第3禁忌
盗賊を倒して思ったことは多分この盗賊は弱いほうだということだ。
まあそんなことはいいのがだ、今のびている盗賊をどうするかだが...とりあえず持ってきたロープで縛って異空間収納に放り込んでおくか。しかしこれ入るのか...?元の世界のネット小説だと空間系の収納の中には死体しか入らないことが多かったが...お、入るっぽいな。よしよしそれじゃあ空間の中にいてもらおう
「ところでそろそろ結界の森を抜けるはず...だ...が」
多分今結界の森を抜けたのだろう、一瞬で空気が変わった。たとえるならば森の空気に少し殺気が混じった感じだ。多分魔物がここから出てくるようになるだろう
やはりその推測は正しかったようで森を進んでいるとモンスターが出てきた
見た目は凶暴な犬といったところだ。それが三匹、俺を見るなり一斉にかかってきた
いきなりのことで俺は対処できずにその三匹の攻撃を受けた。
これならまだ最初に話しかけてくれる盗賊のほうが優しいな。
しかしこんな状況でものんきに考えられるほど痛みは伝わってこない。
これは俺のステータスが高いということでよさそうだ。
そのあと落ち着いて剣で犬の背を突き刺して一匹ずつ確実に殺していく
しかし今ので分かったが俺はステータスは高いが技術は全くない。どこかで学ばなければいけなさそうだ
あとこいつら殺した後でも鑑定が効くかはわからないか一応鑑定してみる
・ワイルドドッグLv3
アルデルム周辺に生息する野生犬。魔獣に分類され心臓周辺に魔石を保有。低位の冒険者のけがの原因の一つ
ふむ一応使えるのか。それと魔石か一応とってみるよう
腰に下げた短剣を抜き、ワイルドドッグの腹を裂いて魔石を取り出す。清潔保持で汚れが消えるのをいいことにコートで魔石についた血をふき取る。すると少し光沢のある石が姿を現した。
鑑定してみるとこんな感じだ
・超低純度魔石(純度1%)
不純物が多く魔石としての価値がかなり低いもの。純度が低いため使い物にならない
なるほどこれはギルドに持って行っても...売れなさそうだな。あとで錬禁術に使ってみるか。どんな能力か見ておかないとだからな。
さて。他の二匹も解体終わったし。とりあえず死体は異空間収納へいれてっと...これ中で整理されてないとかないよな?盗賊出したときにワイルドドックの血にまみれてるとかないよな?
まあそこは賭けだな。
さてゴブリン退治に行くか
そこから20分ほど歩くと洞穴が見えてきた。見張りは...いない
俺はその洞穴に入っていく
その先で俺は声を上げることとなった
「は?」
そこにいたのはゴブリンではなく人間だったからだ。どうやら全員酒に酔いつぶれて寝ているようだ。しかし見た目からして絶対に冒険者ではない。しかも松明がさしてあり生活感がある、ここで生活しているのだろう。こんなところで生活するのは俺の思いつく限り盗賊しかいない。しかもさっき襲ってきた盗賊のやつと似た顔のやつもいる、双子だろう。これはもう盗賊で間違いないだろう。とりあえずここはゴブリンの洞穴じゃないのは確かだな。しかしこいつらどうしたもんか...
「...縛るか」
俺は残ったロープで全員を縛って異空間収納に放り込む。そのあとは洞穴が奥まで続いているようなので調べてみることにした
奥に行くとさすが盗賊といった様子で今まで冒険者から奪ってきたであろう物が置いてあった
武器に、銅貨、銀貨それと布のかぶせてある人間ならば入るであろう大きな箱
とりあえず気になったので箱のほうの布をはいでみる。するとどうだろう、そこにあったのは少女の閉じ込められた檻だった。中にいる少女はフード付きのローブを着ている。口に布を巻かれていてしゃべることはできなさそうだが、にらみつけるようにこちらを見てくる。どうやら俺を盗賊の仲間と勘違いしているようだ。まあ目が死んでいないだけましではあるが
「おいおいそんなにらむなよ」
俺は異空間収納からガインからもらった斧を取り出し檻のカギを強引に壊す。
檻の扉を開けて少女を出す。
少女はあっけにとられていたが、やっと状況を理解して檻から出てきた。
口の布を外すためにフードを脱がせると、耳が特徴的にとがっていた。どうやらエルフのようだ
とりあえず口に巻かれている布を外す
「あなた、何者?」
第一声がこれだ。まあ檻に突っ込まれてたら疑い深くなるのもわかるが、さすがに助けたやつに対して当たりきつすぎやしないだろうか
「見りゃわかるだろ底辺冒険者だ」
そういって俺は胸元のGと書かれた首飾りをさす
「Gランク?あなたが?」
「今日登録したばっかりだからな」
「それなら納得できる。Gランク程度に斧一本で檻は壊せない」
「そうかとりあえず次は手枷だな」
しかしどうしたものか...さっきみたいに乱暴に壊したんじゃ体を傷つけるかもしれないし...
そうだ錬金があるじゃないか。今ここですればいい
異空間収納から錬金書を引っ張り出して錬金の方法確認する。
この世界の錬金術は原子の並びとか構成を変えるだけの才能らしい
どうやら錬金には錬成陣が必要なようだ。
短剣で、本の通りに鉄の原子構成変更の錬成陣を掘る
「ここに両手を乗せてくれ。手枷ごとな」
「?、わかったわ」
少女は何をするのかわからないという表情で錬成陣の上に手を置いた
置いたのを確認したところで、錬成陣に魔力を流していく。
今の手枷の鉄原子を少女の手から離れたところで固めて鉄塊にする
魔力を十分流したところで錬成陣が光を発して錬成が始まる。
光が収まったころには少女の手の横にこぶし大の鉄の塊が置かれていた
「え...うそ」
手枷を外すことはできたが、少女の手には手枷の痕がくっきりついていた。
「これ魔法でどうにかならんかな」
次は魔術書を引っ張り出して生命魔術を調べる
俺が使える魔術で載っていたのはヒール。けがを直す魔法だそうだ
まあ手枷痕くらいならこれで十分だろう
『ヒール』
少女の手に向かって唱えると手枷の跡がみるみるうちに消えていき元の色白のきれいな肌に戻った
「え...魔術も使えるの...?」
「つかえるな。さて、これでお前は自由だがどうする?」
「どうって、どうもできないわ。ここがどこかもわからないのに。それに私は何も持ってないもの。」
ここに放っておくのもな...しかし俺は今からゴブリン退治だが...
「ついてくるか?今からゴブリン退治だけんど」
「ついていくわ。それしか方法がないもの」
というのでついてくることになった
とりあえずゴブリンの洞穴に向かう前にここにある冒険者の遺品を異空間収納に突っ込んでいく
「さっきから思ってたけれど空間収納の能力持ってるのね」
「ああそうだな。ほれ、エルフは弓ないと戦えんだろ?」
そういって少女に盗賊がとってきたものの中にあった弓と弓矢を取って渡す
「え?あ、ありがとう」
「そういや名前なんだ?これから行動するとき名前知らんとしんどいだろ。ちなみに俺はレンだ。レン・デヴァン」
「私はフィーア。フィーア・ニクルよろしくね。レン」
「よろしくフィーア。それじゃあ、行くか」
「ええ」
フィーアを連れて洞穴の外に出る洞穴から出ると外はかなりまぶしく感じた。さて、ゴブリンの洞穴を探そう。
「まさかまた空を見ることになるとは思わなかったわ」
「そういえばフィーアはなんで檻に入れられてたんだ?」
「私のいたところには森があるんだけど、その森からちょっと出ちゃってね、その時他の子と奴隷商の奴らに襲われちゃったの。ほら、エルフって高く売れるらしいじゃない?で、その奴隷商に運ばれる途中に盗賊に奴隷商の馬車を襲われて、洞穴に連れてこられたみたいね。幸い私はまだ何もされてなかったからよかったけど、売られていった他の子たちを考えると...」
そういってフィーアは目に涙を浮かべ始めた。
「すまない」
フィーアは唇をかんで首を振ったが、やはり悲しいことに変わりはないだろう。
気まずい雰囲気のまま歩き続けると今度こそゴブリンの棲み処であろう洞穴についた
「ここ...だな。どうするフィーア?」
「行くわ...戦いを学ばなきゃ...ほかの子たちを助けるために、守るために」
意志は固いようだった。しかしその手に握られている弓は震えている。安心させることができるかどうかは分からないが、一応言葉をかける
「大丈夫、そっちに行く前に全部切り伏せる。安心して撃ち抜いてくれ」
「分かったわ...頑張るから」
その言葉とともにゴブリンの洞穴へ入っていく
洞穴に入ったときに松明をつけ忘れていたが、どうやら俺は暗い所でも目が見えるらしい
「レン、あなたその目、どうしたの...?」
「目?どんなふうになってるんだ?」
「変な模様が浮かび上がってて、黒かったのが紫色になってるわ」
もしかしなくてもこれは上位能の魔眼ではないだろうか。
「多分俺の能力だ。これで俺は今暗闇が昼間のように見えているらしい」
「そんな能力聞いたことないわよ...」
少し恐ろしいものを見るような目でフィーアはこちらを見てくる
「そうか。まあ俺はたいまつ無くても大丈夫だがお前はどうなんだ?」
「そうね、エルフはかなり夜目が効くからそこまで心配しなくても大丈夫よ」
「そうか。さて...おしゃべりはここまでだな。ゴブリン相手でも油断したら死ぬ」
「そうね...」
そのあとはお互いに黙って、洞穴を進んでいった。少し進むと少し広くなっていそうな場所があった。そこの中にはゴブリンが6匹寝ていた。やはりゴブリンは夜行性のよだ。
「...ギギャ?」
どうやら足音に気づいたらしい
「今頭を上げている一匹だけでいい。撃て」
「う、うん」
そういってフィーアが弓を構えて、おきかけのゴブリンに向かって弓を放つ
「ギャギャガギャガガ」
頭を撃ち抜かれたゴブリンは気持ちの悪い声をあげながらその場でジタバタともがく
そしてその声で起きた周りのゴブリンが、俺のほうにとびかかってきた
その時、なぜか周りがゆっくりと流れるように見えて、ゴブリンたちがどう動くか視えた。
俺はその視えた動きに対して適切に動き、次々と確実に致命傷を負わせることのできる場所を切り付けていく
「「「ギギャぁぁぁ」」」
その声で視界が通常に戻った。目の前には俺が切り付けたとおりの傷があるゴブリンが5匹ピクピクと体をけいれんさせながら横たわっていた
「これで終わりか?」
「そうみたいね。穴もここで行き止まりだし。それにしてもさっきの動きは何だったの?ゴブリンがレンにとびかかったと思ったら、一瞬で5匹が切り飛ばされてるんだから」
たぶんあれも魔眼の能力だろう
「たぶんそれも俺の能力の一部だ。この目の」
「そう...悪いけど私あなたの事怖いわ」
フィーアは肩を震わせ目をそらしながら言う
「そうか。それもまあ仕方ない事だろう。とりあえずこいつらの耳を切り取るか」
「そ、そんなことするの?」
フィーアは驚きを隠せないように言う
「仕方ないだろう。これはギルドの規定で耳がないと報酬が得られない」
「そ、そう。あなたはためらわないのね...」
そう言いながら耳を抑えて音を聞かないようにするフィーアだった
ゴブリンから耳と魔石を取り死体を収納にかたずけて洞穴から出る
「まぶしいな」
「そうね...」
フィーアは力ない声で返した。
たぶん洞窟で俺がゴブリンにやったことが忘れられないのだろう。
しかしこれが俺だ。このことは伝えておこう
「フィーア。俺のやったことをお前に分かれとも、許せともいわない。ただ、これから俺についてくる以上はこれが俺だと。レン・デヴァンだと知っておいてくれ」
「ええ...」
「それじゃあ俺は街に帰る。ついてくるかはお前に任せる」
「分かったわ」
そういって歩く俺の背の見つめながらついてくるフィーアであった
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