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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
第一章 女神の願いを叶えよう?
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8手間

「でっかいもんじゃのー」


 くっくっくと楽しそうにアレックスが笑い、バックスはニコニコとしてる。


「ここが目的地の領主カカルスの街カカルニアです」


「さて、商用門から並びましょう」というバックスの言葉で門を見上げるのをやめ見渡せば。

 荷を積んだ馬車や、大きな籠を背負った人たちの列、こっちがおそらく商業用の商用門で、こっちよりは短いが様々な格好の人が並んでる方が旅人や観光客用の方なんだろう。


 大きな門の左右にある馬車が通れる程度の門に別れて、真ん中の門は本来ここは出る人たちなんかの為なんだろうけど、日暮れ間近のため出る人はいない。周りの人を見ていたらそろそろ自分たちの番になったようだ。

 意外と早いなーと思ってると顔に出てたのか商人は一度一般門で入り、その後その街の商会ギルドで登録したのち商用門を使えるから、荷と護衛の人数の確認程度なので早いのですよとバックスが教えてくれた。


 次という衛兵の声でバックスが衛兵と何事か話し、それを聞いた衛兵の一人が荷を確認しにくる、護衛はと聞かれるとアレックスが俺だと応える。


「荷は報告通り、護衛は一人だと聞いてるがこの子は?」


 警戒というよりほほえましいものを見てる顔で護衛が聞けば


「その子はここに来る途中で拾いました。ここまでさすがに徒歩では遠いですからね、それにその子は結構強いですよ。これはその子の入門税です」


 説明と共に一銀払うと、衛兵は腰のポーチから木札を取り出しワシに渡してきて、


「これが身分証だよ、無くさないようにね」


 いかつい顔でニッコリと笑うと、次とまた後ろの人に声を掛けてゆく。

 あの顔で笑っても子供は泣きそうじゃがのぉと、十二歳という自分の設定を棚に上げ、木札を見てうんうん唸る。


「それが先ほど説明した証明書です。ハンターギルドで登録すれば、以降この街での入門税と滞在税が免除されますよ。ほかの街に行った時も初回の入門税だけでそれ以降はこれも免除されますが、今日はもう日も暮れますし宿に泊まって明日以降にギルドに行くといいでしょう」


 教えてくれた宿は、門をくぐってすぐ脇の門前宿。二人とも今日はここで泊まるらしい。

 アレックスは明日以降も街に留まりハンターの仕事をするから、明日一緒にギルド行ったりしようと約束してくれた。

 バックスは明日一番で隣町に戻るらしい。領土って結構狭いのかの?と聞けば、ここは領主のいる領都で隣は村などよりは規模の大きい町で、こちらに自分の商店があるのでいらした際はぜひ寄ってくださいと。

 盗賊どもの首を門の詰め所で渡し、盗賊三人合わせて五銀ほど手に入ったのだが、ここの宿代もアレックスが払ってくれるらしい。


「一泊一銀のぉ、妥当なのか高いのかよくわからぬのじゃが」


「そうだな…ここは飯も美味いし部屋も綺麗だから一銀なら安いな。詰め所が近いからか治安も良いし、これ以上となると今度はミスリル五枚とかになるな。世界樹のお膝元にある最高級宿なんて一泊で金貨五枚もするらしいぜ、下手な一軒家なら建っちまうよ。それはそうと、半銀以下の安宿には泊まるなよ?信用ならないからな」


「なるほどのぉ…気を付けるとしよう」


 特に荷物もないので二人と別れ、残念ながらお風呂は無かったので受付で教えてもらったタライとタオルを借りて部屋に入る。

 お湯を入れて貰った場合は有料だが、水か空でよければ無料で貸し出してくれる。

 使い終わったら戸の前においておけば回収してくれるとのことなので、法術で水を出して沸かし服を脱ぐ。

 ポンチョのおかげでキレイではあるけど、お湯を含ませたタオルで体を拭くと実に気持ちいい。


「はぁ、風呂が無いのは何じゃが、体を拭くだけでも気が楽になるのぉ」


 寝間着も無いのでブーツ以外を着なおし、ポンチョはチョーカーに戻して、ふかふかとは言えないベッドに腰掛け、宝珠を撫でつつ今日の事を振り返る。

 異世界に転生して男から女になり、いきなり魔物に襲われ、盗賊イベントをこなして、いろいろあったのぅと思い…ふと人を殺したなと思い出す。


「ふむ、何となく嫌な感じはあるのじゃが、そこまで罪悪感もないの。小説などであれば取り乱したり、ふさぎ込むのがお約束じゃが…」


 男であるという自意識の根幹を消されたときに前世の倫理観も消されたのだろうか。確かに日本人の倫理観のまま人殺しをすれば罪悪感で魂に負荷が掛かりそうだ。


「とは言え前世の様な法治国家で無し、倫理観などにかまけておったらさぱっと死にそうじゃしの」


 くよくよしても仕方ないかと右腕を魔手にして、これについて女神さまに言われたことを思い出す。

 この宝珠を貰った時どんなチート魔法が使えるかとワクワクしたものだが、女神さま曰く魔法は一切使えないと断言されてしまった。

 その代わり魔手はマナを喰らうという特性があり、魔法を喰って無効化したり、穢れているとはいえマナで構成されてる魔物の体を、如何な装甲であろうとないものとして抉れる。

 これは最初にあった魔物で実証済み。ナイフで傷一つ付けれなかった魔物の体を何の抵抗もなく貫いた。


 魔石もマナの塊だが、魔石を壊さないようにと考えていれば大丈夫らしい。そんなアバウトなと思ったが、魔法もイメージ次第らしいので宝珠の力は意外とアバウトなのだろう。

 さてと明日も早いしもう寝るか、と魔手を戻しポンチョを出してベットに横になると、意外と疲れてたのか即座に眠気が襲ってきて、そのままスヨスヨと寝息をたてだした。

やっと街につきました


街が領主のいる首都のようなもので町がそれ以外のある程度の規模

そして特に何もないのが村といったところ

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