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女装恋愛  作者: 薔薇の花
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「うーん」

「どしたの沙良?」

「うーん……」

「もしかしてトイレ我慢してる?」

「うん…… って違うよ!」



沙良がさっきから唸っている。 昼食を食べ終わってからこうだ。 バクバク食べてたから食べ過ぎて腹でも壊したのかと思った。



「ねぇ、あそこのカフェ行かない?」

「またカフェ地獄…… 沙良どんだけ食べるの」

「私からしたら柚月食べな過ぎ! あ、だから細いのかな?」



いや、食べると暑くなって汗かくから食べないだけだ、熱い食べ物なんか天敵だ。 冷めた食べ物が一番いい。



「ほら行くよー」

「ええ〜ッ」



どんだけカフェ好きなんだ? 俺そんなとこよりボロっちい隠れた名店的なラーメン屋とか行きたいわ。 あ、ラーメン食べたら汗かきそうだからパスだな。



そしてカフェに入るとメニューを見ながら悩む沙良、そんなに美味しそうなのでもあるのかな?



「これなんか沙良好きそうじゃない?」

「え? ああ、じゃあそれとブレンドコーヒーにしようかな」

「なんか悩み事?」

「うん…… ううん!!」

「思いっきり上の空じゃん」

「あ、あははッ!」



どうかしたのか? メニュー見ながら俺をまたチラチラと…… そんな風にされるとバレたんじゃないかと思うからやめてくれよ、いやでもそういう感じも沙良は可愛いけど。



「私でよければ相談乗るよ?」

「え!? 柚月に? ええ〜本人だしなぁ」



モジモジとメニューを折り曲げ…… って店のメニューを勝手に折り曲げていいのか!?



「沙良、これ私が預かるよ」

「ああッ」



メニューを取り上げると他に縋る物を探して今度はバッグを顔の前に持ってきた。



「だって柚月に悪いし」

「え! 私のこと!?」



俺に悪いとは?? も、もしかして汗臭い!? い、いや確かに汗かいてるけど制汗スプレーをいくら何かの登場シーンくらいになるまで振り掛けても限度があるし。 それとも化粧が崩れて!? あ、でも自分が映るとこならどこでも見てるし……



「いやでもキモいし」

「キ、キモい!? 私が!!?」



お、おい! どこからどこでそうなった?! 確かにやっていることは客観的に見ればそうだろうけどバレてなきゃセーフのはず。



「ううん、私がね」

「沙良が? なんで??」

「なんか急に柚月にキスした時のこと思い出しちゃって。 そう考えたらそっくりなお兄さんともしてたみたいに思えて、なんてキモい発想なんだろ私って思ってて柚月の顔がまともに見れなくて」

「なんだそんなこと」

「そんなことってぇーッ! まぁ柚月がそんな反応で少しホッとしたとこもあるけど」



あれ? でもこれって沙良は……



「もしかしてうちの兄貴に恋してるんじゃ?」

「ん…… んんッ!?」



沙良の顔が真っ赤になった。 これはイケるか!? 今が俺を売り込むチャンスなんじゃないか?(ゲス顔)



「だっていきなりそんなこと言うなんてそうとしか」

「だってだって! 沙良のお兄さんは男の子だよ!?」



俺が言うのもなんだけどそれが普通のことなんですが……



「落ち着きなよ沙良、まぁ…… うちの兄貴も今はフリーだからねぇ」

「でもさ、もしだよ? もし私が柚月のお兄さんと付き合ったら嫌じゃないの?」

「思うとこはないわけではないけど沙良の気持ちが兄貴を好きになったら仕方ないかなぁって」

「そ、そうかな……」



マジ? これって俺大勝利じゃね??



「あ、でもどっちかって言ったら気心知れて安心出来る柚月と付き合えた方がいいかななんて!」

「…………」

「じょ、冗談だってば! そんなドン引きしないでよ」



なんで…… なんで近いようで遠ざかるんだよぉー!! こっちの柚月は柚月であって柚月とちゃう。



俺だってここまできたらトラックドンで転生して女に生まれ変わりたいわ。 いやでも女だと沙良とは健全なお付き合いは出来ないし……



「でも沙良はうちの兄貴にはやっぱり耐性があるみたいだね」

「ああ、そうだよね。 そっくりって凄い、もしかして今話してるの柚月に変装した柚月のお兄さんだったりして!?」

「ゲフンゲフンッ!!」

「わわッ、大丈夫? いつもより汗凄いよ!」

「だ、大丈夫、変なこと言わないでよ沙良〜」

「ごめんごめん、柚月にはホクロないもんね」



一応そういうとこ見てるんだな、当たり前だろうけど。 なのになかなか気付かないからたまに違う意味でビビる。



「もう一回柚月の家に行ってみようかなぁ」

「え? 兄貴に会いに?」

「そうじゃなくて…… ああでもこの前のこと直接謝っておいた方がいいかな?」

「それはいいって! 私の家そんなに面白いものなかったでしょ? あはあは……」

「そんなことないし! むしろ楽しかったよ、そうだ! またみんなで集まったりしない? 今度は柚月の家で」



そんな楽しみ! みたいな眼差しでこっちを見ないでくれよ沙良、俺だってそうしたいけど出来れば2人きりがいいし。 それよりもまた親の都合を見なくてはいけない。



けど待てよ…… 沙良は俺を好きだと仮定したらこの流れで沙良の本意はぶっちゃけ柚月ではなく兄貴に会いたいのでは? とポジティブに考えてみよう。



男の俺に偶然会うとか来るか来ないかもわからないし確かめる術もないが遊びに来たら今度は俺がいても不自然ではない。 親のことは置いておいてまたいなかったという方が不自然かもしれないし、そう思えてきた。 



それに俺がいて兄貴がいてということも手段がないわけではない、でもこれは2人きりだと間が持たないかもしれないのでエリカとメグミは呼んだ方がいいかも。 また小言言われるだろうけど。



「まぁ…… 良いんじゃないかな?」

「やった! じゃあいつにしよっか? 今日?」

「あ、ええと今日は私帰ったらうちの親と出掛ける予定あったから。 だから都合の良い日後で言うよ」

「うーん、わかった! 楽しみ」



これは…… この場の勢いとかで急遽決まったけど帰ってみて冷静に考えてやっぱりなしでなんて言えなそう。




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