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「あれ? そういえば……」
「おはよ」
横を見るとメグミがいた、なんで? と思ったが女子会してたんだった。 その瞬間昨日起こったことが甦る。
そうだ、俺は沙良とキスしちまって…… というか重い。 って沙良が俺の腹の上に!?
あの後あのまま寝たのか?
沙良をそ〜ッと隣に移す、ぐっすり眠ってるせいか起きなかった。
「それヤバくない?」
メグミが小さく言った。
「何が?」
「それ」
メグミが指差すところを見ていると起きて間もないのに元気な俺の分身が……
俺は両手で隠すとメグミはニヤッと笑って携帯を弄っていた。
相変わらずこいつはよく見てるな。 てか今何時だ? 俺も携帯を取り出して時間を見るとまだ6時ちょい過ぎくらい。
「早起きだね」
「偉いでしょ?」
「てか昨日……」
「ああ」
メグミはやはりバッチリ見ていたらしくわかったわかったと言わんばかりに手を振った。
沙良はなんであんなことを? 俺を好きって言ったよな? 酔ってたから? それとも沙良は男が苦手だから女が好きとか?
だとしたら沙良にはもう正直に話さない方がいいんじゃないか? 俺がずっと女のフリをしていれば…… いやいや! それでいいのか俺? 女じゃないのに女のフリしてたっていつかバレるし。
あれ、どこでバレんだ? 沙良とキスする以上に親密な関係になってか? そもそも本当に沙良がそっち系かもわからんし。
昨日の沙良の行動のせいで考え事が尽きない。
「んんッ……」
「あ、あっちも起きた」
テーブルに頭を乗せて寝ていたミカが目を覚ましたみたいだ。
「ふあ〜ッ、よく寝た」
「おはようミカ」
「おはよメグミ、柚月って…… これって」
ミカはテーブルに置かれた酒瓶に気付いたみたいで目が丸くなっている、そして大体察したみたいだ。 隠しとけばよかったのにわざと置いたな。
「これは…… でも沙良はお酒飲んでるとこ見たことないし」
「ごめーん、私が盛っちゃった」
テヘペロな感じに手を合わせて悪びれなくメグミは謝った。 軽……
「ちょっと〜! 道理でメグミが…… まぁ楽しかったからいっか」
「でしょ?」
いいのかよ。
「ほら、エリカも起きたら? 沙良も」
「うにゅぅ」
「んあ……」
身体を揺すると2人は気怠そうに身を起こした。 沙良はその時俺を見ると少し硬直したように見えたがサッと顔をそらす。 な、なんだ!?
そして少ししてからミカと同じ反応をしてメグミが説明した。
「やられたメグミに。 コンビニでちゃっかり買ってたなんて」
「はぁー、ママとパパには内緒だね。 あ……」
「え?」
またチラリと沙良に見られ何か言いかけて黙った。 なんなんだよ!? 気になるじゃないか、やっぱ昨日のこと? 直接沙良に確かめよう。
「ねえ沙良」
「うん?」
「昨日……」
「昨日は楽しかったね! 私トイレ」
「へ?」
なんだ今のは? 明らかに俺を避けているみたいな早口な口調に被せてくるわ。 ん? てことは沙良は酔ってるように見えたけど昨日の記憶はある? 忘れてたらあんな態度取らないよな?
「どしたん柚月? お酒残ってて気持ち悪いとか?」
「ううん、そんなことはないけど沙良どうかしたのかなって」
「沙良が何か?」
「なんでもないわよ、沙良と同じで柚月も沙良にゾッコンなんだから」
「あははッ、だよねぇ」
メグミが言うことにミカが同調するとエリカは「はいはい」と言って流した。
そして沙良は戻ってきた時はもうなんともなかったかのように俺に振舞った。
ますますわからん。
それから10時過ぎくらいになると解散ということになった、沙良のことだからついでに俺の家に行ってみようとか言い出したらどうしようかなと思っていたら……
「じゃあ気を付けて帰ってね!」
「うん、またね」
あれ? あっさり。
帰り道はエリカとメグミと一緒に電車に乗って帰っていた。
「いやぁー、楽しかったけど疲れたなぁ色々あって」
「みんなお酒ですぐ潰れちゃうんだもん」
「お酒なんて買ってくるからでしょうが」
「ホントにな、そのせいで。 はぁ〜」
余計な悩みが増えることになった。
「お酒あった方が本音引き出しやすいかなって。 それとわかったこともあったよ」
「え? 何々?」
「私以外男性経験まともにないってこと!」
「そんなのお酒飲む前からわかってたでしょ」
「だから柚月もバレずに済んだでしょ、危なかったけどね」
流石孔明…… じゃなかったメグミ。
そうして帰った後沙良にLINEでも送ろうと思ったけど朝方の変な沙良を思い出したので送りたくても送れなかった。 けど沙良からも何も来なかった。




