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女装恋愛  作者: 薔薇の花
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「なあエリカ……」

「エリカに何か用?」



くッ…… これだ、あの後エリカに弁解しようと思うとメグミが立ち塞がり邪魔をされる。 



俺は焦っていた、俺の秘密を知るこの2人を怒らせてしまったことに。 もしかしたらバラされるかもしれないという不安がもうピークだ。 早いとこ仲直りしたいんだが……



「エリカにちょっと話が」

「そんなこと言ってエリカを傷付ける気?」

「そんな風に見えるか?」

「見える」



即答かよ! 



そんな風に話していると周りからどうしたの? と寄って来られるので俺はろくに謝ることも出来ないまま退散する。



あーくそ、またこれかよ! と思っていると実が茶化しに来た。



「お前またエリカにアタックしてたのか?」

「そうじゃなくて。 よくあるだろ、ちょっとしたことで怒らせちゃってさ」

「いや普通に告白しようとしてるようにみえるわ」

「え? マジで??」

「うん、他のやつもそう思ってんじゃねぇの?」



それはちょっと…… でもそう思われてるなら迂闊に2人に近付けないぞ。 いやでもエリカはともかくメグミは何やるかわからないし早めに仲直りがしたいのに。



「ゆ〜づ〜きッ!」



学校も終わり帰ろうとした時売店の近くを通るんだが中に居た女子のギャルグループのひとりに声をかけられた。



つーかミコトじゃん。 



そう思ってチラ見してバイバイと手を振って帰ろうとしたらミコトがこっちに近付いてきた。



「そんでその後の進展はどお?」

「進展ってなんだよ」

「だってエリカのお尻追いかけ回してるじゃーん!」

「言い方! 大体お前が余計なこと聞くからこんなことになってんだろ」

「はてな……」

「はぁ〜」



もう帰ろう、こいつと話してても埒が明かなそうだし。



「いやでも面白そうじゃん」

「は?」

「エリカと柚月の色恋沙汰」

「だから違うって」

「あーはいはい、じゃあ仲直りってことにしといてあげる。 この色男〜、エリカを選ぶなんてお目が高い! やっぱ決め手はあの顔と乳ですかぁ?」

「ふざけてんのか?」

「えー? 冗談も通じないほど追い詰められてるの? かわいそー」



そう言うとミコトは頭をナデナデしてハグをした。



「何これは?」

「元気出してーってゆーことだよ?」



俺が若干困惑しているとミコトが俺の顔をじ〜ッとみてニヤリと笑った。



「あ、もしかして照れた?」

「いやなんでお前にそんなことされなきゃいけないのかって」

「照れてんだぁ〜、可愛いからいいかなって思っただけだよ。 てかこれくらい普通っしょ」

「お前の普通は普通じゃない、もういいだろ? 俺帰るから。 ぐえッ!!」



行こうとしたらミコトに首根っこを掴まれ強引に後ろに引かれた。



「おま…… 何してくれてんだよ?」

「だから面白そうって言ってんじゃん!」

「だからそれがなんだよ? ちっとも面白くない」

「あたしが人肌脱いだける!」

「いや、だから何が?」

「名付けてイチャコラ大作戦〜!」



もうダメだこいつ、勝手に話を進めてる。



「もう話は終わりか?」

「ん? まだだよー、えい!」

「は?」



今度は俺に腕組みをしてきた、それはもう女同士…… というか沙良が俺にやってるようにピタッと体を押し付けて。



「何してんだよ、見られるだろ!」

「見られて困るわけ? 優越感に浸れるの間違いじゃな〜い?」

「いいから離れろよ」

「ああんッ!」

「変な声出すなよ」



俺は無理矢理ミコトを引き離した。



何考えてんだこいつは……



「うーん、童貞君の反応」

「そんなの今はどうでもいいし」

「アハッ、でね! ここからが本題」

「まだ何かあんの?」

「エリカも女なんだからさ、あたしと柚月が急に仲良くなり出したら当然気になるっしょ?」

「そうか? だって俺は別にエリカのこと……」



いや待てよ、これはエリカの誤解を解くチャンスなのでは? これでエリカとメグミの気が引けるなら試してみるのもありか? 俺ひとりでどうこうしてたって限界あるし。



「仕方ない、けどこれ以上誤解を生むようなことはするなよな」

「だいじょうび!」



ピースをしてニカッと笑うミコトを見て一抹の不安を覚えたけど他にいい案はないしな。



「それじゃ、あたしのことはミーちゃんって呼んでね」

「断る」

「はやッ! そんなんじゃ親密になったとは思われないよぉ柚ちぃ」

「柚ちぃ……」



なんか実の柚さんを思い出すんだけど……



「普通に呼べよ」

「わかった柚ちぃ」

「それが普通か?」

「そうなった! それかダーリン?」

「…… もう柚ちぃでいいから、なんか疲れた」

「お疲れ様。 あ、そーだ!」



ミコトは思い出したかのように言うと俺の手を引きギャルグループのところへ向かった。



「何してたん?」

「ちょっと柚ちぃとね、イイコトしてたんだぁ」

「おい!」

「柚月モテモテだね、エリカの次はミコト? 面食いじゃん」

「そぉなんよ、柚ちぃ腰使いパないからあたし夜が心配、明日学校来れるかな?」

「可愛い顔してるけど下の方はエグそうだもんね柚月って」



ああ、これ前にこいつに化粧されたノリと同じだ。



「いい加減俺もういらないよな?」

「ダ〜メ! 言ったでしょ、顔弄らせてねって。 今度はギャルメイクしちゃおー!」



ほらきた…… まぁもう藁にも縋る思いだ。




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