表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装恋愛  作者: 薔薇の花
29/41

29


「甘い、エリカは柚月に甘過ぎる」

「これでも私大分粘った方なんだけど」

「よぉー知らんけど仲直りしたんでしょ? だったらいいじゃん、ねぇ柚ちぃ」

「ミコトそれいつまで続けるの? もう私もメグミもいいのに」

「いやもうなんか俺疲れたし帰ったら勉強したいし帰っていいか?」

「はぁーい、じゃあわだかまりも解けたらしいし柚ちぃ一緒に帰ろうか」

「「なんでそうなる?」」



エリカとメグミにミコトは掴まれたのでそのスキに脱出した。 



ふぅー、なんかマジで疲れたわ。 あ、エリカ達ミコトに余計なこと言ってないよな? まぁ俺じゃあるまいし。



そんな時携帯にメッセージが届いた。 沙良かなと思って画面を見ると実…… 『ゲームやりにこいよ』と。 



どうしようと思ったが、なんか男と遊ぶの久しぶりなような気がするし実でもいいから遊んでおこうと思ってその日の帰りは宿題のことを忘れて実の家に行ったのですっかり帰りも遅くなってしまった。



実とは以前柚さんとのことがあって俺だけ一方的にギクシャクした気持ちになったが今となっては余計な打算をせずに気持ちよく遊べる奴だ。 最近のミコトとのことはしつこく聞かれたが……



気分転換になったな。 これからはミコトと付き合ってるフリなんてしなくて済むしエリカとメグミとも仲直りしたんだし沙良のこと以外に問題はないよなきっと。





「おっはよぉー柚ちぃ!」

「なんで!?」



ここ最近変わらずに朝一番でミコトが俺に不意打ちで抱きついてきた。



「もうそんなのはいいって言ったろ」

「柚ちぃったら下手くそなんだから」

「は?」

「いきなりなんともなくなったらどう考えてもおかしいでしょ!」



あ、そっか! って確かにそうだけどしばらくこれ続くわけ?



「だからさ、じょじょ〜に自然消滅的な?」

「また自然消滅かよ」

「ん? 何が??」




どいつもこいつも自然消滅ってそうした方がいいってか? 



「お、先生来たぞ」

「一緒に授業する?」

「いいから自分の席に戻れよ、隣の奴困ってんだろ?」



そう言うとミコトは自分が座ってる席の男子が気不味そうにしているのを見てニコッと笑い肩をポンポンと叩いて席を譲った。



こいつ気軽に触ってくるから気を持たれやすそうだ。




それからテストも無事に終わり沙良と久しぶりに遊ぶことになった。



「柚月ぃ〜ッ!!」

「うわッ」



いつもの駅で待ってると沙良が後ろから俺を驚かして抱きついてきた。



「超久しぶりな気がするッ!」

「え? ああ、そうだね。 てかこの前学校まで会いに来てくれたのにいなくてごめんね」

「そうだよぉー! もう目の前にいるからいいけどさ」



まぁこの前学校に来た時に会ってるんだけどな。 ここまで気付かれないなんて俺って変装上手いんじゃないかと思ってしまうがエリカとメグミにはそっこーでバレたからなぁ。



「最近柚月成分が足りなくてどうにかなりそうだったよぉ」

「ちょッ、化粧、化粧落ちるって!」



なんと俺の顔に頬を擦り付けてきた。 



ここ駅なんですけど…… かなり喜んでいてこちらとしても嬉しいんだけど何がそんなに? あ、もしかしてこの前兄貴として言ってたこと覚えてんのかな?



「顔がしっとり」

「ごめん、それ私の汗」

「まぁいっか! 崩れちゃったからトイレで直そ!」

「だから言ったのに。 あー沙良の化粧も崩れてるじゃん、せっかく可愛いのに」

「私は全然オッケー!」



何が? と言いたいけどまぁ沙良は凄く機嫌良さそうだし。 



それから沙良とショッピングをして昼食を食べていると……



「ん? なんか顔に付いてた?」

「あ、えっと……」



沙良が俺の顔を異様に見てきた。 めっちゃ見てくるので俺はここにきてバレたかと思ってしまう。



「カヅ…… 沙良のお兄さんってあの後私のこと何か言ってなかった?」

「兄貴が?」



あ、この前のことか、ホッ……



「うん、一応柚月のお兄さんだから嫌われちゃったら嫌だなって」

「ふんふん」



ぶっちゃけいきなり「沙良ちゃんって可愛いね!」とか言い出した俺がキモかったのでもしやこれは沙良の中で俺の評価があまり落ちてないのでは? と思い心の中でガッツポーズを取った。 



あれは別れたせいで一種の気の迷いみたいな感じで捉えててくれ沙良。



「いやまぁ兄貴が別れてたのはウケたけど沙良のこと悪くなんて言わないよ」

「そっか、そう言われると安心。 もう元気になったのかな?」

「うん、いつもと変わらずだよ」



はぁ、沙良とこうして2人きりで会ってると俺が男だって以外は余計なこと忘れさせてくれるぜ。 でもちょっとこれだけは聞きたい。



「まぁ兄貴もついに別れたかぁ」

「彼女さんどんな人だったの?」

「うーん、美人?」

「柚月より?」



つい俺は沙良をイメージして言ってしまった、沙良は俺より全然可愛いと思っているのでここの答えはこうしておこう。



「うん」

「えー、柚月より美人さんなんだぁ。 見てみたかったなぁ」

「ここにもいるじゃん」



そう言って沙良を指差す。



「へ? 私?? いやぁー、私もなかなかの方だと思うけど柚月の方がスタイルいいし背も高いしモデルみたいだし」

「ふふッ、満更でもなさそうじゃん。 今度会ったら話してみたら? 沙良のこと可愛いって言ってたし」

「む、無理無理ッ!」



とか言っちゃって会えば話しかけられてるけど。 でもそれは沙良の柚月ありきだったし。 てか自作自演もいいとこだな俺、でもこの反応ってもしかして男の俺のこと本当に満更でもなしか?



「でも柚月と一緒だったら」



…… そりゃあ無理なんだよー! 身体がふたつ欲しい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ