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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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453手間

 クリスと正式に婚約したからといって、学院生活に変わりがあったかと言えば皆無である。

 せいぜいクリスのスキンシップが増え、カルンがクリスに心なしか張り合わなくなった程度だ。

 何せワシらをしる大半の生徒たちからすれば、むしろ今までしていなかったとかと疑問に思われたほど。

 そして婚約というだけで婚姻ではなく、婚約を言祝(ことほ)ぎこそすれ、まだ大々的に祝うような事でもないからだ。

 子爵や男爵などの下位の者の場合は在学中に婚姻し、初等部などの一区切りが終わると同時、途中退学して新たな生活を送るという。

 といってもそれは不名誉なことではなく、初等部修了という立派な箔となるそうだ。


「ふむ…魔法を覚える前に辞めるのかえ、なんぞもったいない気がするのぉ…」


「子爵や男爵の者は平民に近いしマナも少なく寿命も大して平民と変わりないからね、学んだところで魔法は使えないし早く家を継いで後継ぎもつくらないとダメだからね」


「ふむ…なるほど、それも一理あるのぉ」


 何らかの功などで上位貴族の次男三男が家を興した直後や、力ある家でもない限りはそうなるらしい。

 その後も特に何もなく日々を過ごすうち、あっという間に月日は経ってワシらは初等部を修了し、中等部に上がる前の束の間の休みを今、謳歌している。

 一応この街に実家もしくは親戚の家がある者はそこで過ごすことを許可されているのだが、ワシらは屋敷で過ごすことを選んだ。

 というのも初等部の間、ワシの足を治す方法は終ぞ見つからず未だに車いす生活、ならばここでもお城でも変わらないだろうとそういう訳だ。


「中等部からはどんなことをするのかのぉ…」


「魔導器や法術などの理論や、魔動機を使った少し大規模な法術の訓練…とかだったかな」


「ほほう、それはちと楽しみじゃな」


 初等部の間は結局、多少法術を扱うもののその大半をマナの動かし方を覚えることに終始していた。

 ワシからすれば、よみかきさんすうをひたすらに続けさせられているような感覚で中々に退屈だったがようやく学院の名に相応しそうな内容が始まるようで、それは楽しそうだと目を輝かせる。


「大規模な法術とは、どのようなモノなのじゃろうかのぉ…」


「流石にそこまでは…エヴェリウス侯爵も実際に見た方が良いだろうといって教えてくれなかったし」


「ワシが聞いた時は、そもそも何をするかのすら教えてくれんかったのじゃ」


 何も知らない方が新鮮で楽しいだろうといって…確かに一理あるが、せめてクリスが言ったような大まかな内容くらいは教えて欲しかった。


「うーむ、しかし魔導器を使ったとなると、新しい杖が必要じゃのぉ…」


「あぁ、壊れちゃったんだっけ」


「うむ」


 せっかく養父様(おとうさま)から貰ったものだというのに、以前ワシが倒れた一件の時に何の影響か壊れてしまっていたのだ。

 しかもそれ以後、ワシが魔法を使うことを禁じられたため魔導器を使う事も無く、壊れていることに長い間気付かなかったのだ。


「どうせ中等部が始まってすぐに魔導器を使ってっていうことも無いだろうし、この休みの間に注文してしまおうか」


「ふむ、そうじゃな。アニスや、養父様(おとうさま)に連絡を取って魔導器の職人に心当たりがないか聞いて欲しいのじゃ」


「かしこまりました」


 早速ワシの言葉を伝えに行ったのだろう、部屋を辞するアニスを見送ってまたクリスとどんなことをするのだろうと話に花を咲かせるのだった…。

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