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女装恋愛  作者: 薔薇の花
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「あー死ぬわ……」



夏風邪引いたバカだから。 汗かいてたのにそのまま寝ちまったら具合悪くなってた、しかも化粧も落としてないし。



せっかく沙良から今日遊ぼうとお誘いがあったが体調不良で無理だ。 とりあえず身体が臭いからシャワーだけでも浴びないと。



化粧を落としていると沙良の唇が触れたほっぺに手が行った。 



あれってなんだったんだ? 女友達ってあんなことするのか? クラスでもたまに女子同士で意味もなく抱き合ってるとこ見たことはあるけど。 あれと同じ感覚か?



考えていたら頭が痛くなってきた。 とっととシャワーを浴びて風呂から出て部屋に戻ると電話がきてたみたいだ。 



沙良から…… ここはかけ直すべきか寝てたと言って頭の中で整理してからかけ直すべきか迷うな。



よし後からにしよう、最近嘘つき過ぎてて整合性が取れなくなっているからな。 頭も痛いし電話なんかしたら失言しちまいそうだ。



俺はそのままベッドにインして寝てしまった。





あ…… 思わず本気寝になった。 お昼も過ぎてもう2時半、母さん起こしてくれなかったのかよ。 あ、沙良からまた電話きてた。



そのままリビングに降りて行くと昼食のサンドイッチがラップに包まれていた。 どっか買い物に行ったのかと思った時閃いた。



いつぞや沙良は俺の家に来たいって言ったよな、こういうタイミングなら招き入れることも可能では? 父さんはどうせ仕事で夜遅いし母さんさえいなければ問題なしだ。 



うわー、こうなるって知ってたら今日無理してでも沙良を俺の家に来させた方が良かったよな、一回でも来れば満足してくれそうだし。 



母さんがいつ頃出て行ったのかわからないので今日はもうダメだが。 



具合は悪いけど暇なのでソシャゲでもやって時間を潰していた時……



「げぇッ!!」

「げぇ??」



ソシャゲの最中に沙良からまた電話が掛かってきたので画面を触っていた俺はうっかり出てしまった。



「げぇ? げ…… ゲームしてたスマホの」

「ゲームしてたんだ?」



声からわかるご立腹の沙良、そりゃあそうだろう、何度も電話してるのに出ないで出たら出たでゲームしてれば。



「それはただ単に魔が差しただけで、あはは」

「……」

「あ、ええとその…… ちょっと具合悪くしちゃって電話が掛かってきた時ちょうど寝てて今目が覚めてボーッとしてたら」

「そうなの!? ご、ごめッ、てかお見舞いに行かなきゃって私柚月の家知らないし」



ヤバい、この流れはヤバい……



「ダメだよ、元気な時ならまだしも沙良に風邪移したくないもん。 それよりどうしたの?」

「ほんとに大丈夫? 心配だよー」

「大丈夫だからゴホゴホッ、それで?」



付けて足したようなわざとらしい咳払いをした。 だってさっき寝たら頭痛とか治ってたし体調もなんぼかいい。



「んー、柚月の友達のエリカとメグミいたでしょ? それでさ、今度みんなで遊ぼうかなって思って。 こっちもミカって子連れてくるからさ、女子会しよ! って思ったの」

「ああ、ミカね」



この前薬局で沙良と一緒にいた子か。 大丈夫かな? ん? あ!!



「ミカのこと知ってるの?」

「あ、ほら! 兄貴が前に会ったって」

「そっか、お兄さんから聞いたんだ。 仲悪いって言ってたけど少しは話すんだ?」

「ちょっと歩み寄ろうかと思って」



危ねぇ、サラッとまた失言するとこだった。



「いい子だから絶対仲良くなれるよ! ミカも柚月が美人だって言ったら見たいってはしゃいでたし」

「もぉー、変にハードル上げないでよ。 沙良見慣れてたら私なんて別に美人とも思わないかもなんだから」



そうして電話を切り終わると俺はテーブルで頭を抱えた。



どうすんだよ!? 俺エリカとメグミの連絡先なんて知らないぞ! 



「2人に伝えててね」と言われて友達の俺が連絡先知らないなんて言えないから「うん」と言っちゃったけど。



よしんば連絡を取れたとして大体沙良を騙す算段にあの2人が快く引き受けてくれるとは思わないし。



いやもう俺の評価は2人の中では地に落ちてることだしなんとか頼むしかない、けど連絡先を知らないことには…… 風邪どころじゃない。



俺は携帯の電話帳を開いた。 クラスで連絡先を知ってる女子は数人、そのうちの1人を選ぶ。



ミコト…… こいつは俺に化粧してみた言わば元凶的存在、交換してから一度も電話とかLINEもしてなかったけど仕方ない、早く済ませたいので俺はミコトに直電した。



『やっほー柚月、何気に初なんだけど』



数コールでミコトは出た。 相変わらずテンション高いな。



「いきなりごめんな。 ちょっとお前に教えてもらいたいことあるんだけど」

『えー、あたしに? なんかドキドキすんだけど』

「そういうのじゃないから。 お前エリカとメグミの連絡先知ってる?」

『エリカとメグミ? もち! 知ってんよー、何? 2人の教えて欲しいの?』

「ああ、ちょっと用事が出来て」

『用事って?』



それを正直に話せたらどんなに楽か。 でもこいつに話すと面倒だし。



「いいから教えてくれ」

『えー? 横暴』

「ごめん、でも急用なんだ」

『仕方ないなぁ、じゃあ後でまた顔弄らせてぇ』

「わかったわかった、そのうちな」

『あ、ひとつイイコト教えてあげるー! エリカねぇ、柚月に気があるみたいだよ。 ユーこのままヤッちゃう? もしかしてそれ知ってて狙ってる? 悪い奴だなぁコノコノー!』



それもう知ってるし終わってる。



「そういうのはいいから。 とにかく助かった」

『後でちゃんと教えてね! ばいびー』



ふう、疲れた。 こんな感じにウザいから連絡したくなかったんだよなぁ。



けど2人の連絡先はゲットした…… 話のわかりやすいメグミに伝えたいとこだけどそれ故に即断られそうな気がする。 ここはエリカに最初に話すのが安全牌だろう。



「エリカ大事な話があるんだけど」

『え!? 柚月?? なんで私の番号知ってるわけ?! しかもいきな。直電って……』

「ミコトから聞いた」

『あーもう! ミコトかぁ。 それで大事な話って?』

「エリカにしか頼めないことなんだ」

『わ、私しか? 柚月が?? …… な、何?』



よし、食い付いてくれた。 そして俺は事の顛末をエリカに話した。





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