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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
第二章 女神の願いでダンジョンへ
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狐の日記一頁

十二から十五までの間を日記という形のダイジェストで書いています。

これからも番外編みたいな形で書いていこうかと思うので。

閑話とお楽しみいただけたら幸いです。

[三期/初の月/一日]

 今日から日記を書くのじゃ。

 アレックスには別れは告げられたが…サンドラらには無理じゃった。

 正直なところ会えば一緒に着いていきたくなったろうし、これでよかったんじゃ。

 あやつも言っておったが、ぐるり一回りして来ればいずれまた会えるじゃろう。

 これからは気ままな一人旅じゃが、スズリもおるしそこまで寂しくはならんじゃろう。

 どうせ道中は護衛依頼を受けて移動するつもりじゃしの。


[初の月/二日]

 野営中に書いておる。

 焚火から日記に火が燃え移らぬかちと心配じゃ。

 カカルニアからバックスのおる町までは二日かかるという話じゃから野営中に書いとるわけじゃ。

 今回、同道の護衛ハンターはワシを含めて三人。商隊とかじゃと護衛も十人二十人の大所帯にもなるらしいのじゃ。

 道程はバックスのおる町に二日かけて行き、そこである程度商品を卸し仕入れて一泊して明朝出発。

 一日かけてさらに隣の町に行き、同じく一泊して今度は三日かけて隣の領地の街まで行き、そこで護衛は終了ということじゃの。

 パチパチはじける焚火は意外と眠気を誘うのじゃがまだがまんじゃ…。


[初の月/三日]

 翌五刻ごろにバックスの町に着いた。

 荷卸しを済まし、八刻ごろに荷を積むまでは自由行動じゃったので、早速バックスの店に行ったのじゃ。

 バックスの店は主に魔具を扱っており、広くはないが中々良い雰囲気の店じゃった。

 訪ねたら丁度良いことに、人がはけ早めの昼休憩に入るところじゃったので昼を馳走になった。

 これから東周りに街々を巡る予定だと言えば、色々と教えてくれた。

 ここから東の領地は東多領と呼ばれ、広大なカカルス領と違い小さい領地が沢山寄り集まって一つの領のようになっておるらしい。

 名前からわかる通り世界樹の西側も西多領となっておるということじゃの。

 南北の領地がそれぞれ一つなのは、ダンジョンからの恩寵を多々受けておるため、軍事力も生産力も圧倒的じゃかららしい。

 その後、アレックスの話や世間話をして席を辞したが、今思えばちょっと長話が過ぎたかの?


[初の月/四日]

 空が白む頃バックスの町を出立し、同十刻ごろに隣の町に着いた。

 バックスの町はそこそこの大きさで宿も複数あるほどの規模じゃったが、ここは町というよりも大きさ的には村じゃの。

 村には店舗がいくつかと宿が一つだけで他には特に何も無く、所謂ありふれた農村だとは同道のハンターに聞いた話じゃ。

 明日の荷の積み下ろし以外の時間どうしようかと思っておったが、そういう時は村近くの魔獣を退治するのがハンターの中では常識らしい。

 暇つぶしと路銀稼ぎ、村の安全確保を一緒にしてしまおうというわけじゃの。


[初の月/五日]

 というわけで荷を卸して早速、村の外に向かってみたわけじゃ。

 領地の外れの村に態々ハンターは足を向けんからし、衛兵もまず巡回にはこぬ。

 じゃからか、こういう時に魔獣などを狩ってもらうのは村としても大歓迎らしく宿と食事が無料じゃった。

 宝珠の無い村人にとっては魔獣なんぞ、それこそ出逢ったら死を覚悟するほどのものらしいしの。

 村は危険な魔獣を退治してもらえて安心、ハンターも宿や食事を提供してもらえて安心、うぃんうぃん。

 とは言え魔獣やちょっと凶暴な野生生物程度しかおらんので、ワシ的には危険でもなんでもなかったがの。


[初の月/六日]

 今日まででカカルス領は終了、明日からは東多領に入る。

 多領は沢山の領が集まっておる。具体的には小規模の街とある程度の規模の領地が沢山といったところかの。

 各々の領地はそこまで広くないので食料や資源をお互い融通しあっておるらしいが、あまり仲は良くないらしい。

 昔は小競り合いが絶えなかったそうじゃが、最近では小競り合いをやめ水面下で争っとるそうじゃ。

 盗賊を使って商人を襲わせたりとかの。そういうわけで、街道の治安は悪いから明日から気をつけねばの。


[初の月/七日]

 げっへっへ、荷をおいていきなー。

 とかいうのは無かったのじゃ。

 衛兵が少ないからかは知らんが、カカルス領よりは魔獣が多かったの。

 明日は明け方の見張り当番なのでさっさとねるのじゃ。


[初の月/八日]

 もうすぐ夜も明ける。日中の距離を稼ぐため、空が白み始めたら即出発なのじゃ。

 特に何事も無く出発はできそうじゃの、暇じゃ。

 暇じゃと言った側から盗賊に襲われた。といってもふと日記から目を上げたら、盗賊共がこっちを見ているのを見つけただけじゃが。

 向こうはこちらが焚火のそばにおるから、自分達の姿が見えんとでも思っとったんじゃろうな。

 ワシは目が良いから、三人ほどが中腰で剣を構えこちらにじわじわ寄ってくる様がよく見え実に滑稽じゃったわ。

 これから交代じゃーという風を装いやおら立ち上がり、縮地で奴らの背後に廻って魔手で肩ぽんしてやったら面白いぐらいビビっておった。

 血の匂いで魔獣が寄ってきてもいかんとすぐに出発したおかげで早い時間に街に入れた。

 ふらぐはこの世界でも生きておるようじゃのー。


[初の月/九日]

 東多領、最初の街。寂れとるというわけでもないが、やはり規模は小さいの。

 護衛は昨日で終わったので、今日はここのギルドに向かうのじゃ。

 受付のおっさんが言うにはここのところ、魔獣による被害が増えてきたそうじゃ。

 まったく…この辺りのハンターは何をやっとるんじゃ。

 しばらくこの街に滞在して、魔獣狩りをする事にしたのじゃ。






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