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「ふぅ、沙良ったらどこまでピュアなのかしら？」
「ホントにね、あれで気付いたら私が沙良だったら柚月を許さないわ。 って柚月と結託してるみたいな私らが言うことじゃないけど」
「あらーエリたん罪悪感？」
「だってあんなに可愛い沙良を騙してるのちょっと…… というか凄い罪深いわよね柚月が」
「騙してるなんて言うなよ、俺だって沙良が好きな一心で」
「とんでもない悪行をしていますってねぇー？ 柚ちぃ」
こいつらの前で沙良のこと好きって言うの恥ずいのに悪行呼ばわりまでされるとは……
「ミコト〜、珍しいメンツと集まってんじゃん？ 何々？」
ミコトの友達が絡んできた、だから売店なんてこいつらが来そうなところで集まるの嫌だったんだよ。
「んー、強いて言うなら悪巧み？」
「人聞き悪いこといわないの」
「そうだよ、別になんでもないんだから」
「ミコトがいてなんでもないってありえる？ ありえないよねぇー？」
ギャル連中って毎日楽しそうだな……
「なあミコト、これ以上俺の秘密知ってる奴増やしたくないんだけど」
「ふむふむ、そういうことなら。 ねぇみんな、あたし達さ、ここにいる柚ちぃのこと共通で好きなわけ」
「んなッ！？」
「……」
「ちょっとミコト！！」
ミコトがそう言うとギャルグループはキョトンとして俺を見ると……
「え〜！？ マジで！！ 柚月ハーレムじゃん、しかもそこにミコトとかってマジウケんですけど〜！」
「それにしてもついに柚月モテ期到来？」
「てゆーか柚ちぃこんな逸材なのに今まで埋もれてたなんて意外だよねぇ」
モテ期？ 俺がこんなになってるのはモテ期だからなのか！？
「まぁミコトのバカ発言は置いておいてひとり好きになったと思ったらあっという間だったよね」
「なんで私を見るし！！ てかてかメグミだってどうなのよ？！ なんだかんだで柚月の肩持ってあげてるじゃん」
「そりゃあエリカが惨めすぎて可哀想だからに決まってるじゃん」
「み、惨め……」
騒がしくなってきた。 もう反省会だかなんだか知らないけどお開きにしてよくないか？
「ミコトは綺麗な男の子好きだから構うのはわかるけどぉ〜」
「ちゃうちゃう、それもあるけど一番は面白いからだよん！」
「でも壮観だねぇ、ミコトら3人が柚月囲んでんの見るとマジで柚月モテてるんじゃないって思うっちゃうし」
「いーなぁ、ミコトに続いてうちらも柚月のこと候補に入れようかなぁ？」
んん？ 候補？？
「候補ってなに？」
「カレシ候補」
「な…… な！？」
「ちょっと！！ あんた達みたいなケバいの残念ながら柚月のタイプじゃないのよ！」
「うそーん、あたし柚ちぃにめっちゃラブコールされてんだけど？」
「はぁ！？ 柚月、あんたどんだけ他の女チラつかせれば気が済むのよ！」
「んなもんミコトの冗談に決まってんだろ！ なあメグミ！！」
いねぇし！！ あいつうるさくなってきたからってバックれやがったな。
「あはあはッ、メグミン消えるの早ぁ〜ッ」
「ったく！ 行くわよ柚月！」
「お、おいッ」
エリカに引っ張られて校舎の方へ戻る、多分メグミを探しに行くんだろう。
「はぁー、ミコトに絡まれるとうるさいったらないよねぇ」
「そうだな、それより…… お前に大事な話があるんだ」
「大事な話？ だ、大事な話！？ ふぁびょッ」
何を勘違いしてんだこいつは？ リアルにファビョッてるやつ初めて見た。
「エリカ」
「な…… 何かな？」
なんで髪型とか直してんだこいつ。
「あのさ、沙良って俺のこと。 カヅキが柚月だって勘付いてないよな？」
「…… は？ 知るかよ」
ほらなぁー！！ こう返されると思った。
「大事な話ってそれなの？」
「悪いけどそうだ。 なんかさ、急に不安になってきた」
「うーん。 どうだろ？ 私だったらすぐに気付いたけど。 メグミの言う通り盲目的になってて気付くもんにも気付いてないんじゃない？」
「そうかな？ そうだといいけど」
俺の不安をよそにミコト含めいつもの2人と沙良と遊んだりした。 その内多少のリスクは冒して男の俺とも何度か話した。 そして月日は流れ10月下旬になろうとしていた。
俺にとって一番過ごしやすい季節だ、暑くもなく寒くもないこの時期と春先だけが俺にとって救いの季節だ。 とは言ってもまだ半袖で事足りるんだけどな。
「寒くなってきたねぇ、でも柚月にはちょうどいっか」
「あはは、わかってるじゃん沙良。 それと大分うちの兄貴とも打ち解けてきたじゃん大進歩だよ」
「うん！ 柚月達のおかげかな。 でも……」
沙良が少し俯き曇った顔をした。
「いつも柚月とカヅキ先輩ってどっちかしか居ないよね？」
ドキッ！！ そりゃあ2人同時なんてドッペルがいない限り無理だ。
「あ、ああ〜、兄貴がいると私入り辛くて」
「柚月もカヅキ先輩と前より仲良くなったみたいだから一緒にお話したりしようよ？」
沙良が俺の服を摘んで言った。
出来るわけないじゃん…… 俺のそっくりさん探すわけにもいかないし。 かといって沙良の柚月のそっくりさんも俺の周りで出来そうな奴もいない。
「ねぇ、今度柚月がいいならカヅキ先輩を誘って3人で何か食べに行かない？」
「ええ？」
それは困る、めっちゃ困る…… 俺を食事に誘うくらいになってくれたのは凄く光栄なんだけどそれ即ちバレる。
「うーん……」
「ダメかな？」
そんな可愛い顔でおねだりされてもそれだけは……
「えっと、兄貴がいいって言うかなぁ？」
「大丈夫だよ！ カヅキ先輩実は柚月と仲良しになりたいって思ってるから。 だって柚月は可愛い妹なんだし」
「あはは……」
ヤバい。
