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女装恋愛  作者: 薔薇の花
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にしてもカツラは蒸れるなぁ、暑がりの俺と日差しの強い夏と相まって最悪の組み合わせだ。 というか俺が髪切りたいくらいなんだが?



髪はそんなに短くない、取れば割とショートヘアでもイケるんじゃね? とも思っているが長い髪は女子って感じがしていいし…… だがそれだけじゃない、もしかするとカツラまで取ってしまったらどこかで沙良に俺が男だとバレるかもしれないと思っているからだ。



高校は違うがもしも偶然に女装してない俺がその辺を歩いていて沙良と出くわしたら? 俺は動揺しないか? 顔に表れないか? 化粧は濃いめにしていてすっぴんの俺は気付かないかもしれないけど。



「わぁ! 美味しそう」

「あー、きてたんだ」

「きてたんだ、じゃないよ! 話しかけてんのに柚月たそがれだしちゃって」



不安要素がいっぱいだからね……



「ねえねえ柚月はさぁ」

「ん? 何モジモジして?」

「好きな人とかいる?」



おうッ…… きたこれ女子トーク。 沙良とこうして遊ぶのは今日で3度目、女装はしているが女子との会話はクラスでチラホラしてはいるものの女子として話すのはあまり慣れてない、どう答えるべきか……



てかこの会話って沙良には好きな人がいる前提なのか? いやいや、俺は沙良が好きなんで沙良に誰か好きな人がいるなんて許せんことなんだが。



というか男がウザくて女子校に行ったのに沙良に恋愛話なんてあるのか? これはただの興味本位で俺に聞いてるだけだよな?



「いないよ」

「え? いないの?」



そう答えると少しガッカリしたような顔になった。 ここはいるって言った方が話的には盛り上がるんだろうが俺は男に興味がない、俺の恋愛対象は女なのだから。



「そっかぁ〜、いないのかぁ」

「だって今は恋愛とかそんなに興味ないし」



とか言ってみる、本当は沙良に興味津々なのに。



「いいなって思う子とかは?」

「それもない。 沙良こそどうなの? そう聞くってことは気になる人でも?」

「私に聞いちゃう? 私はねぇ〜、内緒!」



なんだそりゃ…… 意味深に何か考えていると思ったら。 てか内緒ってことは否定してないってことでいいのか? だったら沙良に好きな人が?



嘘だろ? 誰だよ!?



「柚月?」

「何?」

「私何か気に触ることでも言った? なんかイライラしてるような……」

「え? あ、いや、ちょっとここの店エアコン弱いなぁって思ってて」

「私は逆に効きすぎて寒いんだけど」




その後沙良とのショッピングも終わり家に帰る。



「ただいまぁ」

「柚月!! またそんな格好して!!」



帰ると母さんが鬼のような表情で迎えてくれた、その理由は母さんが言った通り明確だが。



「いいだろ別に」

「あんた男の子なのよ! それがなんでこうなるのよ!?」

「疲れてるんだから後にしてよ、わた…… 俺とりあえず風呂入りたい」

「はぁー」



母さんの溜め息を聞き流して自分の部屋に行くと鏡を見る。



「うっわ、ひでぇ顔」



鏡を見て呟いた、帰ってくるまでにかいた汗で化粧が崩壊している。 帰り道は人通りが少ないし汗が拭っても拭っても出てきてやばかったので下を見て歩いてきた。



「こんな顔は沙良には見せられないな、ふぅー」



エアコンを入れ涼しい風が頬に触る。 そしてカツラを取りメイク落としで化粧を落としていく。



「よぉ、男の俺」



俺がここまでになったのは高校に入ったあたりの頃……



俺は元々痩せ型の色白で男か女かよくわからない顔をしていた、まぁ中性的? な顔立ちだったんだろう。



そんな時女子からふざけ半分で化粧してみようなんてことになったらこれが案外バッチリと似合っていたので鏡で見せてもらうと晴天の霹靂というか俺の価値観がそれから変わったというか自分でもハマってしまったのだ。



まぁ女子って綺麗で可愛いな、いい匂いがするし憧れるなぁなんて昔から思っていた俺だけど女子には別になりたいとも思ってなかった、けど自分が男っていうのも自覚がそんなになかったのだからなるべくしてなったみたいな感じだ、それから今に至る。



そして立ち上がって女性物の服を纏った俺は立ち鏡の前まで行くと……



「やべぇ……」



また呟いて服を脱ぎ部屋着に着替え風呂場に向かった。 



「あっつ!!」



俺は熱い風呂も苦手、足し水をして37〜8℃の温度が丁度いい。 ぬるい風呂に浸かり今日のことを振り返る。



沙良の奴今日もめちゃくちゃ可愛かったな、汗だくだった俺のこと気持ち悪がってないよな? いやまぁ気持ち悪がってたら帰り際にギュッと手を繋いで「また遊ぼう」なんて言わないよな。



顔を半分湯船に入れてブクブクと泡を立てて沙良との今日のおさらいをしていると段々湯船が熱くなってきた、母さんの仕業だな……



「風呂追い焚きしたろ?」

「あんたお風呂無駄に長いんだから。 もうご飯も出来てるんだしさっさと食べるわよ」



帰りが遅い父さんを待たずに俺は母さんに小言を言われ続けた。 また学校かぁー、めんどくせぇなと考えていた。






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