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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
第一章 女神の願いを叶えよう?
7/3372

7手間

 蹄の音を聞きつつバックスの話を聞く。

 この世界のお金の単位…前世ならば円に当たるものはキリルと言うらしい。

 尤もこの単位を使うのは精々帳簿内だけで、普段は硬貨の種類で考えるらしい。

 キリル硬貨という正式な名前があるのだが、帳簿を使うのは商人くらいなもの。

 その上、この世界で流通してるのはキリル硬貨だけなので、正式な名前すら知らない人もいるらしい。


 この硬貨は、価値の低いものから銅貨、銀貨、ミスリル貨、金貨、晶貨となる。

 レートはどれも下のもの百枚で上のもの一枚、例えば百銅貨で一銀貨に、という風に実にわかりやすい。

 あとは銅貨と晶貨以外は半額の半銀貨、半金貨などの貨幣がある。

 日常的に使われるのはミスリル貨までで、金貨は家や高価な武具などの大口取引。

 晶貨ともなると、領土間などの取引程度でしか使わないほどに貴重となる。


 晶貨は、魔石と違い自然にマナが結晶化した、クリスタル…晶石とも言われるもの。

 それをドワーフの一流細工師が加工する事で生まれる貨幣で、美術品としても一級品だとか。

「それは一度見てみたいものじゃのぉ」と呟いたところ、

 大商店では、うちはこんだけ稼いでますよ、信用がありますよ、と言う事を示すために。

 防犯魔法を多重にかけてはいるが、店頭に飾られているので見ること自体は容易らしい。

 私もいつか飾りたいですとはバックスの談。


 晶貨を飾れるという事は一つのステータスであり、信用を表すものらしい。

 稼いでる商店なのに晶貨を飾ってないところは、逆に信用がない所。

 なぜ晶貨を飾るだけで、信用がある証明になるかといえば。

 晶貨を手に入れるのは、貨幣としては異例な要予約制。例えるなら記念硬貨の様な扱いなのだろうか…。

 しかも予約の際には、領主が予約を希望する者の身元を、きちんと調査する必要があるのだ。

 万が一にも晶貨を飾っている商人が不正を行えば、調査を行った領主の信用にも係るため、しっかりと調査することになる。

 なので晶貨が飾られているような街は、領主がしっかりしているという証明にもなるらしい。



 次に入門税。これはそのまんま、街に入る門で払う税を指す。

 これは一銀貨が相場で、街によって若干違うらしい。

 一度払えば支払い証明書が貰え、これが一時的な身分証となる。

 ひと月の間は身分証として有効で、期限内に門か街中の詰め所で滞在税を払えば、またひと月有効期限が延びる。

 滞在税の相場は入門税の半額、およそ半銀貨で済むとのこと。街によっては同じ額の所もあるらしい。


 次に首級金。これは、盗賊などの街の外での犯罪者の首を門にもっていくことで貰えるお金。

 その首の主の罪の重さに比例したお金を貰えるらしい。懸賞金という奴だろうか。


 どうやって罪を調べるのかと聞けば、「詳しいことは分かりませんが」と前置きされたうえで。

 その首に残っている魂にこびりついた罪、それを調べるらしい。

 女神さまが言っていた魂の在り方が強い、というのはこのあたりに関係しているようだ。


 普段は複数人で護衛していた場合、首級金は護衛で折半がマナーなのだが、

 今回はお礼金も兼ねて全部私にくれるとの事。これはアレックスも了承済み。


 お金の話がひと段落したところで、今度は俺がとばかりにアレックスが話しかけてくる。


「そんだけの腕だ、街に行ったらハンターギルドに登録するんだろ?」


「そうじゃの…そのつもりじゃ」


「あの強さだ、あるとは思うが…宝珠はついてるよな?ついてないといくら強くても、ギルドには登録できないぜ」


 大丈夫じゃとばかりにポンチョをめくり、右肩の宝珠を見せる。


「漆黒の宝珠なんて初めてみたぜ。そもそも九本も尻尾がある狐族、なんてのも初めて見たし、お嬢ちゃんは一体…」


「私も初めて見ました」とバックスも同意する。


「ふむ、そんなに珍しいのかえ?すまぬが里の事などは話せんのじゃー」


「おっと、そういや獣人にはそういうの気にするんだったな、すまねぇすまねぇ」


「その程度、ワシも気にしとらんよ」


「そうか、助かる。とりあえずハンターギルドってのは、一言でいえば魔獣や魔物を狩る者達の集団だな」


 非常に楽しそうにアレックスが語ってくれるには。

 ハンターは五等級から一等級、又は特級と呼ばれるまでの五つに分かれている。

 基本的にハンターは魔獣や魔物を狩って、その回数や功績によって等級が上がる。

 ギルドに登録するときに、ある程度の実力を示す品を提出し、ギルド長の試練に合格すれば

飛び級で始めれるが、大体はみんな五等級からとのこと。

 …森で狩った魔物の魔石か爪で、この飛び級試練を受けれるかの…。


 ギルドに登録するために宝珠が必須なのは身体能力の為、と女神さまには聞いてたけど。

 実はもっと重要な理由があって、それはこのためなんだ、と

 アレックスが胸元から、ミスリルで出来たカードを取り出す。


「これがギルドカードだ。俺は三等級だからミスリル製だな」


 これも貨幣と同じ順に、五等級から銅カード、銀カード、ミスリルカード、金カード。

 そして一等級、特級と呼ばれる最上位が晶貨と同じ晶石製のカード。


 そしてこのカードに個人を登録するためには、宝珠とリンクさせる必要がある。

 これが宝珠が必須な理由であり、さらには魔獣や魔物の討伐数の記録にも使われる。

 これは宝珠が記憶してるものをカードで読み出して参照するらしい。魔法ってファンタジー。


 また、魔物の素材や魔石はギルドのみで買い取りをしている。

 ギルドを介さず売ることは違法で、罰則があり最悪の場合はギルドを追放になる。

 これは魔物の素材によっては、毒や麻薬になるために、悪用されるのを防ぐためらしいが、

実際は裏でかなり取引されてるらしい。 どの世界でも似たようなものは似たような事になるのね。


 とはいっても、裏で取引しようとしても、相場より安く買いたたかれるだけで得はない。

 裏で売買するのは脛に傷あるやつだけだからな、とはアレックスの談。

 やったことあるのだろうか…。


 そのあとも宿はあそこがいいとか、どこの食堂がうまいとか、そんな話に夢中になってたら、高かった陽も、ほどなく無く地平線に落ちようかという頃に街に着いた。

続く説明回

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― 新着の感想 ―
読み初めました 最後の方の番号をみたら3000番台!? これは、読み通すのに、しばらくかかりそうです
[一言] 「これがギルドカードだ。俺は三等級だからミスリル製だな」 ハンターギルドの三等級、ミスリルと言っても三人の盗賊に負けるくらいの強さしかないのだね。
[気になる点] 脱字?:2つのor1つ目の 話に夢中になってたら、陽も間も無く地平線に落ちようかという頃に街に着いた。
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