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彩る君に恋をした。  作者: 椎名 椋鳥
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色彩精霊

何故だか分からないが俺たちは、ゴツい山賊達に絡まれている。

行く当てもない俺はヒヨリについて行くことにした。ヒヨリがベルモントの城下町に住んでいるということなので、そこまで案内してくれる。その道中のことであった。


山賊達の要求としては金目のものをくれないと痛い目に合わせるぞ、ということらしい。

「このあたり治安が悪いんだよね〜。まぁ湊君はそこで見ててね!」


「ペティ、パティ行くよ、ペティ!《ヴェクセル》」

 ヒヨリがペティに手をかざす。するとペティが杖に変化した。

材質は木、先端にオレンジ色の玉がある。山賊たちも呆気にとられている。

俺も同じようにやれば変化できるんだな。深く呼吸をする。そして、クロウに手をかざし、勢いよく唱えた。

「《ヴェクセル》」

 するとクロウから黒いオーラのようなものが出てくる。

徐々に形は変わり、両手に一本ずつ、計二本。持ち手の長さは足先から腰くらいでリーチが長い。

先には大きな刃がついている大鎌オオガマだった。

「《炎玉フォイア》」

 ヒヨリは大声で呪文のようなものを唱える。

すると杖の先端からこぶし大の火の玉が出てきた。その火の玉は高速で襲いかかってきた山賊のお腹辺りに命中し、押し込みながら燃え上がる。


ヒヨリの戦闘を傍観していた俺に、山賊が剣を持って勢いよく襲いかかる。

鋭い刃を正面から振り下ろしてきたので、後ろへ引いて避ける。


不思議なことに体が軽く、動体視力も上がっている。見える、相手の剣先がスローモーションで見える。

バックステップを取りながら振り回す剣をかわしていく。


もう一振りしてきた剣を見切り、左手の鎌で横になぎ払うように切る。

会心、とはいかなかったもの手応えはあった。浅い傷入れることはできた。殺すまではしない。

奴ら凄い汗を流して興醒めてやがる。諦めたのか、大声で叫びながら逃げていった。


「もうちょっとおもしろくないとねぇ〜。あ、精霊を使った闘い方分かった?」

「まぁなんとなくだけど」


 この子は怖がる素振りを一切見せなかった。相手が小並感溢れている敵だったのは確かだった。


「よかった! 精霊には補助型と変化型っていう二つのタイプがあって、私の精霊で説明すると、パティが補助型で、私の攻撃をサポートしてくれるの。

パティが変化型で杖に化けてくれるんだ。湊君の精霊は変化型だね」


この世界についてはまだまだ分からないことは多いが徐々に知っていくべきだ。

元のいた世界に帰る方法も分からない。こんな状況に置かれている自分だが不思議と冷静だ。

何事もなかった自分の高校生活にこんな奇想天外な出来事が起こるなんて思いもよらなかった。なにより戦うという行為や精霊は非現実的でワクワクする。


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