1個でも構いませんので付けてくだされば嬉しいです。

それが書く気力になりますので!

是非ともよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] RT企画にご参加いただき、ありがとうございます。 カクヨムにはない感じの作品ですね。 というか百合作品初めて読みました。 陰ながら応援しておりますので、ご自分のペースで執筆頑張ってくださ…
[一言] 百合百合大好きです。 文章も丁寧で読みやすいですね。 応援してますのでこれからも頑張ってくださいっ!
[良い点] 百合モノは世の中にたくさん存在していますが、その中でも面白かったです!今後も楽しく読まさせていただきます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ