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女装恋愛  作者: 薔薇の花
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「うわぁー、柚月の家って一軒家でいいねぇ」

「そう? タワマンのが良さそうだけど」



そう、この会話でわかるように今日沙良は俺の家に来た。 両親は勿論いない、母さんは今日「友達の家に行ってくるから夕飯はどこかで食べてくるか出前でも取って食べていいから」ということで夜まで来ないはず。 父さんは言わずもがな仕事で遅い。



これは大チャンスと思って沙良を家に呼んだ。 当然見られてマズいと思った物は全て隠した、男物の服は来客用の部屋に移動したし学校の制服やアルバムなども全てだ。 まぁ何か不備があれば柚月には兄貴がいるということになっているので大した問題にはならないだろう。



「タワマンは面倒だよ〜? 慣れれば気にならないけどエレベーター使ったり番号入れたり。 でも一軒家はそのまま入って行けるじゃん!」

「まぁそう言われるとそうかも」

「それと柚月の家の人誰もいないの?」

「うん、たまたまみんな出掛けてる」

「ふ〜ん、柚月の友達ですって挨拶しようかなって思ってたんだけど」

「まぁそのうちね」



来られたらアウトなんだよ。 うちの母さんなんかまったく協力的じゃないし、女の格好で沙良を連れて来たら騒ぎそうだし。




「こっち来なよ、お…… 私の部屋」

「行きたい行きたい!」



家だと気が緩んじゃうな。 つーか家に沙良と2人きり、男と女が2人きり…… これはもういろいろあっても良さそうな雰囲気だ。 いや俺は女子! 今は女子なんだ。



「じゃあ適当に座ってて」

「うん! ん?」

「ううん、なんでもない」



沙良は俺が見守る中テーブルの前に座った。 俺はその光景を観ている、沙良を見てるんじゃない。 本当に大丈夫か周りを見てるんだ。



ジュースとかお菓子とか持ってくるから沙良が部屋に1人になってしまうからな、でも大丈夫そうだ、部屋は可愛くはないけど女の部屋に見えなくはない多分……



俺はドアを閉めて急いでリビングに行ってあれこれ持って戻ると沙良はそのまま待ってたみたいだ。



「お待たせ」



沙良にジュースを渡すと飲む前にピタッと止まる。



「どしたん?」

「…… お酒とか入ってないよね?」

「そんなわけないでしょ」

「冗談だよ、いただきまーす」



メグミがやるならまだ可愛げはあるが俺がやったら犯罪紛いな気がする。 それから沙良と他愛もないお喋りをしていると……



「柚月の部屋って漫画いっぱいだね、なんか男の子が読みそうなやつばっかだけど」



ふ、つっこまれると思ったがそこは心配ない。



「兄貴がね漫画読むから私も影響受けちゃったのかな」

「何気に影響受けてるんだ? なんか可愛い」

「まぁ沙良も読んでみたら? 読み始めれば面白いと思うし」



そうして沙良とお喋りすること1時間くらいした頃。



「トイレ借りてもいい?」

「いいよ、階段下だよ」



そう言うと沙良はトイレに行った。 



ちょっと落ち着けるなと思って携帯を弄っているとトイレから沙良の声が聴こえた。



「柚月ー!」

「何?」

「ちょっと来てくれる」



何かマズいものでもあったかと少し心の中を騒つかせて沙良のところへ行くとトイレのドアが少し開いて沙良が顔を出した。



その光景に俺は絶句した、なんと沙良はスカートは履いているんだが脚にはパンツが……



女子トイレには入ってるが女子のトイレの最中なんて拝んだことがない俺、この状況は一体なんだと平静を装いつつ焦る。



「ごめんね、あのさ私ナプキン忘れちゃったみたいで」

「ナ、ナプキン!? ああナプキンね」



どうやら沙良はそういう日だったみたいだ。 なんだそんなことと思った俺は今度は青ざめる。



「ナプ…… キン」

「貰えるかな?」



沙良は手を合わせて言うが俺はナプキンなんて使わない、これは非常にマズい。 ないなんて言うと絶対怪しまれる、女子なのに持ってないなんてありえない。



「柚月?」

「あ、や、取ってくるね!」



俺はトイレのドアを閉めた。 女子のトイレの最中、しかも沙良の見れてラッキー! なんて変態みたいなこと思ってる場合じゃない。



事件だ、これは事件だ…… どうしよう、どうしよう!?



ハッ! 母さんが使ってるかもしれない、でもどこにあるんだ?



俺は階段を登り父さんと母さんの部屋に行った。 



ウソだろ〜!! なんでこんな時に限って……



俺は必死に探すがそういう時はなかなか見つからない、そもそも母さんってまだそんなのあったっけ? とか思い出すくらいだ。



最寄りのコンビニまで走って行ってもどうしても5分は掛かる、往復10分。 



急いで行ってくるか? ってバカか俺は! んなもんバレるに決まってるだろ!



泣きそうな顔になりながら探すが見つからない、俺は階段を降りてリビングに行こうとすると……



「ごめんねぇー」



トイレからそんな声が聴こえてきた。 階段を降りる足音で持って来たのかと思ったのだろうか? だが手ぶらだ。



「あ…… ちょ、ちょっと待って! 母さんから電話来ちゃった」

「はぁーい」



なんとか誤魔化した。 



「もしもし母さん、あのね……」



電話など来てないのに母さんと電話で話すフリをしてリビングを散策する。



ダメだ、ここにもない。 5分くらい話しながら探す俺はついに心が折れてもう長引かせられないと思い電話しているフリをやめて沙良のところへ行こうとした時キッチンが目に入った。 



「あ…… あ〜〜ッ!!」



思わず声をあげてしまった。 なんとキッチンの角にナプキンらしきものが……



急いで手に取ると夜用と書かれた紛うことなきそれだ。 



「柚月どうしたの? 大丈夫?」



俺がトイレの前に行くとまた少しドアが開いた、さっきの声が気になったんだろう。



「大丈夫」

「わッ! 凄い汗だよ、大丈夫じゃなさそう」

「あはは…… 部屋以外エアコン効いてないからね」



沙良にナプキンを渡した俺の顔は物凄く憔悴しきった顔だっただろう。






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